岡田監督と喧嘩

「有名ですからね、早稲田」
「そうは入られへんわ」
「偏差値高いですわ」
「そこに受験に合格して入ったんや」
「学校の成績もええんですね、あの人」
「北陽自体悪くなかったしな」
「昔からですね」
　中西も確かにと応えた。
「あそこは」
「それでそこから早稲田に行ったんや」
「野球だけの人やないですね」
「しかもな、あの人強かったらしいな」　
　豊田はここでこんなことを言った。
「喧嘩がな」
「そうなんですか」
「そらめっちゃ強くてな」
　それでというのだ。
「誰も勝てへん位やったらしい」
「それは意外ですね」
「腕っぷしとか運動神経だけやなくてな」
「思いきりですね」
「それがよかったんやろな」
「そやから喧嘩も強かったんですか」
「そうみたいやな」
　こう話した。
「あの人は」
「野球だけやなくて学業もよおて」
「そして喧嘩も強い」
「スペック高いですね」
「学校の勉強も怠らへん努力にな」
　野球だけでなくというのだ。
「そうする、早稲田に行くと決めたら変えへん意志にな」
「喧嘩でも思いきりですね」
「そういうのが全部あるさかいな」
　だからだとだ、豊田は言った。
「先進として活躍して」
「監督としてもですね」
「日本一になったかもな」
「そうなんですね、あの人は」
「ああ、タダモンやないな」
「そうですね、ほなこれからも阪神応援して」
「あの人も観ていこうな」
　豊田は中西に笑顔で応えた。
「阪神を優勝させてくれた名将を」
「そうしていきましょう」
　二人でこう話してビールを飲んだ、そして阪神それに岡田を観ていった。学生時代はそうであった彼を。


岡田監督と喧嘩　　　完


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０２４・６・２１