金木犀の許嫁
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第二十二話 里帰りの準備その四
「必要です」
「そうなんですね」
「図々しくは駄目ですが」
「礼儀も必要ですね」
「ですからここは」
「お菓子をですか」
「お二方のご両親の好きなお菓子を」
こう夜空に言うのだった。
「買って行けばいいです」
「そうですか」
「それでご両親はどんなお菓子がお好きでしょうか」
「甘いものは何でも好きですが」
夜空は幸雄の言葉にすぐに答えた。
「特にケーキが好きですね」
「ケーキですか」
「あとアイスクリームも」
「それではです」
幸雄は夜空の話を聞いて答えた。
「どちらかを買って」
「そうしてですか」
「お邪魔させて頂きます、ではお金は私が出します」
「幸雄さんがですか」
「皆さん学生さんですので」
それでというのだ。
「やはりお金はありませんので」
「だからですか」
「はい」
それ故にというのだ。
「私がです」
「出してくれるんですか」
「こうした時は頼って下さい」
幸雄は笑顔で述べた。
「私を。そして年長の人をです」
「頼ることですね」
「お金のことについても」
今の様にというのだ。
「そうして下さい」
「何か悪いですね」
「悪くはありません」
夜空への返答は一言だった。
「むしろここでお金を出さないなら」
「それならですか」
「その方がです」
こうも言うのだった。
「社会人として問題です」
「年少者に出させることは」
「そうです、ですから」
それ故にというのだ。
「気兼ねなくです」
「頼っていいんですね」
「そうです、それに情けは人ならずですね」
「その情けはですね」
「やがてはです」
「自分に返ってきますね」
「いい行いをすれば」
そう言われる様なことをというのだ。
「それはです」
「自分に返って来るので」
「すべきです、それにお金はこうした時にこそ使うものです」
「浪費は駄目ですよね」
「はい、使うべき時にです」
幸雄は今の様にという言葉を今の自分の言葉に含ませた、そして言葉と言葉も真面目な顔でこうも言った。
「使わねばです」
「いけないですね」
「貯金も大事ですが」
それでもというのだ。
「それでもです」
「使うべき時にですね」
「しっかりとです」
「使うものですね」
「そうでなければです」
さもないと、というのだ。
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