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金木犀の許嫁

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第二十話 大阪の実家その十三

「ましだったらしいよ」
「そうなのね」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「離婚してから」
「どんどん悪くなって」
「もうね」 
 それこそというのだ。
「どうにもならなくなったらしいよ」
「離婚がきっかけだったの」
「きっかけっていうか」
 佐京は夜空に考えつつ話した。
「悪いところがね」
「出てきたの」
「そうじゃないかな」
「離婚がきっかけに」
「それまでは二人だったから」
 奥さんと、というのだ。
「見えなかったけれど」
「それでもなの」
「一人になって」
「目立つ様になったの」
「それまで懐いていた親戚の子達も」
「離婚してから」
「その子達も大人になって」
 そうなってというのだ。
「その人のこともわかって」
「どんな人か」
「わかって」
「それで懐いていたのが」
 子供の頃はというのだ。
「嫌う様になったそうだよ、その親戚の人達も天理教信じていて」
「その人達に天理教の悪口言ったら」
「余計に離れるよね」
「そうよね」
 夜空も確かにと頷いた。
「もうね」
「そうなってね、誰からもね」
「嫌われて」
「相手にされなくなっていたそうだよ」
「そうなのね」
「どうしようもないって」
 その様にというのだ。
「何しろどれだけお世話になった人にも」
「感謝しないで」
「不平不満を持って」
 そうしてというのだ。
「悪いこと言うから」
「それで反省しないで」
「行いもあらためないからね」
「お仕事しないままで」
「もう何もしないままでね」
「他の人にたかって寄生して」
「その状況でね」 
 それでというのだ。
「変わらないから」
「それでふんぞり返っていて」
「そんな人だからね」
「どんな人もなのね」
「匙を投げて」 
 そうしてというのだ。
「見放したらしいよ、というか天理教の人達でもね」
「どうにもならなかったのね」
「宗教は何の為にあるか」
 佐京は夜空に話した。
「救われる為だよね」
「困っている人、苦しんでいる人達がね」
「中にはもう相当な状況の人が来るよ」 
 宗教の世界にはというのだ。
「それでそうした人達を救うのに」
「天理教もよね」
「その人達がどうにもならないで」
「匙を投げる位だから」
「もうね」 
「どれだけ酷いか」
「世の中どんな宗教でもどんな哲学でも救えない人がいるって」
 眉を曇らせてだ、佐京は話した。 
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