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金木犀の許嫁

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第二十話 大阪の実家その三

「行ってきたら」
「そうしていいのね」
「休日にでも」
 そうした日にというのだ。
「行ってきたら」
「じゃあお姉ちゃんとお話して」
「行くといいよ」
「そうするわね」
 夜空は佐京の言葉に頷いた、そしてその夜夕食とお風呂の後で真昼の部屋に行って姉に話した、するとだった。
 真昼は思い出した様な顔になってだ、夜空に言った。
「そういえばね帰ってなかったわね」
「そういえばなの」
「いや、こちらのお家に入らせてもらってね」
 そうしてというのだ。
「ずっとね」
「帰ってなかったって」
「言われて思い出したわ」
「そうなのね、お姉ちゃんは」
「引っ越すまでも色々あって」
「引っ越してからも」
「引っ越し祝いしたり幸雄さんが来られたりして」
 そうしたことが続いてというのだ。
「忙しかったし学校はそのままだったでしょ」
「そのこともあって」
「それでね」
 その為にというのだ。
「今夜空ちゃんに言われて思い出したわ」
「そうだったの」
「いや、そう言われたら」 
 真昼はあらためて言った。
「帰る?今度の日曜に」
「実家に」
「そうする?お父さんお母さんとお話して」
「そうして」
「そのうえでね。どうかしら」
「ええ、お姉ちゃんもそう言ってくれるなら」
 夜空は真昼にそれならと応えた。
「私も」
「里帰りするのね」
「そうするわ」
「私いなくてもいいんじゃない?」 
 あっさりとした口調でだ、真昼は夜空に答えた。和室の座布団に座る机に向ってそのうえで勉強をしつつ応えた。
「里帰りしても」
「お姉ちゃんいなくてもいいの」
「だって夜空ちゃんが帰るから」
 だからだというのだ。
「別にね」
「お姉ちゃんの許可とか一緒にとかはなの」
「いいでしょ」
 こう言うのだった。
「本当にね」
「そうなの」
「まあ私もね」
 真昼は自分のことも話した。
「里帰りするってなると」
「それならなの」
「夜空ちゃんとお話してたかもね」
「それで私がいいって言ったら」
「それならってなってたかもね」
 こう言うのだった。
「言われてみると、それじゃあ」
「それじゃあ?」
「私も一緒にね」
 妹ににこりと笑って述べた。
「帰るわ」
「そうしてくれるのね」
「それでね」
 そのうえでというのだった。
「佐京君にも声掛けたら?」
「佐京君にもなの」
「だって旦那様になる人でしょ」
「許嫁だから」
「そうした人ならね」
「一緒になのね」
「そう、里帰りして」 
 そうしてというのだ。 
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