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十二単を着てみた

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第二章

 幸いあってエリザベートは大喜びで来た、その翌日だった。
「昨日映画村に行ったの」
「そうなのね」
「うん、それでね」 
 幼稚園のクラスで水樹にこのことを話した。
「十二単もあってね」
「着たのね」
「ええ、それでその時の写真がこれね」
 両親が持たせているスマートフォンの画像を見せた、そこには確かに十二単を着ている彼女が笑顔でいた。
「似合う?」
「可愛いわ」
 水樹はその彼女を見て笑顔で答えた。
「とてもね」
「そう、有り難う」
「お姫様みたいね」
「日本のお姫様ね」
「そうね、着られてよかったわ」
 満面の笑みで言うのだった。
「本当に。ただね」
「ただ?」
「十二単って着るまでに随分時間がかかるのよ」
「服何着もあるの」
「そう、それで物凄く重いの」
「何着もあるから」
「重くて動きにくくて暑いから」
 何着も着てというのだ。
「普段はお洋服の方がいいわね」
「私達が今着ている」
「いつも着たくはないわ」
 こう言うのだった。
「私はね」
「そうなのね」
「ええ、普段はね」
 水樹に自分の洋服を見つつ話した。
「その方がいいわ」
「普段はお洋服ね」
「すぐに着られて」
 そしてというのだ。
「軽いし動きやすいし」
「暑くないし」
「お洋服の方がいいわ」
「普段は」
「ずっとね」
 こう言って水樹と一緒に遊んだ、洋服を着て遊んだがとても身軽だった。十二単を着ている時とは全く違っていた。


十二単を着てみた   完


                    2024・5・23 
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