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八条学園騒動記

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第七百五十二話 苗字がない家その六

「粛清するしかね、けれどね」
「岳飛さんを粛清して」
「何しろ中国最大の英雄だったのよ」
「今でもそのうちの一人よね」
「関羽さんとかと並ぶ位のね」 
 そこまでのというのだ。
「英雄よ」
「今もよね」
「それで嫌われて」
「お名前すらなのね」
「使われなかったのよ」
「成程ね」
「あと連合だとね」
 ベスがここでこう言った。
「ユリウス=カエサルとかアドルフ=ヒトラーとか」
「そうした名前も使われないわね」
「エウロパの中で偉人だとね」
「あっちの偉人って悪人だからね」
 ジョーはあっさりと答えた。
「紛れもなく」
「だからね」
「ええ、人の名前にはね」
 それにはというのだ。
「使わないわ」
「普通はね」
「ユリウス位は使っても」
「アドルフとかね」
「けれどフルネームはね」
「カエサルとかヒトラーまでは」
 そこまではというのだ。
「やっぱり」
「使わないわ」
「そうよね」
「けれど変な人もいて」
「ハイドリヒの名前付けようとしたりするのね」
「そうよ」
「変な人よね」
「何か名前でね」
 これでというのだ。
「色々あるものね」
「それだけ大事ってことよ」
 ジョーはベスに答えた。
「つまりはね」
「人にとって」
「そう、名前はね」
 これはというのだ。
「その人そのものだから」
「大事で」
「色々なお話もあるのよ」
「そうなのね」
「森鴎外さんなんてね」
 明治から大正にかけて活躍したこの文豪はというのだ。
「お子さん達にドイツの名前付けてたのよ」
「エルロパのあの国?」
「ヒトラーのね」
「極悪人しかいない国でしょ」
 ドイツは連合ではそうした国と考えられている、勿論そこには偏見が相当なレベルで入っていてそのうえでの見方である。
「あそこは」
「けれど当時はね」
 森鴎外の時代はというのだ。
「日本は必死に西洋文明を学んで」
「発展しようとしていたのね」
「そうした時代で」
 それでというのだ。
「ドイツからも学んでいたのよ」
「そうだったのね」
「あの人本職はお医者さんで」 
 脚気のことからこの時代では最悪の藪医者と言われている。
「ドイツでもね」
「医学学んでいたの」
「留学してね」
「そこでドイツ好きになったの」
「崇拝レベルでね」
「そうだったのね」
「それでね」
 そうなってというのだ。 
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