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段ボールに入ったことに気付かなかった

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第二章

「お二人のご家族がいたのです」
「そうでしたか」
「五日間ずっと段ボールの中にいたので食べものも飲みものもなくて」
「大丈夫ですか?」
「幸いそんなに暑くもなかったので」
 だからだというのだ。
「命に別状はありません」
「そうですか」
「それでどうされますか?」
 アマゾンの従業員はクラークに問うた。
「ご家族の娘を」
「すぐに迎えに行きます」
 彼だけでなく妻のキャリーもだった。
 一も二もなかった、即座にだった。
 夫婦は飛行機でガリーナがいるアマゾンのカルフォルニアの事務所二人が暮らしているユタ州から千キロ以上離れているそちらに急行した、そして。
 そこに行くとだ、ガリーナは二人を見るなり飛びついてきた。
「ニャンニャン!」
「ガリーナ、済まない」
「段ボールに入ったの気付かなくて」
「これからは気を付けるな」
「二度とこんなことがない様に」
「ぞうして下さい、今回は助かりましたが」
 それでもとだ、アマゾンの従業員は夫婦に話した。
「やはり危険ですので」
「気を付けます」
「本当に」 
 二人もこう答えた、そしてだった。
 ガリーナを家に連れて帰ると二度とこうしたことがない様に注意し周りでもインターネット上でも注意喚起した、そのうえで彼女を可愛がっていった。そしてマイクロチップ彼女が助かる要因となったそれの重要さも訴えた。
「これがなかったら」
「どうなっていたか」
 こう言うのだった、そしてそのことを多くの人が頷いたのだった。


段ボールに入ったことに気付かなかった   完


                2024・5・22 
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