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金木犀の許嫁

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第十六話 節度のある人その一

                第十六話  節度のある人
 幸雄は猿飛家の居候として入って来た、彼は家の一番の年長者となったが彼との生活はどんなものかというと。
「えっ、そんなになの」
「その人謙虚なの」
「それで穏やかで」
「しかも遠慮がちで優しいのね」
「そうなのよ」
 真昼は自分のクラスでクラスメイト達に話した。
「幸村様みたいにね」
「穏やかで謙虚で」
「それで優しい人なのね」
「紳士よ。ただね」
 それでもと言うのだった。
「稽古の時の気迫はね」
「稽古されるの」
「そうなの」
「何でも槍術の免許皆伝で」
 そうであってというのだ。
「白華ちゃん達が言うには忍術もね」
「凄いの」
「そちらも」
「毎朝早く起きられて」
 そうしてというのだ。
「稽古はね」
「欠かさない」
「そうなのね」
「槍と忍術はね」 
 この二つはというのだ。
「絶対になのよ」
「欠かさないの」
「そうした人なの」
「読書家でね。凄い人よ」
 こう言うのだった。
「本当にね」
「うん、立派な人なのね」
「それもかなり」
「そうした人がご家族だとね」
「心配いらないわね」
「私もそう思うわ」
 真昼はにこりと笑って述べた。
「本当にね」
「そうよね」
「いい人が来てくれたわね」
「ええ、ただね」
 真昼はこうも言った。
「独身なのよね」
「結婚されていたらね」
「居候もされないわね」
「考えてみればそうよね」
「独身ね」
「お付き合いしている人も」
 幸雄はというのだ。
「どうもね」
「おられないの」
「そうなの」
「そうみたいよ」
 こう話すのだった。
「これがね」
「そうなのね」
「とてもいい人でも」
「お付き合いしている人いないの」
「そうなの」
「ええ、不思議とね」
 真昼は考えるウ顔になって答えた。
「どうもね」
「じゃあ真昼ちゃんどう?」
「アタックしてみたら?」
「真昼ちゃんがね」
「どう?」
「私?いや私はね」
 真昼はどうかという顔になって答えた。 
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