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黒歴史

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第三章

「現実じゃないってね」
「そうよね」
「だってね」
 さらに言うのだった。
「ああした作品ってそれがウリで」
「主人公無双が」
「何か作者さんの願望が入ってるとか」
「そんなこと言う人いるわね」
「現実の生活がどうか知らないけれど」
「自分がこうしたいああしたい」
「こうなれたらそうなれたらとか」
 そうしたというのだ。
「願望をね」
「書いたって言われてるわね」
「そうじゃないかって言う人もいるから」
「ああした作品になるのね」
「モテモテにもなってね」
「女の子にね」
「いつも可愛い娘と一緒とか」
 当然相思相愛になる。
「ハーレムね、それで一途でもね」
「無茶苦茶可愛い娘ね」
「主人公が女の子なら」 
 そうした場合はというと。
「美形にね」
「囲まれて」
「そっちは逆ハーレムよ」
 そうなるというのだ。
「それでやっぱりね」
「地位もお金もよね」
「最初からあるか」
「手に入れていくわね」
「ずっと最底辺とか」
 異世界でというのだ。
「そうしたことはね」
「ないわね」
「もう絶対にね」
 それこそというのだ。
「ないわ、それで現実的じゃない
「そうしたお話と思っていたわね」
「ええ、けれどね」
 それでもとだ、今まさに勝利を勝ち取り満面の笑顔でいる弱冠二十二歳の超人を観て言うのだった。
「今ね」
「まさにそうした人観てるわね」
「現実にいるのね、こんなのないって言ってたのが」
 異世界転生ものの主事の九の様なというのだ。
「もう黒歴史よ」
「あんたにとって」
「笑ってたのがね」
「本当にいたから」
「そんな人がね」
「今ネットの実況でね」
「そうよ、事実は小説より奇なりって言うけれど」 
 この言葉も出して話すのだった。
「異世界転生ものの主人公みたいな人もね」
「いるわね」
「そうよ、じゃあ」
 栞は理恵にあらためて言った。
「約束だから」
「パフェね」
「驕るわ」
「いや、私もそう思ってたから」
 理恵は栞にそれでと返した。
「私もあんたにね」
「パフェ驕ってくれるの」
「そうするわ」
 こう言うのだった、そして実際にお互いに驕り合った。そのうえでシリーズでも彼の活躍を観たのだった。
 そして数年後二人は大学に行き就職したがそれでも友達付き合いをしていたが。
 彼を観てだ、仰天し続けていた。
「メジャーでも投打二刀流で」
「一六三キロのシンカーに一三八キロで五十三センチ真横に曲がる魔球に」
「一九二センチ落ちるカーブに一五一キロのスプリット」
「ピッチャーでホームラン王」
「WBCで大活躍」
「ドジャースで一千億円」
「完全に異世界主人公じゃない」  
 茫然として二人で言うのだった、その彼大谷翔平を見て。そして異世界転生ものの主人公の様な人間は実在すると再認識したのだった。この設定は笑い飛ばせないと。


黒歴史   完


                    2023・12・15 
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