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第四章

「それまでなら」
「優勝は阪神ね」
「ああ、そして」 
 そのうえでというのだ。
「また日本一だよ」
「二年連続で」
「今首位だしな」 
「このままいくっていうのね」
「それでカープはな」
「去年と同じで」
「二位だよ、それに」 
 妹に顔を向けて話した。
「クライマックスでやっつけてやるよ」
「返り討ちにするから」
 妹も負けていなかった、目も輝いている。
「覚悟してね」
「言うな」
「そして今年こそは」 
 その輝いている目で話した。
「日本一よ」
「四十年ぶりか」
「そうよ、もうね」 
 やれやれといった顔になっても目は死んでいない、そのうえでの言葉だった。
「かれこれよ」
「カープの日本一はそれだけになってるな」
「昭和五十九年に日本一になって」
 西暦では一九八四年になる。
「それでね」
「もうそれだけだな」
「だからね」
「四十年ぶりにか」
「阪神は三十八年ぶりだったけれど」
 昭和六十年、一九八五年からのことである。
「けれどね」
「カープは四十年か」
「その頃のカープは」
 千佳はさらに話した。
「山本さん衣笠さんの時代で」
「まさに赤ヘル黄金時代だったな」
「あの人達がいてくれて」
「強かったな」
「二度日本一になって」
 そうしてというのだ。
「それから四年後にね」
「また日本一になったな」
「赤はそのままで」 
 カープの色はというのだ。
「それで見事日本一になった」
「その頃だな」
「そしてよ」 
 兄に顔を向けて話を続けた。
「あれから四十年でね」
「日本一になりたいよな」
「当然よ、巨人は暗黒千年王国が来て」
 この邪悪そのもののチームのことを言うことも忘れない。
「万年最下位でね」
「それは僕も同意だな」
「そしてね」 
 そのうえでというのだ。
「カープがね」
「今年は日本一か」
「そうなる為に」
 是非にというのだった。
「打線にはね」
「奮起して欲しいんだな」
「このままじゃあ日本一どころか」
 それこそというのだ。
「リーグ優勝も出来ないわ」
「今首位阪神だしな」 
 妹にドヤ顔で応えた。
「そうだしな」
「ほんの少し忌々しいわね」
「ほんの少しか」
「だって最後に首位になってるのはカープだから」
「打線が奮起してか」
「そうなってね」 
 そのうえでというのだ。 
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