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偽マフティーとなってしまった。

作者:連邦士官
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7話

 貨物室の中でお互いを確認する。俺〜アハトまで全員がかぼちゃを被ってるために服で違いを見せていた。

 俺の服はスーツだ。しかし、上はからし色のジャケットに中は薄いブルーのシャツに黄土色のネクタイ、ズボンは紺色でベルトは黒。胸のポケットにすぐにリーダーだとわかるようにサングラスがつけてあり、かぼちゃの色が赤と白で縦半分に別れている。

 ツヴァイはジャミトフの格好を、ドライはブレックスの格好をフィーアはザクレロもどきで待機してるがフル・フロンタルの格好をしている。

 フュンフは初代連邦政府大統領、ゼクスはジオン・ズム・ダイクンの格好、ズィーベンはシロッコの格好、アハトはマンハンターの格好をしている。まともなのは俺のスーツしか居ないな。

 客室まで駆け上がるとよく見た光景だ。取り押さえられている。怪我人が何人か出ているようだ。

「連邦政府閣僚各位の諸君に申し上げる。私がマフティー・エリンだ。」
 前列に歩きながら演説をする。練習したんだギレン、ジャミトフ、ブレックス、レビル、シャア、彼らの動きと演説の仕草を。

「まさか、マフティー!?私達死ぬの?」
「あいつら、躊躇なく撃ったぞ。」
「見ないほうがいい。」「あんなかぼちゃで人類の革新のつもりか?」
 ざわつく機内。しかし、俺には一つ気になることがあった。
 
「護衛はまだ生きてるか?それを気にしている閣僚がどれほど居る?ケネス大佐。」
 ゆったりと手を上げ、空を仰ぐ。

「俺に人の心の中などわからんさ。マフティー・ナビーユ・エリンならニュータイプなんだろう?そのマフティー性とやらで、大臣たちの内側を見てみたらどうなんだ?マフティー。」
 バカにした動きにツヴァイが銃を構える。白スーツの男にジャミトフの格好をしたものが銃を構えるとはフフッと笑いが出てしまう。

「何がおかしい!」
 ケネスの怒りに触れたようだ。確かにハイジャックをしてきて、勝手に撃って怪我人について触れるのはナンセンスだな。

「いや、無能共に搾取される護衛やケネス大佐は可愛そうだと思ってな。他意は無い。謝るよ。」
 落ちていたワイングラスを拾い上げるとそれをケネスに投げた。いきなり投げられたケネスは驚きながらグラスを手に取る。

「おい、そこのバーテンダー。一番高いワインと一番濃度が高いアルコールを用意しろ。怪我人の手当をする。お偉方のシャトルなら医者や看護師も居るだろう?名簿を用意しろ。今から従業員も全てマフティーの客人だ。」
 バーテンダーがすぐさま、セラーからワインを出すとそれを受け取り、恭しく落ちてるグラスを拾う。

「ケネス大佐、注いでやるから来い。」
 言われるがままにケネスはこちらに向かう。グラスを差し出せと促すと素直に出した。片足を前に出して半身になり、ワインを注ごうとする。

「おい、ケネス大佐。俺の腰の拳銃を取ろうとしてるところ悪いが高級ワインが不味くなる。やめて素直に飲め。マフティー・ツヴァイ、負傷者を医者と一緒に処置してやれ。連邦政府閣僚各位の皆さんとは違い、職務を全うしようとした戦士だ。丁重に扱え。恙無くな。死ぬにしても戦士たちの魂の帰る場所は用意せねばならん。」
 ワインを注ぐと自分のグラスにも入れて、ケネスとグラスを合わせた。例えうまく行かなかったとしてもこの事実だけでケネスはマフティーと繋がっているとなり、キンバレーが失脚させるだろう。

「ケネス大佐。滅びゆくモノの為に。」
 ケネスが訝しげにワインを飲むとこちらも飲もうとしたが‥‥。

「なぁ、諸君等はどのように、この船の情報を掴んだのかね。そして目的は?」
 一人の男が立ち上がって聞いてきた。

「答える義務は無いはずだが。連邦政府もこちらの質問には応えないのだから当然だろう?」
 撃とうとするドライたちを手で制しながら保健衛生大臣ハイラム・メッシャーの質問をやめさせる。

「しかしねぇ…わたしたちとしては、君たちの組織の秘密を調べる立場に居るのだから…。」
 負傷者の手当てをツヴァイとやっていたアハトが立ち上がり、ライフルの銃床で殴りつけ、保健衛生大臣は額から血を流して倒れた。

「君たち閣僚各位の為に怪我をした護衛がいて、眼前で手当てをされているにも関わらず、連邦政府議会と同じとは恐れ入る。ケネス大佐、これが地球連邦の実態というやつだな。このワインと同じで味わい深いシステムなようだ。連邦の民主主義の味とやらは。マフティー・ツヴァイ、保健衛生大臣も手当してやれ。バーテンダー、気付けに大臣にウィスキーかバーボンと氷を頼む。奴も悪気があったわけではあるまい。弾みだよ。すまないなケネス大佐。詫びにもう一杯、ワインを飲み給え。」 
 グラスをケネスに渡すと宣言を続けることにした。 

「ようやく名簿が届いたわけだが、保健衛生大臣のおかげで空気が悪い。バーテンダー、酒とつまみを皆に振る舞ってやれ。だが、未成年には飲ませるなよ?我々の目的に反するからな。ケネス大佐にも手伝ってもらうぞ。女性陣は機の前方に来て、男性陣は後ろに座り給え。なに、問題はないさ。マフティー・ドライ。閣僚は一番前に座らせろ。」
 指示を出していく。ちらりとやや天然パーマの青年と目が合う。ハサウェイ・ノアだ。

「次は、ハサウェイ・ノア。ブライト・ノアの息子でシャアの反乱時に戦ったって言うのか?」
 ドライ、父親の名前を出して刺激するのやめろ!ケネスより危ないんだぞそいつ! 

「絡むんじゃない、マフティー・ドライ。すまないな。戦士である君を侮辱するような発言をマフティー・ドライがやってしまって。パイロットをしていた人間を蔑ろにするなどとはすまない。」
 刺激しないように2回謝り、席を立とうとする。

「マフティー性やマフティーって何だと思いますか?」
 ハサウェイ!見抜いたのかお前!マフティーであるお前がマフティーを知らなければ偽マフティーの俺がマフティーを知るわけ無いだろう。

「誰にもわかりはしないさ。マフティーにはマフティーの道理があるだろう?」
 顔を顰めるハサウェイにフルネームが良かったかと言い直す。

「マフティー・ナビーユ・エリンにはマフティー・ナビーユ・エリンの事情や道理があるだろう?」
 ハサウェイから顰め面がとれた!逃げ切った!マフティーからマフティー問答されるとかなんの地獄だよ。

「なら、ダンスマフティーは何を目指すと思うんですか?武装マフティーさん。」
 あの白い服のシルエットは‥‥ギギ・アンダルシア!割り込んでくるなお前!ハサウェイ起爆スイッチだろが!

「意外と何も考えてないかもしれないぞ?」
 うっ、ハサウェイの顔が曇った!ふざけるなよギギ!

「考えてないから考えられる事もある。無いからこそ有る事だってある。」
 ハサウェイの顔が少し、マシになった。

「だけれども皆さんはマフティーが好きみたいですよ。」
 タブレットでマフティーダンス動画を流してハサウェイを刺激するな!電子レンジに入れられたダイナマイトみたいな奴なんだぞハサウェイは!

「女!何を見ている!」
 フュンフ、構うな下がれ。関わったやつが不幸になるシャクティみたいな女なんだぞ!

「フフッ、可愛いですよ。マフティー・ナビーユ・エリン、スーダン語、アラブ語、古アイルランド語の構成。とても人の名前じゃないわ。」 
 ダナ・キライとかライラ・ミラ・ライラ、ジュンコ・ジェンコよりはだいぶマシに思えるがハサウェイが反応してる!やめろお前!

「何だこいつー?イカれてるのか?名前はギギ・アンダルシア?隣の席も確保してるだと?大層な金持ちだな。」
 フュンフやめろ!ハサウェイが苛立つ!ハサウェイは本気のマフティー活動をしているマフティーなんだぞ!

「やめろ、マフティー・フュンフ。レディーに失礼だ。女性がいくら環境ストレスに強いといえど、この緊張感だぞ。バーテンダー、女性陣になにか飲み物を。」
 飲み物を飲ませて黙らせてやる。

「ほらね?」
 マフティーダンス動画をまた機内で流すな!しかも、なんだそれは!?

 動画には金属の箱が出てきて、風刺社会派モノマネ芸人の一人が初代連邦政府大統領に扮して箱に石を入れている。

 次に箱の前で、ジオン・ズム・ダイクンのモノマネ芸人が踊り、消えたと思ったらザビ家のモノマネ芸人とレビルやティアンムなどのモノマネ芸人と箱を取り囲むように踊り、次にはデラーズとワイアットのモノマネ芸人が箱の周りで踊る。

 その後も宇宙世紀のおさらいのような人物たちがこの前で踊り、クワトロの格好をしたモノマネ芸人がサングラスを捨ててシャア・アズナブルの総帥服に着替えアムロ・レイとブライト・ノアと共に箱の前で踊り、アクシズをバックに二人で踊り、アクシズは緑色の光に包まれ割れてどこかに消えていった。そしてフル・フロンタルなどのモノマネ芸人により箱は開かれ、開かれた箱の前でかぼちゃマフティーが一人踊りまたもう一人とかぼちゃマフティーが増えていき、最後は地球圏の地図の上で無数のかぼちゃマフティーが踊っていた。

 マフティーでわかる宇宙世紀かなにかか?頭がいかれてるんじゃないか?作ったやつは。ラウ・ル・クルーゼみたいにポエムしてろ‥‥って、その動画ジャックのアカウント(アカ削除がエコーズからのかぼちゃ狩りが始まって729回らしい。)だろそれ!?何が封鎖された正しい歴史観を連邦に促す動画だ!ハサウェイも見入ってるじゃないか!ジャック、お前の考えるマフティー性の可能性に殺されそうだ!ふざけんなよあいつ!

「何が言いたい?ギギ・アンダルシア。」
 最悪、猿轡をして縛り付けてやる。いや、マフティーが許すわけがない。マフティーの清廉さをマフティーがやらねば、ハサウェイと言うマフティーが俺たちを粛清する。クソみたいな仕組みだぞ!

「マフティーのやり方、正しくないよ。選挙に出たらどうなの?」
 ふざけるな、ハサウェイが口を開けてるでしょうが!お前の正しい、正しくないとか聞いてないんだよ。

「お嬢さんは勘違いをなさる。我々は連邦政府閣僚各位を身代金の対象としているだけだ。」 
 ギギによるハサウェイの怒り数値より、まだ俗物数値が上がってハサウェイが正しいマフティー活動しなきゃってなってくれたほうがマシだ。マフティー活動で殺されるよりもマシもマシ、ハサウェイにマフティーポイントを貯めるんじゃないよ!

「嘘でしょ。だって、捕虜にする気じゃない。わかるよ、そういうの。」
 ふざけんなよお前、ハサウェイにしたぐらい気遣えよ、他の奴らもギギに目を奪われるな。

「気を引いたところ悪いが、動いてるのが見えてるぞケネス大佐。女の陰に隠れてシートを尻で温めるだけなのは嫌だろうが諦めろ。次になにか変なことをしたらマンハンターの親玉から地球に自由降下させてガイアを全身でわからせてやる。」
 わかったなら座れと促し、ケネスをなだめる。ハサウェイという地雷に気を付けながら、ケネスとギギと言う迫撃砲を避けないといけない。マフティーとはなんと辛い役目なんだろうか。

「マフティー・ゼクス、ケネス大佐の指を縛れ。一度起きた火は消さないとな。」
 ゼクスにケネスを縛らせた。そうだ!

「よく喋る女はケネス大佐の子守をしてやれ、大佐というのは母性を求めるものだ。」
 コレでケネスとギギはアハトに完全に監視させられる。

「途切れてはいたが、地球連邦政府閣僚各位に申し上げる。君たちは捕虜としてオエンベリへと一緒に来てもらう。しかし、従業員は単なる地球に住む民間人でしかない。君たちはオエンベリに着き次第、順次解放する。」
 その宣言にさらにザワつく。

「なら、私達もだわ。貴方帰るわよ。」「月の株価がこの事件でどうなるかわからないが儲けられそうだな。」「積み込んだお土産も持たしてくれるのかしら?」
 好き勝手に話をするものだ。

「よくも喋る!上流階級の乗客の皆様は不当な権力により地球に居座っているのだから当然捕虜になるだろう。マフティーとして申し上げる。そういう自分本位で他者を顧みないからこそ、地球が泣き叫ぶのだ。特にフィフスルナが落ちたことで快適になったと地球に巣食う魂を引力に引き寄せられた存在になるのだ。」
 ハサウェイは今の発言に同意しているようで黙っている。マフティーを見ながらマフティーを語ってマフティーを起こさないようにするなどとは意味もわからん。

「あと、1時間程度のフライトだから気にしなくてよい。バーテンダー?いきなりどうした?」
 バーテンダーがいきなり俺の前でマフティーダンスをおどりだした。射殺されたいのかお前。

「私も、私もマフティーに参加させてください。」
 知らんがな。疲れた、もう寝る。

 あとはツヴァイに任せて、俺は運転席で寝ることとした。


 
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