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メイクは大変

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第一章

                メイクは大変
 新入社員のOL徳田楓は朝が弱い、それで毎朝起きて出勤前のメイクの時間を取ることに苦労していた。
「学生時代はそんなにだったのが」
「社会人になって違うっていうのね」
「はい」 
 先輩の宮沢萌絵に答えた、一五一程の背で均整の取れたスタイルだ、童顔で黒髪を肩の長さで切り揃えている。萌絵は黒髪をロングにしていて一六五の身長でスタイルがいい。切れ長の大きな目で赤い唇の整った顔立ちの持ち主である。
「どうも」
「それが世の中よ、いいか悪いか別にして」
「社会人ならですね」
「メイクはね」
 これはというのだ。
「女性ならよ」
「必要ですね」
「外で働くならね」 
 それならというのだ。
「もうね」
「それは常識ですか」
「そうよ、ただね」
 ここで萌絵は楓にこう言った、今は二人で会社の倉庫の整理を一緒にやっている。そうしながらのやり取りである。
「手早いメイクもね」
「必要ですか」
「ルージュとアイシャドー塗って」
 そうしてというのだ。
「ファンデーション付けるだけでもね」
「いいんですね」
「さっとメイクしても」
 萌絵は話を続けた。
「別にね」
「いいんですね」
「そう、メイクは必要でもね」
 それは常識となっていてもというのだ。
「手早くでもいいのよ」
「そうですか」
「それで奇麗ならね」
 それならというのだ。
「いいのよ、そうしたテクニックを身に着けるのも」
 これもというのだ。
「社会人にはね」
「必要なんですね」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのだ。
「徳田さんもね」
「手早く奇麗に」
「そのスキルを身に着けていってね」
「わかりました」
「メイクは少しでも」
 それでもというのだ。
「しっかりと寝て食べる」
「その二つの方が大事ですか」
「そうよ」
 萌絵はしっかりとした声で言った。
「メイクよりもね、メイクで奇麗にしても」
「あっ、睡眠不足はお肌が荒れますし」
「しっかり食べないとね」
「そちらもよくないですね」
「健康になれないし」 
 しっかり食べないと、というのだ。 
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