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星河の覇皇

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第八十六部第三章 学園の理事長としてその七

「決してだ」
「してはならない」
「軍のコントロールはしても」
「介入はしないことですね」
「それを失敗したのがヒトラーだ」
「戦略戦術に常に介入し」
「ドイツの敗北を招いた」
 そうなったというのだ。
「彼はな」
「ヒトラーは政治家であり」
「文民だったな」
「その立場は」
「現役の武官でないのならな」 
 それならというのだ。
「文民となる、確かに軍隊にいたことはある」
「一次大戦の時に」
「そして伍長にまでなった」
 このことからちょび髭の伍長閣下と彼を疎ましく思う派の軍人達に裏で言われる様になったのである。
「だが当時はな」
「軍には所属しておらず」
「文民でだ」
「現場にもいませんでしたね」
「そうだった、戦場には」
「しかししきりに介入し」
 それは特に東部戦線で顕著であった。
「ドイツ軍の傷を拡大させ」
「崩壊を招き」
「あの様にな」
「敗北もですね」
「そうなった、ドイツはまだソ連には勝てたかも知れないが」
 それでもというのだ。
「アメリカには負けていただろうが」
「国力の違いで」
「しかしだ」
「あの様に敗れたことについては」
「ヒトラーの現場介入も大きかった」
 戦略戦術に対するそれがだ。
「彼は戦場にいなかったが」
「しきりに戦場のことを言い」
「あの様になった」
「それだけ文民の戦場の介入は危険ということですね」
「オーナーがチームの采配に口を出す場合と同じだ」
 スポーツで言うならとだ、八条は述べた。
「選手の起用や戦術にな」
「それはまさに」
「チームの弱体化へ向かう道だな」
「まさに」
「そう言うとわかりやすい、政治家の戦場への介入はな」
「絶対にしてはならない」
「だから私もだ」
 八条自身もというのだ。
「先のエウロパ戦役でそうしたしだ」
「海賊征伐でもですね」
「マウリア国境の解放軍との戦闘でもな」
 こちらについてもというのだ。
「そうした」
「現場のことは軍人に任せる」
「これはどんな戦争でも敗れる」
「どれだけ優勢でも」
「戦場にいない者は戦場を動かしてはな」
「グラウンドにいない者が言うのと同じで」
「上手くいく筈がない」
 絶対にというのだ。 
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