金木犀の許嫁
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第十四話 真田家の人その二
「他のところの人達にはわからなかったのよ」
「何でもわかりにくくする為にそうしたのよね」
「他の人達が聞いてもわからない様にね」
何を言っているかだ。
「そうしたのよ」
「そうだったわね」
「それで秘密守ってたのよ」
藩のそれをだ。
「聞いてもわからないならね」
「秘密もわからないから」
「だからよ」
「敢えて独特の方言にしたのね」
「そうなの、だからご先祖様達もね」
「神戸に来た時は苦労したのね」
「周りもね、本当にわからなかったから」
その言葉というのだ。
「じゃっどんって言われてもね」
「その薩摩弁ね」
「わからないでしょ」
「いきなり言われてもね」
夜空もそれはと応えた。
「相当にね」
「うちの学園世界中から人が来て日本中からもだけれどね」
「方言もよく聞くわね」
「そうでしょ、けれどね」
それでもというのだ。
「その方言の中でもよ」
「昔の薩摩弁は凄かったのね」
「もう喋られる人殆どいないらしいけれど」
今の鹿児島弁とは違うのだ、ただ今の鹿児島弁にしても他の地域の人からすればかなり独特だという。
「けれどね」
「凄くて」
「日本語とは思えない位だったのよ」
「だから秘密も漏れなかったのね」
「ええ、けれどね」
「他の地域の人達とのやり取りにはなのね」
「苦労したのよ」
秘密は守れてもというのだ。
「そうだったのよ、ただね」
「ただ?」
「ここに来てから二代目さん以降はね」
神戸に入ってというのだ。
「もうこっちの言葉に馴染んで」
「普通になったの」
「そうみたいよ、ずっとそこにいたら」
「方言もそっちになるのね」
「ええ、そうなるのよ」
こう妹に話した。
「だって二代目さん以降は神戸生まれでね」
「神戸育ちだから」
「方言もよ」
これもというのだ。
「こっちのものによ」
「なるのね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「これがね」
「そうなのね」
「それでね」
さらに言うのだった。
「初代さんも次第にね」
「こっちの言葉になったの」
「そうよ、それで私達になるとね」
「すっかりこっちの言葉ね」
「ええ、長野の言葉でもないでしょ」
「幸村さんもご先祖様達もあっちの生まれ?いや」
ここで夜空は自分の祖先の猿飛佐助のことを思い出して言った。
「佐介さん伊予の人だったわね」
「愛媛県ね」
「そうだったわね」
「そう言われてるわね」
「本当かどうかわからないけれど」
「ええ、けれど長野県の人にお仕えして」
それが真田幸村であるのだ。
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