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星河の覇皇

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第八十六部第三章 学園の理事長としてその三

「あまりにもかかる、その労力と予算はだ」
「我々の発展に使えば」
「遥かにいい」
「それによって連合が豊かになれば」
「それでな、実際ローマをカルタゴを滅ぼすことに苦労した」
 カルタゴを攻めて三年もの歳月を擁した、その間多くの犠牲を払いそのうえで何とか滅ぼしたのである。
「その苦労を連合もするか」
「その労苦を発展に使えば」
「連合はより豊かになりな」
「巨大になりますね」
「そうなる、無花果もだ」
 ここでだ、八条は。
 自分の前のテーブルにあったその果物を手に取って言った。見事なよく熟れた赤紫の色の無花果であった。
「より美味しくなる」
「その果物もですね」
「大カトーも言ったな」
「カルタゴの無花果を議会に持って来て」
「そして落としてみせて言った」
「よく熟れた無花果だと」
「これだけの無花果をカルタゴは作る」
 その様に実際に言ったという。
「ローマから僅か三日の距離にカルタゴがあるとな」
「左様でしたね」
「船でな」
「そうでしたね」
「こう言う政治家は連合にはいない」 
 一人もというのだ。
「他の職業でもな」
「そうしたことはですね」
「無花果があればだ」 
 その無花果を見つつさらに言った。
「より美味しいな」
「そうした無花果を考えますね」
「それを作りたいとな」
「それが連合ですね」
「そうだ、そしてその方がな」
「結果としていいですね」
「連合の方が遥かに大きいし先進的だしな」
 このことがあるからだというのだ。
「今以上にだ」
「発展すればですね」
「それでいい、あと私は大カトーは好きでない」
 話に出ているこの政治家はというのだ。
「どうもな」
「そうですか」
「確かに優れた政治家でローマを愛していたが」
 このことは事実だがというのだ。
「どうにも頑固でな」
「その要素が強いので」
「それでだ」
「お好きではないですか」
「そして彼はよかれと思ってしたことだが」
 ローマのことを想ってというのだ。
「王制、専制の芽を摘んでいったな」
「その全てを」
「それがカエサルの改革の邪魔にもなった」
「ローマが生まれ変わることに邪魔になった」
「ローマは巨大になった」
 都市国家のローマが大国になったというのだ。
「それに対してローマはあの様なシステムでは統治しきれなくなってだ」
「国家システムを変える必要があった」
「それをカエサルが行ったが」
「苦労しましたね」
「それには他の要因もあったが」
「スッラの存在も」
 この政治家であり軍人であった人物のというのだ。 
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