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私 あの人のこと 好きなのかも やっぱり好きなんだよ 昔からー

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1-2

 1学期の期末テストがあった日。帰りに香波ちゃんと電車に乗った時、向こうの乗降口に立っている彼の姿があった。ガラス越しの外を見詰めている。席は空いているのだが、私達も立ったままなのだ。先生から生徒は席が空いていても立つようにって言われているから。

 私は、香波ちゃんに話し掛けられても、彼の方をじぃ~っと見つめていた。だけど、彼は私の方を見ることは無く、外を見ているままだった。視線を感じないのかよー このアホ と思いながら、駅に着いて、彼はチラッとこっちを見たようだったんだけど、そのまま階段のほうに・・・。

 私の家とは、駅の反対側なんだ。おなじく、香波ちゃんの家もそっちの方なんで、香波ちゃんと別れて、少し間をおいて、私は後をつけてみようと思っていた。香波ちゅんの姿が見えなくなって、後を追ったのだけど、もう彼の姿も無かったのだ。

 私は、家に帰って、慌てて、カイを連れだして、山際のほうの住宅地に散歩を理由に歩いた。直ぐに、根性無しのカイはくたばり出していた。だけど、この辺りは駅前でもお店も無いので、人が出歩くと言うことも無く、誰とも出会わないのだ。ここの人は買い物に行くときは、近くの街まで車で出て行くのだろう。ウチも食料などのお買い物は週に1.2度、お母さんと車で10分程のところに買い出しに行くのだ。

 家に帰ると、姉ちゃんが居て

「カイを散歩に連れて行ったの? ミスドのポンデ 買ってきたよ おみやげ! ストロベリーとチョコ 好きでしょ! 今日、史也と行ったんだーぁ」

 史也というのは、姉ちゃんが付き合っている彼氏。隣の駅なんだけど、同じ中学に行っていて、電車も同じだから、中学の時に付き合うようになったみたい。でも、高校は別々になるんだと聞いたことがあった。

 私は、同じ中学の男の子なんて、エッチなことばっかー考えていて、バカどもと思っていたから、付き合ってと言われたこともあったけど、相手にして無かったのだ。それでも、私も姉ちゃんも顔立ちもそれなりに可愛いと小さい頃から言われていて、決して鼻にかけているわけじゃぁないけど、自分でも、人並以上よねとは思い込んでいた。

 そんな私だから、あの時、彼は私を見つめていてくれたのよ。私も、学校の男の子とは違うあの人の姿に・・・。と、自分で納得していた。それに、初めて、会った気がしない。何でなんだろう・・でも、何かが結び付けてくれたような・・・気がする。

 次の日も、私達が乗り込むと、反対側のドァのところに・・・居た。私は、急に恥ずかしくなってしまって、顔もあげれないでいた。香波ちゃんは話掛けてくるんだけども・・・いい加減に相槌をつくだけだった。でも、彼は、時々、こっちを見てくるような視線を感じていた。でも、私は、顔をあげて彼のほうを見ることは出来なかった。でも、彼の顔は陽焼けしているようなんだってことだけは、初めてわかった。

 駅に着いて、私達が先に降りて、私は家のほうに向かったのだけど、折り返して反対側に・・・だけど、香波ちゃんが、まだ居たのだ。

「うっ 真織 どうしたん?」

「あっ あー 香波に さよならって 言って無かったカナって」

「そーだったっけー サヨナラ!」

「うっ ウン サヨナラ」と、だけど、彼が山の方に上って行く姿だけは見えたのだ。そのお尻がプルンと上にあがっていて、可愛らしいかもといやーらしいことが眼に焼き付いていた。 
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