合コンでは何もなくても
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第二章
「廣澤綾子さん?」
「深沢正史郎さん?」
彼女も彼の名を呼んだ。
「合コンの時にいた」
「お互いに」
「こんなところで会うなんて」
「奇遇だね」
「合コンの時このお店のお酒とお料理が美味しくて来たけれど」
「僕もだったよ」
「それでお会いするなんて」
意外といった顔での言葉だった。
「わからないわね」
「そうだね、けれどこれからこのお店で食べるね」
「そのつもりよ」
「じゃあここで会ったのも何かの縁だし」
深沢は廣澤に笑って話した。
「一緒に食べようか」
「そして飲むのね」
「どうかな」
「それでは」
廣澤は深沢の申し出に笑顔で応えてだった。
一緒に店に入って二人で同じ席で向かい合って飲んで食べた、その時の酒も料理も美味く二人はどちらのことも楽しく話した、そしてここからだった。
二人は縁が出来て一緒にこの店に通う様になり他の店にもそうする様になった、そうしてであった。
「今はか」
「交際してるよ」
深沢は会社で同僚に笑顔で話した。
「楽しくね」
「合コンで何もなかったのにな」
「後で縁が出来て付き合う様になったよ」
「世の中わからないな、けれど」
同僚はそれでもと言った。
「それで幸せになれるなら」
「いいんだ」
「そうだろ、幸せになれたらな」
それならというのだ。
「もうそれでな」
「いいんだね」
「ああ、じゃあこれからもな」
「楽しく飲んで食べてね」
「付き合っていけよ」
「そうするよ」
深沢は笑顔で応えた、そうしてだった。
廣澤と楽しく交際をしていった、合コンの時は何もなかったが今はそうしていた。二人はそれをよしと笑顔で言うのだった。
合コンで何もなくても 完
2024・4・17
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