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夢幻水滸伝

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第三百四十四話 奇策破りその九

「これより」
「そういうことね、そうしてくるとはね」
「思わんかったやろ」
 トウェインはにやりと笑った、その顔は所謂ドヤ顔になっていた。
「しかし打つべき手はや」
「全て打つ」
「そうして勝つのがな」
「戦ですね」
「そやからな」
「そうされますか」
「そや、こうしてな」
 この言葉と共にだった。
 トウェインはサンダーバードの背から飛んだ、そして。 
 デリーロから離れた、そこから即座にだった。
 まずはバルムンクを上から下に一閃させた、するとだった。
 街の東から中央に向かう大通りを剣から放たれた衝撃波が一直線に進みそこにいたデリーロの軍勢を左右に吹き飛ばした、将兵も兵器も障害物も全てそうした。
 その一閃の後でだ、トウェインは言った。
「これでどないや」
「くっ、こうなっては」
「守れんな」
「それ以上に軍の将兵が心配です」
 彼等こそというのだ。
「こうなっては」
「選択肢は一つやな」
「一つしかなくなりました」
 こうトウェインに返した。
「むしろ」
「そやな、ほなな」
「全軍まずは街の中央に撤退して下さい」
 サンダーバードの落雷に対しつつ命じた。
「あたしも行きます」
「は、はいわかりました」
「それではです」
「今より撤退します」
「死傷した人も忘れへんで」
 デリーロは彼等のことも話した。
「ええですね」
「撤退します」
「街の中央まで」
「そうします」
「迅速に。中央に集結したらまた指示を出します」
 悔しさに満ちた言葉で言ってだった。
 デリーロは今度は撤退する軍の後詰になってトウェインに言った。彼は今はサンダーバードの背に戻っている。
「やられましたが」
「まだ諦めてへんな」
「戦います」 
 目は死んでいなかった、そのうえでの言葉だった。
「このラファイエットで」
「そうやな、ほなここは」
「皆が安全な場所に退くまで」
 まさにその時までというのだ。
「後詰になります」
「そうするな」
「はい」
「そやな、ほなな」
「今度はさせません」
 先程の様にというのだ。
「絶対に」
「兵を逃がす為にか」
「何があっても」 
 こう言ってだった。
「そうします」
「そうするか、それならあらためてな」
「戦いましょう」
「お互いにな」
 対峙し言葉を交えさせてだった。
 二人は一騎打ちを再開した、デリーロは先程まで以上に真剣でありトウェインも隙を見出せず彼の相手に専念するしかなかった。 
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