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天敵はジステンバー

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第二章

「狼は敵でな」
「悪魔みたいだったのね」
「童話でもそうだろ」
「赤頭巾ちゃんとかね」
「けれどな」 
 それがというのだ。
「日本だとな」
「完全に農耕社会だったから」
「だからな」
「狼は獣害を防いでくれるから」
「有り難い存在でな」
「それは変わらなかったのね」
「だから乱獲はな」
 これはというのだ。
「なくてな」
「他のことで」
「絶滅したって言われてた理由はな」
 これはというのだ。
「実はな」
「ジステンバーだったのね」
「これが流行してな」 
 海外から来た犬が持っていたという、開国から人だけでなく犬も入って来ていた故のことであるのだ。
「ニホンオオカミはな」
「絶滅したって言われてたのね」
「数が減ってな」
「そうなのね」
「それでな」
 夫はさらに話した。
「そうしたことを考えるとな」
「蚊は怖いわね」
「人間にだって怖いだろ」
「日本脳炎にもなるし」 
 だから学校で予防接種をしているのだ。
「マラリアだってね」
「あるからな」
「怖いわね」
「それで犬にもだよ」
 この生きものにもというのだ。
「怖いんだよ」
「そうよね」
「だからな」 
 それ故にというのだ。
「ふわりにもな」
「しっかりとよね」
「ジステンバーの薬もな」
「飲んでもらって」
「注射もな」
 こちらもというのだ。
「やってもらうぞ」
「そうするわね」
「さもないとな」
「本当になるわね」
「命に関わるんだ」
 ジステンバーに罹ればというのだ。
「それでだ」
「そちらも忘れないわね」
「狂犬病もでな」
「狂犬病も怖いけれど」
「本当にな」
 まさにというのだ。 
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