オズのヘンリーおじさん
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第六幕その十二
「全く以てな」
「素敵ですよね」
「鯨肉は」
「他の色々なお料理にも出来て」
「ハリハリ鍋にもですから」
「最高のお肉ですね」
「牛肉にも負けていないんじゃないか」
おじさんはこうまで言いました。
「これは」
「そうね」
ドロシーも鯨肉と青菜を食べつつ頷きます。
「鯨はそう言っていいわね」
「そうだな」
「どの部分も無駄なくね」
「食べられるんだな」
「そうなの」
鯨はというのです。
「そうしたものなの。あとね」
「あと?どうしたんだい?」
「オズの国じゃ誰も死なないわね」
このことについても言うドロシーでした。
「人間だけじゃなくてね」
「ああ、皆不老不死だな」
「そうしたお国ね」
おじさんだけでなくおばさんも言います。
「だから食べても」
「それでもよね」
「魂は不滅でね」
それでというのだ。
「身体もすぐにね」
「復活するな」
「そうなるわね」
「だから鯨もね」
この生きものもというのです。
「食べてもね」
「復活するんだな」
「そうなるのね」
「何度もね、北欧神話の神様でトール様がおられるけれど」
この神様のお話もするのでした。
「あの神様には二匹の山羊がいるわね」
「ああ、あの山羊達か」
「戦車を曳いている」
「あの山羊達も食べてもね」
そうしてもというのです。
「ちゃんとね」
「復活するな」
「そうなるわね」
「だからね」
それでというのです。
「他の生きもの達もね」
「復活するな」
「オズの国だと」
「ええ、お伽の国だから」
それ故にというのです。
「誰も死ななくて」
「食べられてもか」
「復活するのね」
「そうよ、例え崖から落ちても」
そうなってもというのです。
「死なないしね」
「それで、ですね」
恵梨香もハリハリ鍋を食べています、そうしつつドロシーに言いました。
「ドロシーさんが最初にオズの国に来られた時に」
「カリダに襲われてね」
「あのカリダは崖に落ちたわね」
「あのカリダもですね」
「死んでないわよ」
「そうですよね」
「それで元気に過ごしているわ」
今もというのです。
「そうしているわ」
「そうなんですね」
「他の皆もね」
「そうですか」
「だから安心してね」
「死なないということについては」
「そうしてね」
恵梨香に笑顔でお話します。
「そのことは」
「わかりました」
恵梨香も微笑んで頷いて答えました。
「そのことは」
「それじゃあね」
「鯨もそうして食べてますね」
「そうよ、じゃあハリハリ鍋もね」
「食べますね」
「そうしましょう、デザートは和菓子だから」
このこともです、ドロシーはお話しました。
「そちらもね」
「楽しめばいいですね」
「そうよ、そして明日もね」
「この街のお料理をですね」
「楽しんでいきましょう」
ドロシーは満面の笑顔で言いました。
「当然おじさんもおばさんもね」
「そうさせてもらうよ」
「本当に美味しいから」
お二人も笑顔で応えました、そうしてその夜は鯨料理を満喫するのでした。
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