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仮面ライダーAP

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黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第10話

 
前書き
◆今話の登場ライダー

◆リーナ・ブローニング/仮面ライダーSPR-13アサシネイトスパルタン
 「地獄の第4基地」から選抜された北欧某国の陸軍少尉であり、精鋭陸戦部隊「マルコシアン隊」の隊員。元欧州最速のスプリンターであり、家族や友人達、恋人の仇を討つために軍に入った過去を持つ。かつては明るい性格だったが、今は口数も少なく、笑顔を見せることもない鉄の女となっている。彼女が装着するアサシネイトスパルタンは、手足に装備された強力な電磁石で壁や天井に張り付き縦横無尽に駆け回る暗殺特化の機体であり、強化された脚部が特徴となっている。当時の年齢は19歳。
 身長は168cm、体重53kg。スリーサイズはバスト93cm、ウエスト58cm、ヒップ89cm。推定カップサイズはG。
 ※原案はカイン大佐先生。
 

 

 スザクスパルタンが戦っていた総合病院からさらに遠く離れている、エンデバーランド市内の美術館。その施設内に生存している(・・・・・・)人々の姿はほとんど無く、荘厳な姿の彫像をはじめとする美術品の数々が残置されている静寂の空間となっていた。

 照明の多くが破壊されているこの美術館内には、明かりも僅かしか残っていない。明滅を繰り返す微かな光明に照らされている館内の通路は、不気味な静けさに包まれている。

 勇ましい表情の女戦士を表現した彫像の勇姿も、この空間の中では見た者の恐怖を煽る無機質さに満ちていた。剣を構えた姿勢で造られていた彫像の手からは石の剣が滑り落ちており、何も持たぬ女戦士の像がその場に佇んでいる。

 ――そんな中。この薄気味悪い暗闇の中で、幾つもの彫像達の物陰に身を隠す1人の戦乙女が居た。
 美しい素顔を鉄仮面に隠している彼女の名は、リーナ・ブローニング少尉。暗殺及び隠密活動に特化した、スパルタンシリーズ第13号機――「SPR-13アサシネイトスパルタン」の運用を任されている、「地獄の第4基地」出身の新任少尉だ。

「はぁ、はぁ、はぁっ……!」

 息を荒げる彼女は自分を狙う「敵」の姿を探すように、しきりに辺りを見渡している。その弾みで、最小限(・・・)の外骨格を押し上げる豊満な乳房がぶるんっと大きく揺れ動いていた。

 「仮面ライダーギルス」を想起させる外観でありつつも、その漆黒の外殻は無機質な機械であることを強調したディテールとなっている。細く引き締まった腰部に装着された4本の鞘は、対改造人間用の高周波ナイフを仕込むためのものであり、それとは別に高電圧の鉄鞭も装備されていた。

 闇に紛れ、相手の不意を突き、仕留める。そのための装備だけを揃えつつも装甲を最小限にまで切り詰め、「当たらなければ問題無い」という認識の元で開発されたスーツなのだ。唯一重点的に強化されている脚部に、その意向が現れている。

 そして――そのような設計であるが故に。極限まで装甲を削ぎ落として「軽量化」されている彼女の外骨格には、装着者であるリーナの肉体にぴっちりと「密着」する仕様の強化繊維が使用されているのだ。

 かつては最速のスプリンターと謳われた彼女の肉体は、ウエストこそ細く引き締まっているのだが。58cmというくびれた腰つきに対し、安産型のラインを描いた89cmの桃尻と――推定Gカップの巨乳は、豊満な実りをこれでもかと主張している。極薄の強化繊維は、その蠱惑的な肉体の曲線をくっきりと浮き上がらせていた。

(んぅっ……もうっ、また大きく(・・・)なってる……! このスーツ、ほんとに私の身体に合わせてるんでしょうね……!?)

 最後に測った時には93cmを記録していた彼女の乳房だが、恐らくさらに「成長」しているのだろう。むっちりと実った瑞々しい巨乳と、出産に適した曲線を描く蠱惑的な桃尻。その2箇所の圧迫感に眉を顰めながらも、リーナは鋭い眼差しで周囲を観察していた。

 第4基地の荒くれ者達も思わず喉を鳴らした極上の肉体。その豊満な肢体は、隙間なく柔肌に密着している強化繊維を内側から容赦なく押し上げ、抜群のプロポーションを露わにしているのだ。
 自分のタイムが落ちた元凶である、たわわに実った釣鐘型の果実。そのずっしりとした張りのある重量感を疎ましく思いながらも、リーナことアサシネイトスパルタンは鋭い眼光で辺りを見渡し、「敵」の気配を探っていた。

(それにしても……さすがは改造人間、その中でも上位の連中、ってところかしら……! まさかこの私が、ここまで追い詰められるなんて……!)

 この美術館の中で彼女が対峙している、グールベレーの刺客。その上級戦闘員が装備していた武器はいずれも、アサシネイトスパルタンのものを遥かに上回る性能を持っていたのだ。加えて、本人の格闘能力もリーナを遥かに凌いでいる。

 ほぼ全てにおいて「上位互換」である強敵を前に、防御力が貧弱である彼女は身を隠しながら隙を窺うしかない状況となっていたのだ。しかし隠密行動においても敵の方が上手なのか、アサシネイトスパルタンは未だにグールベレー隊員の姿を見つけられずにいる。

「……!」

 ――だが。敵方はすでに、彼女の正確な位置を捕捉していた。アサシネイトスパルタンがハッと顔を上げた瞬間、弧を描くように振り抜かれた高電圧鉄鞭が襲い掛かって来る。

 咄嗟にその場から飛び退いた彼女は両脚の電磁石で壁に張り付き、そのまま天井へと駆け登って距離を取ろうとする。よもや地面ではなく、壁を走っているとは相手も思わないだろう。

「……ッ!?」

 だが、壁に両脚を付けている彼女の動きまで見えているのか、敵の鞭はそのまましなるように追い掛けて来た。その光景にアサシネイトスパルタンが瞠目する瞬間、グールベレー隊員の嘲笑うような声が響いて来る。

「ふっ……隠密特化の機体が標的を見失うとは、所詮三流の産物だな。俺の目には見えずとも、貴様の動きは手に取るように分かるぞ。その外骨格の『熱源』が、貴様の居場所を教えてくれているからなッ!」
「何ですって……!?」

 すでに位置は見抜いている。その事実を突き付けるかのように、壁を走るアサシネイトスパルタンを睨み上げていたグールベレー隊員は、鉄鞭を握る手を真横に振り抜いていた。

「くぅッ……!?」

 その動きに追従するかのように、高電圧の鉄鞭が鋭くしなり、アサシネイトスパルタンに襲い掛かる。無論、彼女の貧弱な装甲でまともに喰らえばひとたまりもない威力だ。
 アサシネイトスパルタンは咄嗟に壁を蹴り、宙返りで鉄鞭をかわす。くの字に大きく仰け反った彼女の豊満な乳房が、上下にぶるんっと弾んでいた。そして軽やかに地面に着地する瞬間、その弾みで乳房と桃尻がばるんっと躍動する。

(間違いない……! 奴は肉眼で私を視認出来なくても、私の外骨格(スパルタン)の「熱源」を探知する能力を持っている! これじゃあ、いくら身を隠してもッ……!)

 アサシネイトスパルタンの推測通り、グールベレー隊員の眼には標的の「熱源」を探知する機能が搭載されている。これではいくら暗闇に身を隠しても、すぐに発見されてしまうだろう。
 焦燥と消耗で息を荒げる彼女の肢体が、強化繊維の下でしとどに汗ばむ。身体に完全にフィットさせるため、下着を一切身に付けていない状態(ノーパン&ノーブラ)である彼女の裸身は、若く瑞々しい女のフェロモンをスーツの下で濃厚に熟成させていた。

 だが、どれほど追い詰められようと彼女もマルコシアン隊の一員。彼女はこの危機的状況の中であっても戦意を折られることなく、その双眸を鋭く研ぎ澄ませていた。そんなアサシネイトスパルタンの姿に、グールベレー隊員は眉を顰めている。

「はぁ、んはぁっ……!」
「……ふん、気に入らんな。これほど力の差を見せられても、まだそんな眼をしているのか。こういう往生際の悪い兵士ほど、下手に見逃せば厄介な死兵と化す。貴様のような奴は、早々に始末せねばならんッ!」

 この状況でもなお折れないアサシネイトスパルタン。そんな彼女に業を煮やしたグールベレー隊員は、とどめの一撃で彼女を葬ろうと鉄鞭を振るう。
 だが、乳房と桃尻をばるんっと揺らして跳び上がったアサシネイトスパルタンは、2本の高周波ナイフを投げ付けながら闇の彼方に飛び込み、行方を眩ましてしまった。

「むッ……!?」
「……死兵? 私達に勝ち目なんてない、とでも言いたげね。死ぬのはあんた達の方よ、シェードの改造人間ッ!」

 高周波ナイフの投擲を紙一重でかわすグールベレー隊員に対し、アサシネイトスパルタンは勇ましく吼えながら姿を消してしまう。そんな彼女の背中と巨尻を見失ったグールベレー隊員は、不遜に鼻を鳴らしながら己の「眼」で再び彼女を捉えようとしていた。

「……また闇に紛れたか、無駄なことを。俺の高電圧鉄鞭は貴様のモノより遥かに威力は上。対して貴様の軟弱な装甲では、一度でもまともに受ければ即死は免れない。加えて、俊敏性も俺の方が上回っている。貴様の外骨格(スパルタン)が最も得意としているであろう一撃離脱戦法も、この俺には通じん。つまり、速さでも攻撃力でも防御力でも俺に劣る貴様には、万に一つも勝ち目はない……ということだ」

 何度姿を消そうとも、アサシネイトスパルタンの外骨格が発する「熱源」を辿れば、彼女の位置は即座に探知出来るのだ。グールベレー隊員にとっては、彼女の奮闘など無駄な悪足掻きでしかないのである。

「そして……何度姿を消そうとも。貴様が外骨格無しでは戦えぬ『人間』である限り、ヒトを超えた改造人間たる我々を超えることなど不可能なのだよッ!」

 彼がアサシネイトスパルタンの位置を捉えたのは、それから間も無くのことであった。勇ましい姿の彫像達が並んでいる場所。そこに彼女が居ると睨んだグールベレー隊員は、振り向きざまに鉄鞭を振るう。

「……捉えたァッ!」

 装甲の薄い外骨格など容易く貫通し、装着者を一瞬で丸焦げにしてしまう威力の高電圧。そのエネルギーを帯びた鉄鞭が、ついにアサシネイトスパルタンの腕に巻き付いた。姿こそ暗くて見えないが、確かにその「手応え」がある。

「ハハハッ! 俺の勝ちだぞ鉄屑め、黒焦げになるが良いッ!」

 自身の勝利を確信したグールベレー隊員の嘲笑が、暗黒に包まれた美術館内に響き渡る。アサシネイトスパルタン――その装着者に終焉を齎す、必殺の電撃。その凄絶なエネルギーが、彼の鉄鞭から流し込まれようとしていた。
 
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