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神々の塔

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第六十話 酔いどれ詩人その二

「奇麗な光にもな」
「惑わしがあるわね」
「どうもな」
「目を惑わせてくるわね」
「見にくいわ」
 メルヴィルは歯噛みして言った。
「こうまで全部眩しいとな」
「普通のダンジョンでもね」
「構造自体は難しくなくてもな」 
 そうであってもというのだ。
「こうしてな」
「目に影響を受けるとね」
「その分な」
 どうしてもというのだ。
「難しいわ」
「そうよね、これは」
「色々考えてるわ」
 メルヴィルはダンジョンを称賛さえした、その難易度にいささかシニカルではあるがそれでもそうしたのだ。
「一階一階な」
「そうよね」
「そやからな」
 それ故にというのだ。
「この階を進むのもな」
「難しいわね」
「惑わされるからな」
 迷宮を彩る虹色の光にというのだ。
「そうやさかいな」
「本当にそうね」
「そやけどな」
 それでもだ、トウェインが語った。
「進むしかないわ」
「惑わされてもやな」
「そや、それでもな」
「そういうことやな」
「惑わされることもある」
 トウェインはこうも言った。
「光にも他のもんにもな」
「何かとやな」
「生きてるとな」
「その中でやな」
「ほんまな」
「惑わされることがあるな」
「往々にしてな、そやけどな」
 惑わされることがある、だがそれでもというのだ。人は考えるからこそ時にはそうなってしまうということである。
「それでもな」
「先に進むな」
「そしてな」 
 そのうえでというのだ。
「乗り越えるんや」
「自分を惑わしていたもんを」
「悪い奴にそうなってもや」
 トウェインはこうも言った。
「乗り越えなあかん、変なペテン師がおって」
「惑わされてもやな」
「気付いてな」
 その惑わされていたことにというのだ、ヘイトや選民思想を煽り自分の為に利用しようとする輩もこの世には存在するのだ。
「乗り越えるんや」
「そうした奴はこの世界にもおるしな」
「起きた世界にもおるやろ」
「ああ、映画の悪役みたいなのがな」
「中にはその悪役のモデルになった奴もおる」
 そうした輩の中にはだ。
「カルトというかな」
「カルトそのものでやな」
「人を惑わして」   
 その様にしてというのだ。 
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