金木犀の許嫁
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第七話 同居のはじまりその二
「だから嬉しい」
「そうそう、大阪名物なのよねバッテラって」
真昼はまさにと佐京の言葉に応えた。
「実はね」
「そうですね」
「鯖って大阪でよく食べられてて」
「そのことからですね」
「お寿司にもなってね」
「それでバッテラが出て来ましたね」
「ええ、大正の頃にはもうあったのよね」
この頃にはというのだ。
「もうね」
「それで今もですね」
「食べられているけれど」
それでもというのだ。
「出しているお店がね」
「減っていますね」
「そうみたいなのよね、いや私もよく知らないけれど」
「そうなんですか」
「だってお寿司ってそうそう食べられないでしょ」
蛸を食べつつその現実を話した。
「高くてね」
「そうですね、回転寿司でもないと」
「そうはね」
「入られないですね」
「お店自体にね」
「だからですね」
「お話を聞いてるだけで」
寿司屋で出る寿司の現状をというのだ。
「それでよ」
「言われているだけだっていうんですね」
「高校生が普通に行ける場所じゃないでしょ」
寿司屋はというのだ。
「回転寿司でもね」
「高いですからね」
「チェーン店でもね」
「贅沢な方ですね、回転寿司は」
「だからね」
それでというのだ。
「常連さんとかにはね」
「なれないですね」
「お寿司屋さんの常連さんってね」
回転寿司でない本格的なそれのというのだ。
「もうね」
「お金持ってる人ですね」
「それなりにね、私達はハンバーガーとかラーメンよ」
高校生が食べるものはというのだ。
「それでバッテラが今どうかとかね」
「実際にお店に行ってですね」
「わかるものじゃないわよ」
それこそというのだ。
「お話を聞くだけでね」
「お話されていますか」
「ええ、けれどこうして食べられるなら」
そのバッテラがというのだ。
「それでね」
「いいですね」
「本当にね」
「鯖は美味しい」
佐京もそのバッテラを食べて言う。
「とても。ただ」
「ただ?」
「関西では生で食べない」
夜空にこのことも話した。
「九州と違って」
「そうなのよね、九州だとね」
夜空は自分の酒を飲みつつ応えた。
「鯖はお刺身とかでね」
「食べて」
「美味しいのよね」
「一度福岡に行った時に食べて」
それでというのだ。
「美味しかったから」
「今言うのね」
「そう」
まさにというのだ。
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