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わんねー あいつに責任とってもらう だけど好きになっただけヤ

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14-6-2

 私達の試合の2試合後、所謂A代表の試合が始まった。美玖と桜が先発なのだ。試合は大阪代表が押し気味で進んでいて、始まって間もなく、フォワード陣がラックを押し込んで、美玖がトライを挙げて、それからも、バックスラインも相手ラインを突破していって、前半を終わって24-0と圧倒していた。

 後半が始まると、朝陽が交代で入っていた。先発の子が脚を痛めたので、交代らしかった。そして、朝陽は終了間際に1トライを挙げていて、終わった時には、43-5の大阪の大勝利だったのだ。

 お昼休憩の時、グラウンドの横に皆で輪になって座ってお弁当を食べていたのだが、朝陽はバナナと野菜サラダだけで

「お腹 重くなると走れないからネ 試合終わったら食べる」と、言っていた。食べ終わってしばらくして、3年のチームのセンターだった人 このチームのキャプテンなのだが朝陽に

「朝陽 あんたはすごいなぁー さっきはごめんな ふわぁっとしたパスやったのに ちゃんと踏み込んで受けてくれて それでもタックルにきた相手をボール取った瞬間に横っ飛びで交わしとったなぁー その次の相手もステップで・・・ あんたぁー 牛若丸みたいやなー 次の試合も頑張ってやー」

 午後の1試合目は私達以外のメンバーの大阪選抜と滋賀選抜で、26-5と圧倒していた。その4試合後に、大阪代表と京都代表の試合。朝陽は先発なのだ。彼女は最初から飛ぶように走っていて、彼女にボールが渡るとスタンドからも大歓声で・・・終わってみると44-7で、朝陽は4トライを挙げていたのだ。

 終わった後、私達はスタンドの応援団に並んで挨拶に行ったのだが、その時、桜中の校歌の大合唱で校長先生が先頭になっていた。あの人はどうしても桜中をアピールしたいのだよね と私達は話し合っていたのだ。

 次の日、学校に行くと掲示板の横で大きな模造紙に (飛んで跳ねたぞ! 女子ラグビー部キャンキャンズ 関西交流戦全試合勝利に大活躍!) と張り出されていた。これも校長先生の指示なのだろう。だけど、実際 そのフィーバーは確かで、私達の練習の姿を見る生徒達が増えていたのだ。相変わらず泉希は人気者で、彼女がボールを持つと歓声があがるのだ。女子生徒もなんだけど、中には男子生徒も居るのだ。そして、朝陽がボールを持ったときにも、その声が起こり始めていた。

 そして、数日後に桜子、美玖先輩の受けた学校の合格発表があって、みごと合格していたのだ。聞くと、繭子、充ちるに、もう一人大阪代表の時のメンバーの人も同じところに進むと言っていた。それこそ、高校でも全国制覇を目指すらしい。今の部員も2.1年生で10人位は居るらしいので、かなりレベルも高いらしいということだった。

 私は紅林監督に、前からうすうす考えていること、相談しようと思った。

「先生 あのな この前の試合のメンバーもウチ等キャンキャンズに彩が入っただけやんかー 全員市内のもんやでー そやったら なんも大阪選抜って言わんでも この地域の選抜っていうことでも、ええんちゃうんやろか? 場合によってはキャンキャンズだけでも戦えるでー」

「えっ ということは・・・」

「そうや 桜中の名前を全国に持って行くんやー 校長先生もきっと喜ぶでー」

「まぁ それはなー ・・・ まず ここの協会に相談せんとなー なんとも・・ とりあえず言ってみるか」

 紅林先生に連れ立って、私と璃々とで、協会の人を訪れて、こっちの趣旨を説明したが

「うむー それはー この地域の振興としては良いんですがー 夢のようですよねー あっ この前の試合観させてもらいました。すごいですねー 桜中の皆さんは・・・躍動する姿をわくわくして見てましたよ 確かに、地元の子ばっかーなんで誇らしかったですけどネ A代表にも5人も出てましたからね この地域が完全に主力でした。でもね 選抜チームの1試合目は、この地域の子ばっかりだったでしょ?  それも、桜中のチームでー あれは、多分 根来さんの ご好意なんですよ もちろん、普段のコンビネーションでってこともあったんでしょうけど・・ 普通はあんなことあんまり無いですよ! 反対する意見もあったとかー だから、この地域だけで代表選考に参加したいと言い出すってのはなぁー なんか 反旗を翻すってわけじゃぁないけど・・ うちも大阪府の協会の下部組織みたいなもんなんでねー 苦しいですよー」

「確かに 根来コーチは試合の後 そんな風なこと言ってたなぁー 反対もあったけど、押し切ったって」

「それとね おそらく、来年は君達主力はA代表になるでしょ この地域の代表を表明するならば 来年だけって訳にはいかないんですよー その次も 次も 続けられるんでしょうか?」

「うー そんなんはわからへんヤン・・・ 新入生の・・」

「だから どうでしょうか まだ 時期早々なんじゃぁないですか? 少なくとも、数年は頑張ってもらって、実績を重ねてからってことでー ただ この前の結果もあるので、来年もA代表のチームは 根来さんも協会の他の人も頭に入れていると思いますよ おそらく、あの時のメンバーで行くでしょう」

「う~ん 現状 しょうがないかー」と、私も璃々も半分納得していた。

「でもね この前でも 充分に桜中をアピールして下さったことには、感謝してるんですよ この地域を大いに盛り上げてくださいました。君達の学校愛もわかりましたから 今後も、協力出来るとこは積極的に協力させてもらいます まだ、検討段階ですが、来年のラグビーの集いでも 対外試合でと ご協力いただければ」

 と、結局 言い含められたようで帰ってきたのだ。
 
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