オシーンの夢
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第二章
二人はそのまま姿を消し気付けば青い海が前にある緑の美しい海岸に出た、その前に見事な城がありニアヴの言うままそこに入るとだった。
「ここが私達の城になります」
「ここで住むのか」
「はい、永遠に」
見事なオシーンが知るどの宮殿よりも見事な内装の城の中で妻は言った。
「そうなります」
「信じられないことだ」
「ですが事実です、そして」
「そして。何だ」
「一つ注意して欲しいことがあります」
「注意して欲しいこととは」
「素足で大地に足を触れないで下さい」
こう言うのだった。
「何があっても」
「そうするとどうなるのだ」
「二度と過去に戻ることが出来なくなります」
そうなるというのだ。
「この国にいる限り歳を取ることはありませんが」
「それがか」
「この国を離れることになり」
「このティル=ナ=ノーグからか」
「そうなり」
そうしてというのだ。
「貴方は歳を取ることになります」
「そうなるからか」
「ですから」
「素足をだな」
「大地に付けないで下さい」
「わかった、ではな」
「これよりこの城で暮らし」
ニアヴはオシーンにこのことを話すとあらためて微笑んで話した。
「そして領地を治めましょう」
「それであな」
オシーンは笑顔で頷いた、そうしてあった。
彼はその地の領主となり妻と共に領地を治める様になった、その地は実に豊かで畑ではあらゆる作物が好きなだけ手に入り果樹園でもそうだった。
「麦だけでなくな」
「他のものもですね」
「好きなだけ手に入る」
こう妻に言うのだった。
「牧場でもな、しかもだ」
「糧だけでなく」
「昼であって欲しいと思えば昼で」
その時間で過ごせてというのだ。
「朝と思えば朝、夜と思えば夜でだ」
「好きな時を過ごせますね」
「鍛錬も詩も狩りも楽しめる」
好きな事柄を全てというのだ。
「時もな、しかも周りの者達もものもだ」
「その全てが」
「そなたをはじめよき者達ばかりで武器も楽器も家具もな」
その全てがというのだ。
「素晴らしい、誰も老いず若くなろうと思えばなれて」
「好きな時を過ごせて」
「そして知恵と力もですね」
「手に入る、だが」
それでもとだ、オシーンは妻と共に穏やかな時を過ごす中で言った。今は白の中でそうした時を過ごしているのだ。
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