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そっくりの神々

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第一章

                そっくりの神々
 この時愛と豊穣の女神イシュタルは唸っていた。
「あの神は見れば見る程他神には見えないわね」
「イシュトー様ですか」
「あの方はそうですね」
「私達から見ましても」
「その様に思えて仕方ありません」
 女神の宮殿で彼女に直接仕える従神達もそれはと答えた。
「外見は流石に多少違いますが」
「性別も」
「ですが雰囲気がそっくりです」
「左様です」
「そうね、そっくり過ぎて」
 それでというのだ。
「気になって仕方ないわ」
「イシュトー様については」
「そうですね」
「どうにも」
「ああした兄弟はいない筈だけれど」
 血のつながりはないというのだ。
「けれどね」
「それでもですね」
「あの方についてはですね」
「あまりにも似ておられるので」
「気になるわ」
 こう言うのだった、そしてイシュトーの方もだ。
 神界の彼の宮殿でだ、自身の従神達に言っていた。妖艶な感じのする美貌と見事な肢体は性別こそ違えど確かに同じである。
「あの女神は私そっくりだ」
「はい、イシュタル様は」
「血縁関係はないですが」
「そして多少は違っていても」
「性別もそうであっても」
「どうもな」
 これがとだ、首を傾げさせながら言うのだった。
「別神に思えない」
「左様ですね」
「何故あそこまで似ているのか」
「気になって仕方ないですね」
「どうにも」
「全くだ」
 こうしたことを言うのだった、彼もまた。
 そしてだ、自身の従神達にこうも言った。
「一度イシュタル女神と直接話してだ」
「そうしてですね」
「そのうえで、ですね」
「何故ここまで似ているか」
「お互いにお話をしたいですか」
「そうしたい」
 この望みも言葉に出した、そしてだった。
 それはイシュタルも願っていることで彼女はその話を聞くとそれならとなってイシュトーと会って話をすることにした、それであった。
 二人はお互いに神界の神々が集う空中庭園で席をもうけて会った、緑の草木と水が豊富にあるそこでだった。
 お互いに顔を見合わた、そこでお互い言い合った。
「こうして会っても思うわね」
「そっくりだとな」
「多少違うだけでね」
「鏡合わせの様だ」
「仕草まで似ている様に思えるわ」
 イシュタルは自分の席に着いて言った。
「もうね」
「全くだ、ここまで似ているのは何故だ」
「わからない位ね」
「ではお互いのことを話すか」
「まずはね」
 お互いに話してだった。
 そうして一緒に話した、お互いの趣味や好きな事柄や食べものに飲みものの話もした。するとほぼ全てがだった。
「やはり同じね」
「何もかもがな」
「男が好きで」
「女が好きという違いがあるが」
「やっぱりね」
「私達は似ているな」
「そもそも名前まで似ているし」
 イシュタルはやれやれという顔と仕草、肩を竦めさせて言った。 
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