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ソードアート・オンライン 守り抜く双・大剣士

作者:涙カノ
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第52話 =真実=

 
前書き

内容は前とほぼ変わりはないと思います 

 


「はい……全部説明します…キリトさん、アスナさん…凛々の自由のみなさん…」


俺たちは今、今さっきまでユイたちがいた安全地域と思われる真ん中に黒い石の置いてある白い部屋にいる。


あの死神の最後の攻撃があたる直前、ユイが俺の正面にテクテクと歩いてきて俺の代わりにその攻撃を食らってしまった。
だがしかし攻撃の当たったユイの目の前には紫色のウィンドウで《Immortal Object》と、表記されておりユイの足がどんどん地面から離れていき、ユイの頭が同じく浮遊している死神の頭と同じ高さまで浮遊していた。
そして右手を突き出し炎に包まれた剣を創り出すと同時にアスナたちが時間をかけて選んだピンクのセーターが焼け落ちその下からはもともときていたという白いワンピースが現れる。自身が創り出した火焔剣をためらいも見せずに運命の鎌に対し振り下ろす、がやはりというべきか相手も負けておらず自身の武器でその攻撃を受け止めた。だがしかしそれももって数秒、突然火焔剣が輝きだし炎の球体がすべてを包み込み封じ込め、焼き殺していた。そしてその炎が晴れたとき、その場にはあの強敵の姿は存在せずワンピースの少女が立っているだけだった。

ユリエールさんとシンカーさんには申し訳ないけれど、転移結晶で先に帰ってもらった。2人とも人間が出来ているようで俺たちの表情を見ただけで事情を察知してくれて転移結晶を取り出してくれた。



そして今…ユイのその丁寧な言葉を聴いた途端、胸が締め付けられるような不思議な感覚がした。もちろん、うれしいものじゃなくて悲しいものに決まってる。

「《ソードアート・オンライン》という名のこの世界は、1つの巨大なシステムによって制御されています。システムの名前は《カーディナル》、それがこの世界のバランスを自らの判断に基づいて制御しているのです。カーディナルはもともと、人間のメンテナンスを必要としない存在として設計されました。2つのコアプラグラムが相互にエラー訂正を行い、さらに無数の下位プログラム郡によって世界のすべてを調整する…。モンスター、NPCのAI、アイテムや通貨の出現バランス…何もかもカーディナル指揮下のプログラム郡に操作されています。――しかし、1つだけ人間の手にゆだねなければならないものがありました。プレイヤーの精神性のトラブル、それだけは同じ人間でないと解決できない…そのために数十人のスタッフが用意される…はずでした」

キリトが「GM…」と小さく呟くとさらに何かに気づいたように声を上げる。

「ユイ……つまり君はゲームマスターなのか…?…アーガスのスタッフ…?」

「違うな」

突然の俺の声にみんなが…ユイまでもが俺の方を見る、が俺はしゃべってない…誰だ、ともいわずにソラだと俺はわかるが他のみんなはソラと名乗ってくれない限り区別がなかなかつかない。

「ううん、リクヤじゃない。ソラ…だよね…」

サチの声に見えてないだろうがリクヤとして俺は頭を下げておく。まぁ…幽霊みたいな感じになってるからソラの頭が動くわけでもないし声も届かない。

「悪いが俺に先を言わせてくれ…。カーディナルのスタッフはそれまでもシステムにゆだねようとあるプログラムを2種類を試作した。ナーヴギアの特性を利用しプレイヤーの感情をモニタリング、問題を抱えたプレイヤーの元へと赴き話を聞くプログラム…そしてその感情のモニタリングで得た情報を使い内部からの治療をするプログラムの2種類が…」

「内部からの治療のプログラムは俺…《メンタルヘルス・パーソナリティシステム》…SORAだ。そして……《メンタルヘルス・カウンセリングプログラム》、MHCP試作1号コードネーム《Yui》…そうだろ?」

「…はい……その通りです…」

ユイはソラの言葉を疑いようも無く認め、首を縦に振る。

「プログラム…AIだって言うの…!?」

「あぁ……最初ウィンドウを見たときに気づくべきだった…すまない…」

かすれた声でアスナがユイを見ながら言い、それにソラは頭を下げて謝っている。ユイは今流している涙は感情模倣機能によるもの、偽物だとそう涙を流しながら言った。

「でも…記憶が無かったのは…?」

「……それは恐らくカーディナル…もしくはマスターである茅場晶彦がユイの行動を制限したからだろう」

ユカの問いに答えたのはソラだった。それに続いてユイが言葉を引き継ぐ。

「…茅場という人物の情報はわたしにはないので詳しくはわたしにもわかりませんが、2年前の正式サービスが始まった日…カーディナルが予定にも無い命令をわたし、そしてソラさんに下したのです。プレイヤーに対する一切の干渉禁止…。具体的な接触が許されない状行でやむなくプレイヤーのメンタル状態のモニタリングだけを続けました」

状況は最悪と言ってもよかった…。ユイは自分が今まで見てきたすべてを言葉にして語ってくれた。ほとんどのプレイヤーが恐怖により常時支配、狂気に陥る人も少なくなかったとか…。本来ならユイとソラはそれぞれ、問題を抱えたプレイヤーのところまで行きサポートをするはずなのだがそれが出来ない。矛盾によるエラーを蓄積していきどんどんと崩壊させていった。メンタルヘルスプログラム系統がバグを起こせばプレイヤーにも何か問題が起こるのではないか、と判断したカーディナルは自らその制限を少し解き、まだまだ未完成…ユイよりも完成度の低かったソラをその時にもっとも問題のあったプレイヤーに派遣したらしい。

『その問題のあるプレイヤーってのが俺だったのか…』

全然自覚なんてありはしないけど…

「ある日…いつものようにモニターしていると他のプレイヤーとは大きく異なるメンタルパラメータを持つ人たちに気づきました。その脳波パターンは今まで採取したことの無いものでした…。喜び、安らぎ…でもそれだけじゃない、この感情はなんだろう、そう思ってわたしはその方たちのモニターを続けました。会話や行動に触れるたびわたしの中に不思議な欲求が生まれました。そんなルーチンは無かったはずなのですが…あの方たちのそばに行きたい、わたしと話をしてほしい……。少しでもそばにいたくて…わたしは毎日みなさんの暮らすプレイヤーホームから一番近いシステムコンソールで実体化しさまよいました…」

「それが…22層で出回ってるって言った幽霊……?」

シリカの問いにユイはあいまいだが首を縦に振りそれを肯定した。

「恐らくですが…キリトさん、アスナさん…わたし、ずっと、お二人に……会いたかった……森の中で、お二人の姿を初めてみた時……すごく、嬉しかった……。おかしいですよね、そんなこと、思えるわけ無いのに……。わたし、ただのプログラムなのに…」

その言葉を聴いたとき俺はいきなりソラに交代しろとほぼ命令口調でいい無理やり交代し自分の気持ちをユイにぶつける。

「ただのプログラムなんかじゃない!!」

「…えっ…?」

「お前がただのプログラムだったら…短かったけどあの楽しかった2日間はどうなるんだ!…全部偽物ってか…!?ふざけるな!!もしその気持ちが偽物なら今さっきの戦い、お前は俺を守る必要なんて無かっただろ!」

仮にユイがその偽物の気持ちを持っていたとしよう。そうだったらシステムコンソールに近づくプレイヤーを守る必要は絶対に無いしもっと言えば涙を流さずに淡々と今、言われたことを話せばいい。でも今実際にユイはユイの意志で俺を助けてくれたしこうして涙を流しながら辛いことを話してくれている。

「もう自分を偽物だなんて言わないでくれよ…!ユイはユイなんだよ…!」

「…リクヤの言うとおり。システムだろうがなんだろうがユイちゃんはあたしたちの妹にあることは変わりないでしょ」

リズも同意し、引き続いていってくれた。どんな状況だろうとユイが俺たちを兄、姉、父、母と認めてくれたことには変わりないし変わらせるつもりも毛頭ない。

「…ユイちゃん、今あなたが感じてる思いを私達に言ってみて?」

「わたしは……」

そううつむき…少々の間沈黙した。

「わたしは……にぃや、ねぇ…パパとママとずっと一緒にいたい!!」

「ユイちゃん…!ずっと…ずっと一緒だよ…!」

アスナはユイの言葉を聴いた瞬間、娘に駆け寄りその小さな体をぎゅっと抱きしめる。そして少し遅れて夫のキリトもアスナとユイ、両名を包み込むように抱きしめる。とてもいい、本当の家族の形がここにはあった。

だが、それもユイ自身の否定で終わろうとしてる。

「…もう…遅いんです……わたしが記憶を取り戻したのはこの石に接触したから…さっきアスナさんがわたしをこの安全地帯に退避させてくれた時、わたしは偶然あの石に触れ、そして知りました。あれは、ただの装飾的オブジェクトじゃないんです……GMがシステムに緊急アクセスするために設置されたコンソールなんです」

「……これでようやく一致した…。あれはここを守るボスモンスター、恐らくあのバルバトスとかいうやつも同じくシステムコンソールを守るボスなのだろう、そしてあの炎の剣が《オブジェクト・イレイサー》…で合っているな?」

また急にソラが俺の体を支配し、自らの出した推理を話す。未完成だったからかこういう情報にはなかなか確信が持てないやつなのか…システムに関することなんて聞いたこと全然無いから初めて知ったよ…。
…それはともかく、どうやらその反則武器を召喚したはいいもののそれによりユイがコアシステムによりプログラムを走査されているらしく、このままではバグとして消去されてしまう、とのことだ。

「…そんな…そんなの…!」

「なんとかならないのかよ!!」

キリトとアスナが悲痛な叫びを上げるがそれに答えるほどカーディナルは優しくない、とうことを示しているのかどんどんユイの体が透けていった…。だがユイは自分が消えていっているのにも関わらず優しく微笑んでお別れの言葉を言ってくる。

「これから……これからじゃない…!これから皆で楽しく…仲よく暮らそうって…!!」

サチも声を荒げてそう叫ぶがその体の透明化は止まらない、それどころかどんどん加速してきている。

「パパやママ…にぃ、ねぇ…皆のそばにいると周りの人が笑顔になれた…わたし、それが一番うれしかった…お願いです…これからも…わたしの代わりに……皆を助けて…喜びを分けてください…」

足からどんどん朝露のように光の粒子となって消えていき、本格的な消滅を始めた。どうやらバグと認識されてしまったらしく無慈悲にも完全消滅させるつもりだろう…。

「……そんな…ユイちゃん…」

そしてその数秒後、ユカの呟きを聞くまでも無く俺たちの見守る中ユイの体は消え去ってしまった……だがその状況をソラはサ
ラリと冷たく言い放つ。

「バグと判断されたんだ、当たり前だろう」

「…なんで…なんでそんなひどいことが言えるの!?」

そんなことを冷たい顔で言ったソラにサチがつかみかかる。その表情は悲しみに歪んでおりその瞳からは涙が滝のようにあふれ
出ていた。

「……」

だがその声にもソラは何もこたえない。

『ふざけるな……!!』

「カーディナル!!…そういつもいつも……思い通りになると思うなよ!!」

大事な人を消されたんだ、悲しみ、怒りのどちらかも浮かんでこない人間なんて絶対にいない。キリトもきっとそう思っているらしく例のオブジェクトに出現しているホロキーボードを素早く叩く。

「……キリトさん…なにを…?」

「今なら…今ならまだGMアカウントでシステムに………っ!?」

シリカに答えながらキリトはずっとキーボードを叩いている。が、数秒後驚くように息を呑みそれを否定しているような目が俺の視界に入った。

「……あと、すこし…あと少しなのに!!」

「………黒の剣士」

突然、ソラが俺の体を使い黒い石をはさんで正面に移動しキリトを呼んだ。

「どんな結果になろうともユイを見捨てないな?」

「当たり前だろ!」

するとフッと笑いオレンジ色に発行するホロキーボードを出現させ、それを叩く。

『ソラ…何を?』

「カーディナル内限定だがシステムを壊す方法はいくつかある。上からの命令、もしくは同等のシステムで相殺するかだ」

『……まさか!』

多分、自分を犠牲にユイを助け出そうとしているのだろう…上からの命令なんて俺たちには到底出せないしこの中でユイを削除する同等なものはソラだけだ。

「…俺もこんなことをするとは思わなかった…。これも全部お前たちと行動をともにしたからこんな感情が芽生えたんだろう。
……ありがとう」

『ありがとう……ってなんだよそれ……っ!?』

ソラの礼の言葉に反論しようとしたその瞬間、突然まばゆい光に俺の体が包まれた。そして後ろに体が落下していきその時点で俺の意識は途絶えた…。



=???=

「…ここは?」

「カーディナルの中だ」

見上げるとそこにはいつもの姿をしたソラが立っていた。彼の言うとおり最初に会った場所とも違うのがすぐにわかった。

「…リクヤさん…どうして…!?」

すこし遠くに今から死のうとしているところを見られたせいかユイが目を見開いて驚いていた。ソラはユイに近づく一言二言話をし場所を入れ替えさせた。

「ソラ!!…お前、何しようと…!」

「恐らく黒の剣士が苦戦していた理由はユイ削除のためのプログラムが余計なことをさせないようブロックをしていたからだろう。ならその対象を変化させればオブジェクト化くらいならまだ削除されずにすむ…」

「じゃあお前は…!!」

口元をニヤリとさせながら「消えるのは怖くない」と言い放った。

「…さよならだ」

そういい、恐らく削除プログラムだと思われる壁らしきものに手を合わせてそれを抑える。効果はあったらしくこちらに進んできていたその壁の速度がガクンと落ちる、だがそれと同時にソラの体に光の筋がいくつも入り、そこから体が欠けていく。

「やめろ!!…お前がいなくなったら…俺…俺!!」

「リクヤ、お前の治療は100%完了している。もう俺は用済みだったんだ…悔やむことはない」

「そうじゃない!!もうお前も俺なんだよ!!」

「……俺もおかしいのかもな…その言葉を聞けてうれしかった…」

会話を続けていく間にもソラの体にはどんどん光の線で亀裂が入っていき、もう左半身がなくなっていた。

「…ぐっ…リクヤ、ユイはどうなった…?」

「…ここにいないってことは…多分成功したんだと思う…だからお前も!!」

「俺には最後、お前を元の場所に戻す仕事がある」

そういい、見えない左足を使うかのごとくこちらへ歩いてきた。ストッパーを失った壁は先ほどよりもスピードを上げてこちらへ向かってくる。

「…さよならだ、またどこかでな」

そう言い、俺の額に手のひらをぶつけ転送されるようにしてしまう。それに答えるように俺の周りに光が集まってきてソラがどんどん見えなくなっていく。

「ソラ!!」

「…今まで、本当に楽しかった…!ありがとう…!」

恐らく嘘偽りない本当の感謝なのだろう…。それに反論するのは間違ってる…そう何かが言っている気がした。

「こっちこそ…ありがとう!絶対にお前のことは忘れない!!」

俺の言葉が言い終わった直後視界が完全に光に包まれ、何も見えなくなった…。

















俺が目覚めたときには転移結晶で俺を含めすでに脱出していたらしい。周りの白い空間ではなく、第1層の町並みが俺の目に飛び込んできた。

「……ソラ…話せるか?」

「っ…」

キリトが聞いてきた理由、それは謎の声がオブジェクト化するさいに聞こえたらしい。俺に似た声で感謝の言葉が耳に入ってきたとキリトは言っておりあそこにいた全員、同じような現象にあったらしい。

「…ソラは…消えたよ…」

「…そっか……ごめん…」

多分、ソラの思いは全部ユイに託されただろう…そう俺は信じたい。

その後先に帰ってもらって街で待っていたユリエールさん、シンカーさんや教会にいた子供たち、サーシャさんに別れを告げて
俺たちはホームのある22層へと帰った。《軍》はどうやらキバオウたちを追放に成功、もう徴税の心配も無いそうだ。そして巨
大になりすぎた《軍》は解散、集めた物資ははじまりの街にいる人全員に平等に分け与えるつもりらしい。

アスナの首にはユイがオブジェクト化したクリスタルがネックレスとなって掛かっている。時々トクン…と瞬くのがユイがまだ
生きている証…キリトは現実に戻ったらユイとして展開させるよう頑張るらしい。
俺には何も残す時間が無かったのでユイのような形は残っていなかったが大丈夫だと思う。たとえAIだとしてもあいつと過ごし
た日々は揺るぐことのない真実だしそれによって残された気持ちも、やるべきこともある。
恐らく…いや、絶対にソラがいなければ俺たちはここまで生き残ることが出来なかっただろう…さらに消えてまでも守ってくれた…その気持ちにこたえるためにも絶対に生き残ってこのSAOを攻略しなければ…!!

「……攻略、再開するか」

「でも…リクヤさん…ソラさんを…」

「悲しいからっていつまでもうつむいちゃいられない」

ソラは「またな」って言った。それは確かなこと、だからどこかで絶対に会えるはずだ。そのために生き抜き進まないと。

「……絶対に守ってやる…」

その思いがまた確かな、強固なものへと変わっていった。
























 
 

 
後書き

繰り返しですが……この52話も自己判断で消去してしまい申し訳ありませんでした。
すこし改変をしたかったので…。
書いていて相変わらず文章下手だな…とは思いましたが…

みなさんの作品を読ませていただくと自分のようにブレた話が無いので尊敬とともに羨ましくも思います。なので自分もこれからそういった作品をかけていければいいなと思いました。

今まで読んでくださった方々ありがとうございます!これからも宜しくお願いします!
どこまで続けようか…と考えているのはGGOまでは行きたいと思っております 
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