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夢幻水滸伝

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第三百三十七話 気のいい戦士その八

「スタインベック様が用心棒をされていた」
「そうなったのですか」
「はい、お陰で」
「それは何よりです」
「街のゴミ捨てや清掃にも力を入れておられますね」
 このことは店員が言った。
「衛生のことも」
「不潔やと疫病が流行りますさかい」
 すぐにだ、スタインベックはバーボンを飲みつつ答えた。
「疫病は流行せん様にです」
「することですね」
「まずは。疫病が流行しますと」
 どうなるかもだ、彼は二人に話した。
「まず体力のない子供からです」
「倒れていく」
「そうなるからですか」
「力入れてます」
 そうしているというのだ。
「あと子供に悪影響のない様に」
「教育もですね」
「力を入れておられますね」
「それで街の落書きなんかも」
 こうしたものもというのだ。
「消す様にしています」
「どうも街が奇麗になりますと」
「そこからも治安がよくなりますね」
「奇麗で整った場所で悪事はする気になれへんみたいなので」 
 だからだというのだ。
「子供が道を踏み外さん様に」
「清掃も力を入れておられますか」
「衛生も」
「はい」
 そうだというのだ。
「感染症の拡大は子供は一番危険なので」
「まさに子供がどうか」
「そこからお考えですか」
「スタインベック様の政はそうなのですね」
「子供第一ですね」
「はい、社会的弱者を救うことから考えろ」
 強者ではなくというのだ。
「そして何よりもです」
「何よりもといいますと」
 店長はスタインベックの真面目な顔を見てそこに何かあることを感じ取ってそのうえで彼に対して尋ねた。
「何でしょうか」
「自分を強者と思うな」
「自分自身をですか」
「はい、人は小さなものですね」 
 スタインベックは言い切った。
「神々と比べて、一人やとです」
「何も出来ないですか」
「出来ても限られています」
 出来ることはというのだ。
「所詮としか言えません」
「人はですか」
「神と比べると」
「何でも出来る、全知全能の人なぞです」
 店長と店員に話した。
「この世にはです」
「いない」
「そうだというのですね」
「はい、それにいつも好調やなく」
「調子が悪い時もある」
「病や怪我もありますね」
「それでどうして強いのか」
 人はというのだ。
「少し考えればわかります」
「そうですね、確かに」 
 店員はビールを飲みつつスタインベックに応えた。 
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