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オズのヘンリーおじさん

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第一章その八

「レストランなんか行ったことなかったし」
「カンサスにおられた頃は」
「周りは大平原で」
「他にお家もなくて」
「そんな場所だとですね」
「お店がある筈がないですね」
「そう、私だってね」 
 ドロシーにしてもというのです。
「カンサスにいた頃はね」
「お店行かれたことないですか」
「レストランにも」
「それであるものを召し上がられる」
「そんな生活だったんですね」
「ドロシーさんも」
「二人は今は村にいてね」
 そしてというのです。
「村の人達とも仲良くしていてお店もね」
「村にありますね」
「そうなんですね」
「その村に」
「レストランもありますね」
「そこにも行かれてますね」
「居酒屋にもね、おじさんもおばさんもお酒飲むけれど」
 それでもというのです。
「昔は本当にね」
「そうした状況で」
「何時でも飲めるかっていうと」
「違ったんですね」
「お二人は」
「そんな風でしたか」
「そうよ、お寿司といえば日本酒だけれど」
 和食だからです。
「けれどね」
「日本酒なんてご存知なかったですね」
「カンサスにおられた頃は」
「お米を食べる時はあっても」
「あまりなくて」
「日本酒もですね」
「私だってオズの国に来てかなり経ってからよ」
 それでというのです。
「和食を知って日本酒もなのよ」
「それならですね」
「ヘンリーさんとエマさんもですね」
「お二人もですね」
「ご存知だったか」
「それは、ですね」
「そうだった筈よ、お寿司なんて今もね」
 オズの国の村、お店もあるそこに住んでいてもというのです。ドロシーは恵梨香達に考えるお顔で答えました。
「滅多にね」
「召し上がられていない」
「そうですか」
「お二人は」
「本当に質素な方々で」
「海にも縁がなくて」
「そう考えたら」 
 それならと言うドロシーでした。
「二人に魚介類のお料理ご馳走しようかしら」
「いいね」
 トトはドロシーの今の言葉に頷きました。
「それはね」
「いいのね」
「かなりね」
 ドロシーの腕の中で尻尾をぱたぱたさせて言いました。
「そうだと思うよ」
「そう言ってくれるのね、トトは」
「うん、美味しいものは皆で食べる」
「そうでないと駄目ね」
「皆が満足して幸せになる」
 トトはこうも言いました。
「それがオズの国だね」
「ええ、お伽の国だからね」
「それじゃあね」
「私も賛成よ」
 エリカも言って来ました。 
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