妹の学費
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二章
「あっという間になくなるからな」
「そうなるわよね」
「だからな」
それ故にというのだ。
「本当にな」
「無駄遣いはしないで」
「そうしてな」
そのうえでというのだ。
「使っていけよ」
「自分で稼いだお金も」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
「使うべき時にな」
「使えばいいわね」
「そうだ」
妹に笑顔で告げた。
「そうすればいい」
「そうなのね」
「ああ、そのこともな」
「覚えておくことね」
「いいな」
「ええ、それじゃあね」
妹は兄の言葉に頷いた、そうしてだった。
それからはこの話をしなかった、そのうえで大学に通い卒業し就職もしてだった。
結婚をして子供ももうけた、その子供に言うのだった。
「学費は心配しないでね」
「いいの?」
「高校も大学もね」
そのどちらもというのだ。
「あんたが行きたいならね」
「行っていいのね」
「それで学費はね」
またこちらの話をした。
「お父さんも出すけれど」
「お母さんも出してくれるの」
「出せるからね」
それだけ経済的に余裕があるというのだ。
「だからよ」
「大学も行っていいのね」
「そっちのことは心配しなくていいわ」
まだ子供の娘に言った、そして兄の息子自分から見て甥にあたる彼と同じ様にだ。
娘を彼女が安心する様に高校に行かせ大学も行かせた、そして学費を出すのは親なら当然と言って気にしなかった。自分も言われたことなので。
妹の学費 完
2024・1・25
ページ上へ戻る