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烏を受け入れた兎達

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第二章

「四人姉妹の長女だ、面倒見がいい」
「チッ」
「この娘はベラ」
 濃いグレーの雌だ、見ればどの子の首輪にも名前が書いた札がある。
「明るい娘だ」
「チイィ」
「マリアンだよ」
 白い雌を見て紹介した。
「一番優しいな」
「チチ」
「最後の娘はメアリー」
 やや濃いグレーの雌だった。
「甘えん坊だな」
「この子達と一緒に暮らしてね」 
 スザンヌも烏に言った。
「怪我が治るまでは」
「カァ」
 烏はこの時は何でもない感じだった、そのうえで兎小屋に入りすぐにジェイクと名付けられて兎達と暮らしだしたが。
 兎達は彼を快く迎えてだった。
 その日のうちに同じ小屋で一緒に寝てだった。
 ご飯を一緒に食べて一緒に遊んだ、すると。
「カァ」
「チィ」
「チチッ」
 ジェイクは五羽の兎達の末の弟になった、いつも兄や姉達に可愛がられ彼等と甘えて行動を共にする様になった。
 その光景を見てだ、夫は妻に話した。
「怪我が治ったら放すつもりだったけれど」
「すっかりうちの子達と仲よくなったわね」
「それで幸せに過ごしていて」
「自分も兎と思ってるみたいだし」
「もうな」
「ここで暮らしてもらいましょう」
 こう話すのだった。
「そうしてもらいましょう」
「それがいいな」
「ええ、そしてね」
 そのうえでというのだ。
「うちの子の一員とてね」
「幸せになってもらいましょう」
「安心してくれよ」
 ここでだった、シルバーウッドは。
 家の近くの木に今も来ているジェイクの両親達に顔を向けた、そのうえで明るい笑顔で告げたのだった。
「あんた達の子供は幸せだぞ」
「お兄さんとお姉さん達といつも一緒よ」 
 スザンヌも彼等に告げた。
「だから安心してね」
「ずっとここで幸せにいるからな」
「カァ」
「カァ」
 ジェイクの両親は自分達に言う彼等に鳴いて応えた、その鳴き声は感謝している様なものだった。その鳴き声を聞いて夫婦はまた笑顔になったのだった。


烏を受け入れた兎達   完


                  2024・1・18 
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