夢幻水滸伝
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第三百二十九話 ダイナマイト王その二
「まさかと思いますが神霊の方か星の方では」
「いやいや、素性を言わないと駄目かな」
「採用するからには、個人情報は守りますが」
「そのうえで作業員にしてくれるかな」
「何故作業員にこだわるのか。そのレベルとステータスで」
「やっぱり最初は普通の仕事からはじめへんと」
こう社長に言葉を返した。
「そう思うからやねん」
「左様ですか」
「それでおいらは神霊やないさかい」
「となると」
「まあそういうことで」
「今日何か出会いがあるとラジオの星占いで言われていたので事務所にいましたが」
社長はオニールの告白を聞いて唸って述べた。
「ラッキーアイテムと言われた鳩時計もこの事務所にあるので」
「ああ、あれやな」
オニールは鳩時計と聞いて事務所の壁にかけてあるそれを見て応えた、見ればダークブラウンの見事なものだ。
「あと少しで二時やさかい」
「鳩が出ます」
「あれがラッキーアイテムか」
「そうです」
「それでここにおいらが来た」
「そうです」
その次第だとだ、社長は答えた。
「まさに」
「そやってんな」
「それで我が社の作業員としては」
「働きたいけどな」
「作業員ですか、どうしてもですね」
「おいら肉体労働好きやし」
「そこまで言われるなら」
社長も頷いた、そのうえでオニールに言った。
「採用させてもらいます」
「ほなジョブリンまで行って来るな」
「鉄道がありますので」
「それで行けばええか」
「では電話で現場監督にお話しておきます」
「よし、ほなな」
オニールは笑顔で応えた、こうしてだった。
オニールはこの会社の社員、現場作業員としてその場で採用されそのうえで鉱山のあるジョブリンに行った、社長から話を聞いていたゴブリンの現場監督は彼と会うとまずは怪訝な顔でこんなことを言った。
「あの、社長から聞きましたが」
「これから宜しくお願いします」
「おや、敬語ですね」
「社員になったんで」
それでというのだ。
「それなら」
「そうですか」
「それでこれからですね」
「はい、仕事のやり方とです」
オニールの方から言った。
「設備のことお話して下さい、あとです」
「あと?」
「おいら錬金術師なんで」
この職業の者だからだというのだ。
「こちらの術が一番得意で機械も使えます」
「錬金術は科学に近い一面もあるので」
「はい、それで」
このことに加えてというのだ。
「薬の知識もあります」
「特技でもそうですね」
社長がオニールのステータスそれに特技を見てもそうだった、錬金術師が科学や医学に近い面もあるだけでなくそういった分野の特技も備えていた。
「オニール様は」
「様ですか」
「雇用していても星の方ですから」
現場監督はそれでと答えた。
「やっぱりです」
「敬称ですか」
「それで敬語です」
そういったものを用いて話すというのだ。
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