X ーthe another storyー
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第四十九話 合鏡その十六
「若しかしたらな」
「そうなのね」
「しかし働いてだ」
「それで私達が暮らせるなら」
「いい」
「そうなのね」
「だからだ」
神威はさらに話した。
「姫様にお仕えすることもな」
「いいのね」
「ああ、ただ俺がそう思うだけだが」
神威はそれでもと話した。
「姫様は何かあるか」
「何か?」
「そんな気がする」
こう言うのだった。
「どうもな」
「何かっていうと」
「その何かはわからない、ただだ」
「神威ちゃんが思うだけで」
「それでだ」
そのうえでというのだ。
「気のせいかも知れない」
「前もこうしたお話したけれど」
「俺が思うならか」
「そうじゃないかしら。神威ちゃんは勘が鋭いから」
それでというのだ。
「本当にね」
「そうか」
「私は何も感じないけれど」
丁からはというのだ。
「全くね」
「しかし俺が思うならか」
「神威ちゃんの勘は鋭いから」
だからだというのだ。
「そうかも知れないわね」
「姫様には何かあるか」
「うん、ただそれがどういったものかは」
「わからない、ただだ」
「感じるだけなのね」
「それだけだ、だがいいものとはな」
その様にはというのだ。
「俺にはな」
「思えないのね」
「ああ」
そうだというのだ。
「どうもな」
「そうなの」
「だからな」
それでというのだ。
「気を付けている」
「そうなのね」
「姫様自身から悪いものは感じないが」
それでもというのだ。
「しかしな」
「何かよからぬものを感じるのね」
「そんな時がある、他の天の龍は感じていないが」
「誰も?」
「ああ、誰もだ」
一人もというのだ。
「そうだが。ただ封真にだ」
「お兄ちゃんに」
「牙暁はな」
彼もというのだ。
「若しかするとな」
「感じているのね」
「そうかもな」
「二人は」
「そんな気もする、全部そうだが」
そんな気がすると、というのだ。
「そうだがな」
「けれどそこからね」
「そんな気がする、か」
「それからね」
神威はさらに話した。
「神威ちゃんも動いて」
「そうしてだな」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「いい結果にしてね」
「何があってもだな」
「戦いはあと少しで終わるのよね」
「そうなりそうだ」
「だったらね、終わるまでね」
「気が抜けないな」
「あと少しでってあるわよね」
「ああ」
その通りだとだ、神威は答えた。
「何でもな」
「戦いでもね」
「あるな」
「そうね、じゃあ」
「気を抜かないでいく」
「そうしてね」
「そして終わってな」
それからはというのだ。
「またな」
「元の通りにね」
「三人で生きよう」
こう言って気を引き締めなおすのだった、そのうえで何時でも出陣出来る様に心構えをしておくのだった。
第四十九話
2023・10・23
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