SAO<風を操る剣士>
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第一部 --SAO<ソードアート・オンライン>編--
第四章 クリスマスの夜に…
第28話 温泉で○○!?(2)
前書き
27話を書いた後に原作を読んだら、シリカが告白されたことが無いと書かれていたので、そこは原作と違うと考えてください。
あと『////』というのを、今回からなくしました。
これまでの話も消したので、もし他の話に残っていたら言ってください。
それに『<>』を、『《》』に変えました。(全話変えます)
※現在1話から順々に話の書き方を修正中です。
修正といっても話の内容を変えるわけではないのでそのまま読み進めても大丈夫です。
前書きに『■』←このマークがあれば修正完了で、『□』←このマークがある場合修正中、なければ修正前ということでよろしくお願いします。
「お! ココか、アルゴの言ってた温泉は」
「そうらしいですね。上に湯気が見えますし」
俺とシリカが第十五層の森の奥に進むと小屋があった。でも、あのデザインって……
「けど、あれって完璧に和風だよな……SAOの世界観、無視してないか?」
「……ダンジョンもあったんですから、あるんじゃないですか…」
「…そうだな」
そうだよな……あんなダンジョンがあったんだから、あっても可笑しくないよな。
それにしても、このデザインには凄く懐かさを感じる。
よくテレビなんかで見る温泉に似てるから、余計に現実世界の事で懐かしく感じてしまう。
確かテレビなんかじゃ、あの小屋が脱衣所だったような…
俺はテレビで見た知識を参考に、脱衣所だと思う小屋にシリカと近づいて入り口に手をかける。
…けどその時、手をかけてから俺は何かが頭に引っかかった。
何だ、何かを忘れてる気がする。こういう温泉に良くある大事な事を……
思い出せ……テレビとかで見た温泉だと何があった。
こういう、一つの露天風呂に入ろうとすると、確か………混浴……だったけ?
………なるほど、『混浴』か……
「どうしたんですか、シュウさん? 入らないんですか?」
シリカが手を止めた俺に不思議そうに聞いてきた。
どうする、この事をシリカに言うべきか?
でも言ってから、もしシリカに嫌だって言われたら、たとえ当たり前だとしても男として少し傷つく。
……でも、言わない訳には行かないよな。
「いや、その……入る前に言うのもなんだけど……もしかしての話なんだけどさ~…」
「なんですか?」
「……この温泉……混浴……じゃない…よな?」
「………はい?」
俺の勇気が無くて男らしくない小さな声を聞き、シリカは少し動きを止める。
…ちゃんと聞こえたかな?
と、そんな事を不安に感じていたら……
「そ、そそそんな訳ないじゃないですか! し、し、仕切りか何かで別になってますよ、きっと!」
…物凄い動揺して、俺のさっき言ったことを否定しようとしていた。
「そ、そうだよな! 別々だよな! 何考えてるんだろうな、俺! あはは…」
あまりのシリカの動揺ッぷりに、俺まで動揺してしまった。
それよりシリカ、そんなに否定しなくてもよくないか……流石に少しヘコむぞ…
…まぁこれ以上落ち込んだり、入る前に考えてもしょうがない。
「…よ、よし! 開けるぞ!!」
そう言って、俺は覚悟を決めて扉を開けた。
でも扉を開けた瞬間、俺は自分が混浴に少し期待していた事に気付く。
そして、その期待は叶わない物だと知る。なぜなら……
……開けてすぐ見える場所に、男湯に女湯と別々の入り口に書かれていた…
「……はは、そうだよな。…別々だよな、やっぱり…」
「……そ、そうですよね。…別々ですよね、やっぱり…」
俺とシリカが同時に声を出す。
シリカも何故かガッカリしたように聞こえたけど、今の俺にはその意味を考えるほど余裕は無い。
混浴じゃないことに、こんなにショックを受けるとは……自分でも驚きだ。
……確かにシリカは俺の『妹』で、年下の女の子でもあり、俺のSAOの心の支えとなる『大切な人』だ。
しかもシリカは俺より2つ歳が下でも、アバターは1年前と変わらないで12歳のままだ。
『12歳の女の子とお風呂に入りたいのかお前?』
と、聞かれてしまったら、俺だって言葉に詰まる。
けどホントは13歳で、相手がシリカだって事もある。
…いや、シリカじゃなくったって……男なら……男なら……嫌でも少しは期待しちゃうだろぉーーっ!!
しかも、もし混浴でも別々に入る事になっていた確率の方が高いのに……
……それでも、俺は……俺は……少しは期待してたんだ…
と、そんな風に思っていても、俺はシリカに考えている事を知られない為に必死に冷静な感じに言った。
「そ、それじゃあ、ココに集合ってことで…」
するとシリカは、俺が頭の片隅で『せっかくだから、靴を脱いで上がるか…』と、思ってウィンドウを出して靴を脱いだので、俺に釣られるように靴を脱ぎながら返事を返してくれた。
「は、はい、分かりました…」
…それにしても、俺が冷静さを出す為に必死になっていた為か、少し分かりづらい『出た後はココに集合』という意味をシリカはちゃんと理解してくれたらしい…
その事に感謝しつつ、俺は男湯に入っていった。
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「うぉ~、これは懐かしいな」
俺はさっきの落ち込んでた頭をやっとの思いで切り替えながら、脱衣所から温泉への扉を開ける。
するとテレビなんかでよく見た、旅館のようなデザインの温泉が広がっていた。
そりゃあ、このSAOには和風の物がほとんど無いから、懐かしくも感じるよな~。
と思いながら湯に浸かり始めたら、仕切りの向こうから、
「うわ~、懐かし~」
というシリカの声が微かに聞こえた気がした。
もしかしてこの仕切り、ドアみたくノックしないと音が聞こえない、みたいな事が無いのか?
……現実の仕切りほど良く聞こえなかったけどな。
それでも聞こえたのは、俺がダンジョンのトラップの中に音で聞き取りながら避けなきゃいけない物があり、音を良く聞き取る為に少しだけど《聞き耳》スキルを上げていたからかもしれない。
まぁ、シリカも俺より少し熟練度は低いけど《聞き耳》スキルを上げてるし、大きな声で話しかければ聞こえるかもしれないな。
そう思い、俺は少し気になる女湯のデザインについて、少し大きめの声でシリカに聞いた。
「シリカ~、そっちのデザインどうなってるー?」
すると、すぐにシリカから返事が返ってきた。
「テレビとかでよく見る旅館の温泉みたいですー」
へぇ~、こっちと同じか。
「じゃあ男湯と同じだなー」
「そうなんですかー」
……向こうのデザインも知ったし、この温泉に入りたがってたシリカに悪いし、そろそろ黙るとするか。
その前にシリカに言葉をかけとこう。
「まぁ、お互いゆっくり湯に浸かろー」
「そうですねー」
俺はシリカの返事を聞いてから、自分で言ったようにゆっくりと温泉を楽しむことにした。
=====================
「んっ?」
暫くの間、ゆっくり浸かりながら温泉を楽しんでいたら、モンスターが近づいてきたら知らせるようにしていた、俺の《索敵》スキルによる警報が鳴った。
何だ!? ……と、いきなり鳴ったので驚いてる内に、外から木の仕切りを飛び越えて、お湯の中にモンスターが入ってきた。
《ユーノサールド》という、《ヒッキーモンキー》の姿に良く似た、サルに近いモンスターだ。
多分、温泉に浸かりに来たんだな……というか、モンスターってお風呂に入るもんなのか?
まぁ、温泉が和風のデザインである時点で、このSAOの設定ではもう驚かないが……
……でも《ユーノサールド》が入ってきた事で思い出したけど、そういえばこの温泉は《圏内》じゃなかったんだよな。
そんな事を考えてる内に次々と《ユーノサールド》がやって来る。
そして俺が6匹目を確認するのと同じくらいに、《ユーノサールド》達も俺に気付く。
…もうこれ以上は増えないみたいだな。
俺は覚悟を決めて、念のためウィンドウを出して、下着を穿いてから立ち上がる。
改めて《索敵》で調べると、シリカの方にはモンスターが出ていない。こいつらオス…なのか?
……そんな事はどうでもいいか…だって…
「倒したら関係ないもんな」
俺が相手に向けてそんな事を言うと同時に、一斉に《ユーノサールド》が俺に襲い掛かってくる。
防具を装備してない今の俺は、どんな攻撃でも喰らうと多少なりダメージを受けるはずだ。
しかし俺は、3匹の《ユーノサールド》からの攻撃を避けずにそのまま喰らう。
そして、そのまま3匹に向けて《体術》のソードスキルは使わずに《体重移動》を少し乗せた、ただのパンチを放つ。この方がソードスキルによる硬直せずに敵を倒せるからだ。
するとパンチの当たった《ユーノサールド》は、レベル73の俺の攻撃(しかも《体重移動》付き)と第十五層のモンスターである自分達とのステータスの差で、簡単に《ユーノサールド》は消滅する。
さっきの攻撃で少し受けたダメージも、俺の《戦闘時回復》スキルで回復される。
その光景を見ても、2匹の《ユーノサールド》は掛かってきたので、俺はまた同じように倒す。
よし! あと1匹!
と思いその最後の1匹に向けて構えると、モンスターAIでさっきの光景を見て、俺に敵わない事を学習したのか分からないが、急におとなしくなった。…というより、最初から俺を襲う気が無かった?
このSAOの全モンスターはAIがついており、学習して戦い方や行動パターンなどを少し変える。
しかしその学習したことは、他の同じモンスターには共有できない。
なので、このモンスターも唯一無二の存在なのだ。
……この《ユーノサールド》は他の奴より学習してきたのか、少し賢いのかもな…
多分、この温泉に来たプレイヤーを襲ったのか、それともただ他の奴の戦いを見てただけなのか…
どちらにしても襲ってこないなら、またお湯に浸かろう……湯冷めしてきた。
と、俺が湯に浸かり直そうとしたら、モンスターの様子がおかしい…
仕切りの向こう…つまり女湯の方をチラチラ見始めた。
……まるで、女湯を覗こうとしてるみたいに……
…って、まさか!
《ユーノサールド》は俺がそう思った瞬間、シリカのいる女湯の方に跳んだ。
…やっぱりか! あのサル、道理で他のサルと違って攻撃して来ないと思った。あいつ最初から……
女湯を覗く気だったんだな!!!
道理で攻撃してこない筈だ。あのサルは、女湯を覗こうとするプレイヤーを見て学習したのか、それとも最初から覗きが設定されてるのか、はたまた本当はメスなのか……と、色々あるけど…
それでも男湯に入って来て、覗きをしようとしている。(まだ本当に覗きか分からないけど…)
それはつまり、裸のシリカを覗くという意味だ。
なぜだか知らんが、それは絶対に嫌だ。
たとえモンスターでもシリカの裸を覗くなんて、そんな事……
「させるかーーッ!!」
俺はモンスター目掛けて《値移行》を上に向けて使い、空中でモンスターに追いつく。
そして仕切りを少し出た位の所で、《体重移動》を全快に使った踵落しを、《ユーノサールド》の頭に叩きつける。
《ユーノサールド》は俺の攻撃を喰らい、お湯に水しぶきをあげながら落ちて、そのまま消滅していった。
よし! 後は俺もお湯に…………あれ? さっき俺、仕切りを越えたよな…
……と、いうことは下にあるお湯は……
ヤベッ! 女湯だ!! 男湯に戻らないと!!
と思った時にはもう遅く、空中じゃ身動きも出来ずに、俺の体が落ち始める。
そして、『ザッブーン』……という言葉が合うくらいな音を出し、俺はお湯に落ちる。
…落ちた後、お湯の中でHPを確認すると、ほんの少し減っていた。
多分、防具が無かったからだな。
「ぶはぁー」
HPの確認をした後、俺は息が苦しくなり(多分、現実世界の俺がSAOのアバターとリンクして、一緒に呼吸を止めていた為)、息継ぎの為にお湯から顔を出す。
さて、後はどうやってシリカにバレないように女湯を出るかだな……
「シュ、シュウ……さん?」
ん!? この声は……と思い振り返ると、
「へ!? シ、シリ……カ…………」
俺はシリカの姿を見て言葉を失った。
なぜなら振り返った先には………『裸』のシリカがいたからだ。
しかも俺があげた水しぶきから顔を守る為に腕を上げたのか、その腕の隙間から俺の事を見ていた。
つまりそれは、身を一切遮る物がないということだ。
俺はその体から目を離そうと思っても、離すことが出来なかった。
俺は女の子の体を見たことが無い為、保険体育の教科書で習う大人の女性になる為の成長過程の女の人の絵で比べてしまう。
シリカのアバターの体は、絵に比べると……というか比べなくても、胸の膨らみや腰のくびれは少ししか無い。
でも、『まったく無い』訳ではなく、『少しは[ある]』のだ。
俺が唯一見た事のある女の子の裸の、幼稚園の頃に見た女の子の体の記憶とも、小さい頃一緒に入った母親の体とも違う。
そう、いうならば成長途中の体だ。
…なので俺は母親と幼稚園の女の子の裸しか見た事が無い為か、年下の女の子の体…つまりシリカの体から目が離せないし、動揺もしてしまう。
……俺がシリカの体を見ながらそんな事を数秒の間に考えていると、シリカが俺に見られていることに気付いて、体を隠しながら湯に浸かる。
「ッーーーーー!!!!」
「ハッ! ご、ごめん!!」
そのシリカの動作で我に返り、これ以上見ない為に後ろに向く。
シリカ、すげー恥かしそうだったな……俺もフォローの一つでも言わないと……ええと…
「ご、ごめん、シリカ! でも、湯気で……って、この距離だと湯気も意味がなったか……だから……その……ごめんなさい、見ました……」
……何言ってんだ、俺……よりシリカを恥かしくさせちゃったよ……
=====================
俺がさっきのフォロー失敗の事もあり暫く黙ってると、シリカも落ち着いてきたのか急に、
「ご、ごめんなさい。見るんだったら、もう少し大人の女の人がいいですよね…」
と、言ってきた。
なんで、そんな事を俺に言ってきたのかは分からないけど、聞かれたことにさっき感じたことを素直に返す。
「そ、そんな事ないぞ! それにシリカは俺と2つしか違わないんだ。そんなに子供じゃないよ」
「………そんな事無いですよ………」
とシリカは俺の言葉に返事を返して、再び黙り始めてしまった。
「…………」
…え? 何でまた黙っちゃったの!? 俺、またなんかヤバい事言った!?
俺は基本的にヘタレだ。クラスの連中に嫌な事を言われても、笑って流してた。
そんな自分が嫌で、このSAOで変わろうとしてプレイをし始めた。
他にもSAOでのある程度の事に関しては、シリカを守ろうと思うこともあり勇気を出せた。
けど、こんな非常事態などは現実と変わらず、ヘタレなのだ。
こうやって黙られると、緊張で身が持たない。
なので俺は、シリカにこんな事を言うのはカッコ悪いと思いながらも言った。
「え~と、シリカ? ……そ、その、これで許してとは言わないけど、今度シリカの何でも聞いてあげるよ。俺のできる範囲で! だから……その……黙ってるのはちょっと……流石にこの空気で、後ろで黙られると…」
「………ごめんなさい」
「い、いや、俺が悪かったから良いんだけどさ……」
「……シュウさん、『なんでもする』って本当ですか?」
「へ!? あ、ああ、俺のできる範囲ならな」
俺のさっき言ったことを、シリカは改めて聞いてくる。…どうしたんだ?
なんかちょっと、シリカの様子がおかしいような……
「……ならあたし、シュウさんに聞いて欲しいことがあるんです。……それを聞いてくれたら、今の事はいいです……」
「本当か!? じゃあ、聞かせてもらうよ」
俺は、シリカの様子がおかしいと思いながらも、許してくれるという事に簡単にお願いを聞いてしまう。
まぁヘタレ極まりないが、この話を聞けばシリカがどうして様子がおかしいか、分かるかもしれないからな。
「……なら、言いますね…」
そう言って、シリカは俺に歩いて近づいてきた。(足音で分かった)
言うのに近づいてくる必要があるのか? と思っていたら、今度はシリカに肩をかけられたので、振り返ろうと後ろを向こうとしたら………唇を何かで塞がれた……
「ど、どうしたんだ、シリ……んっ…!!?」
俺は今、何が起こっているのか分からなかった……
分かるのは、唇を軟らかくて気持ちか良く、そして温かいものが塞いでいるのと。
シリカの顔が目の前にある事だけ……
「……んっ……」
そして、俺のかシリカのか分からない吐息が漏れる。
何十秒? それとも何分? いや、もしかしたら何秒かもしれない。
そんな時間が分からないくらい経ち、シリカの顔が離れていく。
……もしかして、今のは……キス…か?
いや、間違いなくキスだ。
マンガとかでは、いきなりされた方は分からないという描写があったけど、ホントに分からないもんだな……
……いや、大切なのはそこじゃない。
なんで、シリカは俺にキスをしたんだ?
と、俺が訳が分からなくなっていると、シリカが俺の知りたい答えと一緒に自分の気持ちを伝えてきた。
「シュウさん……あたしは、シュウさんの事が好きです! あたしと付き合ってください!」
そう俺は今、人生で初めての告白をされたのだ。
=======================
……シリカが俺を好きなんじゃないかと、薄々そんな事を考えていた。
でも、それは俺の勘違いで気のせいだと、自分に言い聞かせた。
自分で言うのもなんだが、俺は自分に対する評価も物凄いヘタレなんだ。
なのでシリカの気持ちが俺に向くことは無いと思っていた。
今、シリカが自分に言ったことも冗談だと思う。
でも、もし冗談ならキスまでするか? ………しないよな。
流石に、キスまでされたら俺だってシリカの気持ちに気付く。
今だって顔を赤くしてしながらも、俺を見てる目は真剣そのものだ。
つまりさっきのキスは、俺に冗談だと思わせない為だったのか?
もしそうなら、俺の事を良く知ってるよ。ホント、一年間も一緒にいるだけあるな…
……さて、シリカの告白に俺はなんて返事をしよう。
何回も考えていた、『シリカは俺の事を好き』という可能性を無いと言い聞かせる時に、もう一つ生まれていた気持ちも、必死に無いと言い聞かせてきた。
今その答えを言えば、俺の何回も頭で考えていた事が、現実になる。
…でも、それで良いのか?
女の子に、しかもさっきみたいに『なんでもお願い聞くから』、なんてカッコ悪いこと言った後に、こんな事言って良いのか?
男として、ココはヘタレてるんじゃなくて、自分からやらなきゃいけないんじゃないか?
でも、もう相手の気持ちが分かってしまった後なんだ。
なら自分から言うべき言葉は、何回も俺が想像していた言葉とは違うはずだ。
それの、さらに上。
俺の答えを聞く為に、シリカは黙っている俺を不安そうに見ている。
…俺がどうゆう返事をするかが不安なんだな…
こんなシリカを、長い間待たせちゃいけない。
覚悟を決めろ、俺!
「お、俺は………」
と、俺が覚悟を決めて言おうとしたのと同時に、シリカが息を飲むのが分かった……のだが、
俺たちの行動とさらに同時に、メッセージが届いた。
あまりに空気の読めないメッセージに顔をしかめると、シリカも俺と同じような顔をしてる事に気づく。
シリカにも同時にメッセージが届いたらしい。
そして、その空気の読めない差出人はアルゴだった。
アルゴからなので、一応メッセージを開くと見て驚く。
『シュー助、シーちゃン。事情は後で説明するから、とにかく来てくレ! もしかしたら、キリ坊が死ぬかもしれなイ! 場所は第四十九層の《ミュージェン》という街ダ!』
……このメールは、ただ事じゃないな…
シリカに目を向けると、シリカも俺と同じように感じたらしい。
俺は目と合わせて、
「シリカ……シリカへの返事は後だ。とりあえず、アルゴの所に行こう。返事は必ずこれが終わったらするから」
「はい、分かってます。……でも、絶対に返事は下さいね!」
「ああ、必ずするよ。……それより、そろそろ服を着てくれないか?」
さっきのように裸ではないが、シリカの今の格好は下着姿だった。
正直、冷静になってみると目のやり場に困る。
「へ? あ! ……そ、そんなこと言うなら、シュウさんだってパンツ一枚じゃないですか!」
シリカは俺に言われて気付いたのか、顔を赤くしながら体を腕で隠すようにする。
そして、俺に『下着一枚なのは同じです。速く服を着て下さい』と、遠回しに言ってきた。
…俺も何だかんだで、シリカの言おうとしてる事が分かってきたな。
それに、確かに俺も下着一枚だけだけど、それでもやっぱり……
「男と女の違いがあるだろ! は、速く服着て行くぞ、シリカ!」
「そ、そうですね……わ、分かりました」
俺たちはその後温泉から出て、装備をしっかりしてからアルゴのメッセージに書かれていた、第四十九層へ向った。
後書き
以上、27話のシュウ視点でした。
あまり物語が進まなくて、すいません!
間違いや感想があったら、宜しくお願いします!
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