失業してもめげるな
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第二章
「そうか、同業の会社の中途採用にか」
「ハローワークに行ったら紹介されてな」
兄に焼き肉屋で一緒に肉を食べつつ話した。
「早速家に帰って履歴書書いてな」
「面接に行ったらか」
「採用されてな」
「もう働いてるんだな」
「もうすぐ給料入るよ、他の社員さんもな」
働いていた会社のというのだ。
「結構その会社に入ったよ」
「同業だからか」
「何かうち社員自体は有能って評判らしくて」
それでというのだ。
「同業の会社にどんどんな」
「雇われてるか」
「田舎に帰って地元で働くの選んだ人以外はな」
「実家の仕事とかか」
「そうなってるよ」
「問題があったのは社長だけか」
「夜逃げしたな、会社の金使い込んで」
そうしてというのだ。
「愛人と一緒に奥さんも子供さんも捨てて」
「それでか」
「ああ、その社長以外は評判よくてな」
「その社長絶対に終わりはろくなものじゃないな」
兄はホルモンを食べつつ言った。
「会社の金使い込んで愛人さんと夜逃げとかな」
「フラグ立ちまくってるな」
「だからな」
「そうだよな。まあ他の人もそうなって」
「よかったな」
「倒産したって聞いた瞬間同業の人達が皆に声かけたからな」
「それで再就職か」
「俺だってな」
かく言う自分もとビールを飲んでから話した。
「面接に来たらこっちから声かけたって言われたよ」
「そうだったんだな」
「それで即刻採用されて次の日から出勤で」
「働いてるんだな」
「ああ、兄貴の言う通り失業してもな」
あらためて言うのだった。
「それで落ち込まないことだな」
「確かに大変なことだけれどな」
兄はそれでもと言葉を返した。
「死んだわけじゃないんだ、だからな」
「気をとりなおしてか」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
「やっていけばいいんだよ」
「そういうことだな、じゃあ元気でやってるからな」
弟はハラミを食べつつ言った。
「ここの勘定は俺が払うな」
「失業しただろ、それにお前の就職祝いだぞ」
兄は笑って返した。
「俺が出すよ」
「そう言うなら割り勘にするか?」
「それがいいな」
お互いに笑って言い合った、そしてだった。
二人で楽しく飲んで食べた、危機をめげないで乗り越えられた焼肉とビールは実に美味いものだった。
失業してもめげるな 完
2023・12・18
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