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人生コンティニューしたらスクールアイドルを守るチートゲーマーになった

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84話 創造のGASHAT

 
前書き
☆ロード・オブ・クロウ アミーダ

4人の中でも最強と名高い剣士。かつては幼きナムロドに剣術を指導したとされる。

戦法は相手の攻撃を吸収、反射する能力によるカウンター。

武器は二刀流の剣 陰と陽

数万年の時を生きた4人組のまとめ役で、ナムロドへの忠誠心は誰よりも大きい。

モデル 阿弥陀如来


☆ロード・オブ・クロウ アモーガ

4人の中でも最も喋らない戦士。しかしその力は他のメンバーと差はない。

武器は様々な特殊能力を秘めた鎌 プロビデンスサイス。

かつて数万年前に悟りを開いたことで、プロビデンスサイスには全知の目とされるプロビデンスアイが開眼している。それによってあらゆる力の流れの可視化や先見の明がある。

それに留まらず、様々な特殊能力を持ち、なかでも対象が放つ攻撃の属性を変化させて跳ね返す攻撃を得意としている。

これらによって常に優位を保ち、長期戦で相手の消耗を待つ。

モデル 不空成就如来(マントラ アモーガシッティ)
 

 




デウスラッシャーは彼女をバラバラにするかの如く斬った—————斬った。

猟奇的な笑い声を上げながら、マルドゥクは彼女の懐を漁り、赤く輝く勾玉状にされた宝石を手に取る。



「フハハハッハハッ!これで———完成だ!」
「それは————」
「私が見破っていないとでも思いましたか?———最後の神器は彼女の持つ……勾玉に見せかけた神器だと!」
「やめろ……!」
「実に簡単でしたよ…何せ全ての神器が力を秘めた石なのですから。」


マルドゥクは赤い太陽のような宝石を、イーヴィルガントレットの中央の窪みに嵌め込もうとする—————が。


「ふざけんなよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」


【ALL ZECTER COMBINED!】


パーフェクトモードのパーフェクトゼクターでマルドゥクの腹に一閃を描き、続いてキングラウザーを縦に振り下ろす。

マルドゥクは火花を上げながら大きく後退りする。その機を見計らって俺は変身を解除して、転がっている千陽を座って抱える体勢になる。


「千陽!千陽!!どうしてお前が———」
「だって……私も、夢を叶えたかったから。」
「夢…?何言ってんだ!死んだら夢なんか…
「叶うんだよ。」


今にも9つに分かれそうな彼女の体。しかし彼女の声は弱くなってもなお、力強い。


「私の命でみんなが救われる……それが私の使命だから。」
「え…?」
「そして……生まれ変わったら————あなたに愛してもらえるでしょ……?」
「!!」


キラキラと彼女から光が漏れ出す。優しい白い光だが、彼女の体はどんどん消滅してゆく。


「あぁ…嬉しい———次に生まれ変わったら、きっともっと輝ける娘に…………———」
「千陽!!!!!!!!!」


彼女の体が—————白い光の粉になって………町中を舞う。舞う。舞う。



〜〜〜〜〜


「あれ…なんだろこの光。」
「さぁ…知ってる?」
「きっと天からの私への祝福「「絶対違う」」即否定するな〜!」


〜〜〜〜〜


「おや…これはありがたい。末代までこの光が受け継がれると良いなぁ——」


〜〜〜〜〜



千陽の光の塊は小原と黒澤の体には2つ落ちて、彼らの体を全快させる。



そして……






やがて—————町中を舞っていた白い光の粒子が止む。彼女は消えてしまったのだ。



と同時に、後退りしていたマルドゥクが再び前に出る。



「なかなか面白いショーでしたよ……ですが、もう世界は終わります!愚民の諸君お勤めご苦労様でした!フハハハッ!」
「まずい!今すぐ止め———ん?」


意識を取り戻した黒澤先祖はマルドゥクを凝視する———正確には奴の右腕のアークが収納されたガントレットだ。

そう、ガントレットの邪金はみるみるうちに錆びてゆく。そして金属音を立ててそれは、マルドゥクの腕から外れて崩壊した。


「バカな……なんだこれは!?」
「まさかこの力は……!」
「千陽が———止めてくれたのか。」


アークという頭脳がなければ、世界樹の力の制御も不可能……彼女は命を張って、世界を生贄を求める独裁から守り抜いたのだ。

少し感慨に耽っていると、俺のガシャットホルダーに収められていたブランクガシャット————小原先祖から渡された特殊なガシャットが白い熱と共に、光り輝く。


「これは…」
「何だ…次から次に忌々しい!」


そしてそのガシャットが————光の巫女……その力によって解き放たれる。


【マイティクリエイターVRX!】


「千陽……」
「何だそれは————」
「マルドゥク…これが千陽の遺した力だ———」


【マイティクリエイターVRX!】


「ふぅ……」


さぁ…ニューゲーム、スタートだ。一緒に遊んでくれ—————


「大変身!」


【ガシャット! ガチャーン!】

【レベルアップ!】


【天地創造の力!ゲットメイク! 未来のゲーマー! 】

【マイティクリエイターVRX!】



白いVRヘッドセットがエグゼイドに装着される。

肩には白のモジュール、胸には白で縁取られた虹色の幾何学模様が描かれる。そして下半身は強者の証であるローブを装着して。



————仮面ライダーエグゼイド クリエイターゲーマー……!




「ノーコンティニューでゲームを作るぜ!!」





「何がノーコンティニューだ…いちいちうるさい!お前らぁ!グズグズしないでソイツを押さえつけろ!」
「「「「はっ!」」」」


マルドゥクの指示のもと、ロード・オブ・クロウの4人は俺にかかってくる。


俺はドライバーに挿さっているガシャットを抜き、大きな長方形を描く—————すると彼らが振り下ろそうとした武器は見事弾かれ、彼らの進軍も長方形の障壁に食い止められる。


「なんだこれは!?」
「これが俺の新しい力…世界を創造するガシャットだ!」


俺はロード・オブ・クロウの4人を囲うように円を描き、それを具現化させる。やがてその円はみるみる範囲を狭めて、彼らを拘束してゆく。


「なんだこれは……?」
「我々の力を抑制しているのか———」


取り巻きは片付けた……あとは、親玉を倒してゲームクリアだ。


「姿が変わろうと、私は世界に遍く法則そのもの———私が死ぬことは決してない!」
「どうかな……?」


俺はプリズムに似た物質でできた、特殊な形状の剣をガシャットで描いて形成する。

そして迫るマルドゥクを描いた円形の盾で防ぎ、カウンターとしてその形成した剣をマルドゥクの胸部装甲を斜めに入刀する。

マルドゥクの残存体力は大幅に削られ、今までとは違って瞬時回復もしなかった。それどころか刀傷は治るどころかマルドゥクの胸部に残り続け、その体力を奪い続ける。


「馬鹿な…なぜ回復が追いつかん?」
「当然だ。この剣の構成物質は宇宙のどこにも存在しない未知の物質…いや、今この瞬間にしか存在し得ない物質だ。この刃はお前を斬るために生まれた物質だ!」
「斬るためだと……ふざけるなぁ!私は絶対の存在———この程度の傷で、くたばりはしない!」
「なら…これならどうだ。」


俺は至近距離まで詰めて、マルドゥクの左腕を——————斬り落とす。

流石の邪神でも再生の難しい状態で腕を落とされれば、痛みもあるのだろう。悪魔は断末魔を上げて、変身を強制的に解除される。


「うぐわぁぁぁぁぁ!!!!」
「—————こいつは回収する。」
「うぅ…ぐわぉ……なんだと———」


斬り落とされたイーヴィルガントレットを俺は回収する。どんなに有利になろうと、こいつが存在していればまだ厄介なことが起こりうる。逆に言えばこいつさえ回収すればもう逆転はほぼ不可能となる。

しかしナムロドは腐っても邪神———そして往生際が悪い。

彼はかろうじて残っている右手で自分の懐から、6つの石を取り出す—————神器だ。


「ならば……」
「何する気だ。」
「私はお前を倒すために生まれた存在だ……この神器とともに、お前を殺す!!」
「おいおい、冗談だろ————」


彼は6つの宝石を口に入れようとする。

しかし全身が血みどろの彼は、その動作すらスローになっていた。震えた手はやがてその6つの宝石を全て地面に落とし、散らばってしまう。尚もナムロドはそれを拾おうとする。


俺はそれを止めようと一歩踏み出した……その瞬間。


「冷静になって!ナムロド様!!」
「?……お前は———」


突如どこからともなく現れたのは、あの群青髪の幼女……歩実。

彼女は自分のおもちゃを壊された子供の如く、俺を睨む。


「伊口才……よくもナムロド様の野望をめちゃくちゃにしあがって———」
「言ったはずだ。俺は絶対にお前らを止める———お前らは本気で俺を怒らせた。もう慈悲も与えない。」
「まだよ……お前の怒りなんかちっぽけだ。私の復讐は———こんなところで終わらないわ。」
「—————」


歩実はナムロド、そして拘束されたロード・オブ・クロウとともにホログラムとなって何処かへ消えていった。俺は……《《追わなかった》》。


「さて…まだもう一つ仕事が残ってたな。」


俺は円を描き、特殊な形状をした鏡———神鏡を形成する。

そしてナムロドが残していった右腕のガントレットに嵌め込まれたアークのコアをその神鏡に封印する。


「小原…黒澤……あとは頼んだぞ———」
「伊口殿————任せてくれ。私たちがやれることは、これしかない。」
「我々はただ、未来を次に託す———黒澤たちと協力して、二度と争いのない世界に……」



頷いた俺は全てを傍観していた大空に円を描き、ワームホールを形成する。さぁ……現代でもやることは残っている。






『どんな運命も……変えられるさ。』







どこかでそんな声がした。






————————現代————————







「ぐっ……」


500年間、息を殺し続けて仮面ライダーを根絶やしにし続け……そして仮面ライダースナイプらによって10年もの間封印されていた邪神 ナムロド。

才がつけた胸部への斬撃と左腕の斬り落とし————左腕こそ再生したものの、彼の体を500年もの間確実にダメージを与え続けた。

そう、それは今でも——————


「エグゼイド……貴様は必ず私が倒す———!」
「ご機嫌斜めだねぇ〜ナムロド様♪」


彼が根城にしている富士山麓の遺跡。ここに来るにはスナイプの超常的な索敵センサーでしか、探し当てることは不可能。

だがここに来てアークを再び自らの手に取り戻せたナムロドはエビルラビリンスをその遺跡に展開したことで、富士山麓遺跡そのものが異空間へと変化してスナイプですらナムロドの元へ辿り着けなくなってしまった。

彼が今朝にこの遺跡を訪れた際に、ナムロドと遭遇しなかったのはこのためである。

現時点で、この場所にいるのはナムロドとこの少女 歩実だけである。


「だがもう500年…ようやく神器の復活だ。」
「でもイーヴィルガントレットも伊口才に奪われちゃったけど、どうするの?」
「イーヴィルガントレットは元はアークが設計した籠手…位置情報は丸わかりです。いくらあのエグゼイドとはいえ、隙は必ずある——そこを狙うとしましょう。」
「流石ナムロド様♡」



————————※————————



「ただいま〜」


本来は自分しか住んでいない家に挨拶する俺。しかしながら今は俺だけではない—————


「才…?」
「よっ、久しぶり——でもないか。」


玄関で最初に会ったのは竜介先生だった。帰ってくるなり、質問にあった。


「どこに行ってたんだよ!?お前がいないから俺たち大変だったんだぞ!?」
「悪かった———その怪我を見るにだいぶやられたらしいな。」
「あぁ。ナムロドマジ強え、マジ最強。」
「語彙力がないぞ。」
「虎太郎……!」


虎太郎の怪我は時間経過で治るが、逆に言えば頭に包帯を巻いているだけでいかに重傷であったかよくわかる。本人はあくびをしながら2階から降りてきたが、そんな余裕は普通はないはずだが……

そして最後、人の屋敷に居ながら堂々と2階から降りてくる王———魁。


「才……もう、時間はないぞ。」
「そうみたいだな———」
「だが情報交換しないことには始まらない。」
「よし、みんな地下のモニタールームに集まってくれ。」


俺の声で、その場の3人は続々と動き始める。


〜〜〜〜〜〜〜



俺は洗いざらい全て話した————ただ一つの汚点だけは洗い流せなかった。対照的に3人はこの夏の修行で、精神も鍛えられて澄んでいるゆえに情報は全て話してくれた。

俺だけが————秘密を増やしてしまった。


「とりあえず理解はできたが……イーヴィルガントレットというアイテムが、完成した瞬間に世界樹の力がナムロドに渡って、全世界線の支配が完了するってことか———俺たちはそれを阻止する。」
「鍵になるのはやっぱり、GODって概念だな。」


虎太郎は40代目クウガが言っていたことを、現代でも話題にする。


「虎太郎、お前知ってたのか?」
「あぁ。正確にはルーが教えてくれる。奴は歴代クウガの情報を大体はアークルを通じて保管してくれているからな———ただ初代は例外だが。」
「初代か……その話が聞けたらどれほど楽か———」


嘆息を漏らす魁の言う通り、初代クウガはナムロドの精神と肉体を切り離した————つまり昔の仮面ライダーマルドゥクは完璧な頭脳を持った状態での、神域の攻撃を連続で叩き出していたわけである。

それを経緯はどうあれ、それらを分離するというのはどれほど偉業か————と、ここで虎太郎は何か口籠もる。


「1つ俺の推測だが……」
「どうした?」
「善の知能 ルーが管理しているのは恐らく、既に死んでいるクウガ継承者の話だ。」
「つまり……どういうことだ?」
「はいはい、話に入ってくんな筋バカ。」
「筋バカ!?」
「やっぱりアンタ戦略立案に入れるべきじゃねぇわ。」


不覚……確かに竜介先生は指示待ちの方が性に合ってる———いや、正確には指揮者が彼に作戦を自覚させず誘導することがベストだろう。

したがってこんな場所には2度と呼ばないでおこうw

ここで最終的な話のトリを魁がまとめる。


「しかし……当分はナムロドは姿を見せないだろう。」
「そういえばそんなこと言ってたな。パワーが溜まってねぇとかどうとか。」
「ガシャットにパワー補充か……また出番が増えそうだな。」


虎太郎が気怠そうにため息を吐く。しかしその息の中には自信がはっきりと見える。

と、ここで俺は過去で回収したイーヴィルガントレットを皆の前に提出する。


「これは—————!」
「イーヴィルガントレット。過去でナムロドのものを斬り落とした現物だ。」
「方法はグロいけど、コレを解析すればナムロド攻略に大きく繋がる————でもこれは……」
「このガシャットで変身したんだが、あれっきり使えなくなったな—————」
「いずれにせよ、手の空いている者はナムロド及び滅亡迅雷による人間の怪人化防止に取り組む……あとは————あの兆オジの買収の件だ。」
「あ……!」


やべ、最近色々ライダー出てきすぎて忘れてたな……特にここ2、3日はマジでサウザーと関わってなかったし。

魁は続ける。


「アイツはTOBで静岡学校連盟の公開株を全部取得。これで奴らの保有株は43%。残り7%以上取得で、経営権を完全掌握される————」
「なるほど……ならヌルゲーだな。」
「?」
「公開株で半数に満たないなら、残りの株保有者は学校法人側の人間。そいつらを説得すればいい話だ。」
「いやいや簡単に言うけどな…!普通に考えて統廃合の方が企業的にはメリットが大きいんだ。理事の中にだってそう思う奴は少なくないだろ。」


魁の言う通り、それが合理的判断なのは誰の目から見ても明らかだ————いや通じない方々はいたか。


「それは想定済み————俺たちは学校の存続理由をそいつらの納得する理由でプレゼンする………地区予選という舞台でな!!」
「「おぉ〜!!」」
「…………」


魁と竜介先生はこの流れに乗せられたが……虎太郎は冷静かつ現実的に言い放つ。


「はぁ……全くお前らは楽観的すぎる。その予備予選通過してなきゃ意味ねーだろ。」
「まぁ……そうか。」
「でも何とかなるだろ!!」
「どうやってだよ……」
「燃え上がるマグマが全部解決してくれるぜ!!」
「はいはい。ワロエナイワロエナイ。」


竜介先生のバカキャラのテンプレに、ネット民の流し方で対応する虎太郎。虎太郎も最初の頃から根本以外はめちゃくちゃ変わったと言わざるを得ない。

しかしそのネガティヴだけは否定させてもらう。


「なぁに、通過してるさ……Aqoursのパワーと俺たちのハートならな。」
「………そうだな。」


クスリと虎太郎は笑みを浮かべる。非論理的ではあるが、だからこそ確信できる。一種の祈りのようなもの……宗教的だ。


「俺はゲームには負けたことはねぇよ……運ゲーでもな。」
「じゃあ、俺と才はその件を中心に対応する。竜介先生と虎太郎は祝と一緒に、怪人化防止と怪人退治に当たってくれ。司令塔は虎太郎、スナイプと密に連携していってくれ。」
「「了解(!)」」

虎太郎と竜介先生はそれぞれ自分のトーンで返答する。




「さぁて……第一面、クライマックスだ。」
 
 

 
後書き
仮面ライダーエグゼイド クリエイターゲーマー

パンチ力 なし
キック力 なし
ジャンプ力 なし(ひと跳び)
走力 なし(100m)

高神千陽が殺された際に放った光の結晶によって完成したガシャットで変身した姿。ただしこの姿は変身者が存在する時間軸では使えない。

唯一無二の能力、物質創造能力によって相手を翻弄する。相手に対して最も有効な物質で作った武器などを生成できる。創造力が全てのため肉弾戦を想定しておらず、スペックという概念がない。

さらに次元の穴を開けたり、変身者の想像力次第で大きく強くなることができる。
 
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