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人生コンティニューしたらスクールアイドルを守るチートゲーマーになった

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1期3クール Aqours&ムテキ
  68話 海の家 パニック開店中!

 
前書き

才君の服は基本的に制服or白か薄青か青のカッターシャツを想像してください。
 

 
「これ—————何?」



千歌と梨子が着ている(?)箱————『今年帰ってきた!!海の家』と描かれている。どう見ても子供が思い付いた箱遊びにしか見えないのだが...........実際梨子はもちろんのこと、子供っぽい千歌ですらジト目で疑問を露わにしている。


「それでこの海の家にお客を呼ぶのですわ!聞けば去年も売り上げで隣に負けたそうではありませんか!?今年は私たちが救世主になるのです!!」
「「きゅ、救世主!?」」
「どうしてあんなに熱くなってんの........」
「ちょっと昔色々あって..........」


もうそれだけでは済まされないほどにキャラ崩壊してるだろ...........いや、その鱗片は今までにも現れてはいたか。

脇で聞いていた果南・ルビィ・善子の元に海の家の屋根からダイヤが降りてくる。それもライダー顔負けのジャンプで——————これも黒澤父からの影響なのか...........?

寄ってくるなり果南にチラシを押し付ける。



「さぁ!果南さんはこのチラシを!」
「は、はぁ..........?」
「あなたのそのグラマラスでいやらしい〜水着姿でお客を引き寄せるのですわ!!他の砂利どもでは女の魅力に欠けますので!!」
「何か顔が怖いんだけど............?」
「梨子ちゃん、砂利ってなぁに?」
「知らない方がいいと思うわ.............」



砂利っておい...........言わせてもらうが、千歌と曜のバストサイズは果南と同等で堂々のD判定だし、花丸はE判定だし————まぁ身長的の見ればそうだろうが..........

こんな話をしていると俺がストーカーみたいに見られるから控えておこう。しかし俺だって男だし、気にしないというのがおかしいという話。仮に気にしていなくてもGMとしてはいずれ知らなくてはいけない事だ。だから—————勘違いするなよ?


話は変わって、その一連のやりとりを簀子のベンチに座って興味なさそうに見ていた虎太郎。しかし彼にもダイヤのスカウト(魔の手)が忍び寄る。



「虎太郎さん、あなたもこのチラシ配りをお願いしますわ!!」
「えぇ......何で俺?美女で果南なら美男子は才でもいいんじゃないかな。」
「いいえ!あなたはμ’sのメンバーである矢澤にこさんと血を分けた兄弟........美女の弟は美男子ですわ!!(超理論)しかもその肉体美!程よい筋肉量と誰もが認める美形顔なら、必ずや女性のハートを鷲掴みにできるでしょう!」
「だったら俺より才の方が...........」
「才さんはイケメンでも自意識過剰すぎですので、ここはクールハンサムな虎太郎さんが適任と存じてのことです。」
「しょうがないなぁ————」
「いや納得すんな!!」



自意識過剰でナルシストなのは直しようがないから仕方ないとして........だからと言ってそれを理由にするのはいただけない—————だが、せっかく虎太郎が躍起になっていることだからそのままにしておいてやるか。多くを語らず、クールな男である虎太郎ならば魅了される女性も多いだろうに。


ダイヤはさらに役割分担を進める。ダイヤに呼び出されたのは鞠莉と曜と善子の3人——————そして...........



「そして鞠莉さん!曜さん!善子さん!才さん!!」
「ヨハネ!」
「あなた達4人には料理を担当してもらいますわ!!都会の方々に負けない料理でお客の心を鷲掴みにするのですわ!!!」
「面白そうだね〜!!」
「あぁ......心が躍るなぁ!」
「堕天使の腕の見せ所———!」
「じゃあ、レッツcooking〜!!」
「「おー!!!」」



これこそ飲食店ゲームの花形。料理の味、コスト、コスパ、外見—————それら全てが密接にゲームへと影響を及ぼす。当然セールスも重要ではあるが、セールスを裏切っては話にならない。

いかに最小限のコストで限界突破のパフォーマンスを行い、客を魅了するか、そして金を落とすか...............全ては俺たち料理組にかかっている—————!





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





「とりゃ!」



曜は目にも止まらぬスピードで人参を輪切りにする。そのほかにピーマンやキャベツ、豚バラ肉を麺と共に鉄板へと落とし込む。

材料に火が通ったところで特有の香りがたまらない、ソースをその麺へと適量絞る。

麺にソースがよく馴染んだところで紙皿に盛り付け、さらにその焼きそばの上にオムレツを優しく乗せる。

仕上げにオムレツの上に『YO』とその丸の中にサンサン輝く太陽を描き、錨のマークのミニフラッグを立てる。



「ほいっ!美味しいヨキソバ!ヨーソロー! 」



曜が作る夏の定番メニュー。俺もたまに家にお邪魔した時に作ってもらったりしたが、これが美味い。まさにB級グルメの骨頂。これは普通のオムそばであるが、『曜の真心』が付加価値となってそれが旨みに拍車をかけているのだ。

なるほど........定番メニューならば安定した売り上げが出るだろう。



だがしかし..................





「くっくっくっ........堕天使の泪————降臨!」





見た目はたこ焼き..........のように見えるが、少し潰すと得体の知れないレッドヴァイオレットの液体が—————しかもたこ焼き外面もあろうことか黒、黒、黒。まさに闇黒に堕ちた堕天使の涙..........


味とコスパはともかく外見が絶望的すぎる。どのように作ったか気になるところだが........これが本当に売れるのか—————?


一方で————————




「アンビリ〜バボ〜!シャイ煮..........complete———!」




いつもよりねっとりとしたネイティブ感溢れる英語で完成を宣言した鞠莉。厚底鍋をかき混ぜる姿は秘薬を調合する魔女のように見えた。


鍋のそばに置いてあるスパイスの影響か、香り自体はかなりいい。おそらく相当凝っているのではないだろうか。しかしこちらからでは色が確認できない。下手をすれば某ガキ大将のシチューの如く紫色の可能性も.........いや、それならばより刺激臭が強いはずだ。それはない以上、美味いのではあろうが.........しかし外見が全てを台無しにしている。



今のところ曜以外まともな戦力がいない............ならば俺が2人の分まで利益をださねぇとな。



「あの......才君は..........大丈夫だよね?」
「ふっ.........舐められたもんだな。俺はこだわりに全振りした料理なんて作らねぇ。もっとゼネラルな料理だ。それも他の料理にも応用できるような...........究極の料理だ。まぁ見てろって——————」
「よ、ヨーソロー————」

シュボッ!


戸惑いを隠しきれない曜を背にしてマッチを擦り、勝負の咥えタバコをふかす。そしてあたりにみかんの香りを漂わせる。我ながら今の俺の雰囲気はまさに高級料理店の五つ星シェフのように振る舞っている。


もう女性陣でここに惚れなくてどこに惚れるんだ?



さて.........いざ参らん、究極のキュイジーヌ!





「さぁ!!これで客がドバドバと—————!」




チーン—————————




「何で来ないんですの!!!!」
「こんにちは〜」
「あっはーい(甲高い声)」


憤っていたダイヤだが、客と思われる声にすぐさま接客モードへと切り替える。しかしやってきたのは客は客でも、よいつむトリオを筆頭にした浦の星学院の生徒。つまり...........と、ここで千歌がダイヤに答える。



「ダイヤさーん!みんな連絡したらすぐ来てくれたよ〜!」
「最初からこうすればよかったんだね。ほ〜んとダイヤってばおバカさん♪」
「ホント!オ・バ・サ・ン♪」
「一文字抜けてますわ(怒)!!!!!!」



外が騒がしいのはさておいて、誰だあれようやく客が入ってきた。俺は早速よいつむトリオ加えて数人にメニュー表を渡す。



「はいよ。まだメニュー自体は多くないが........それでも満足はさせられるはずだぜ。」
「おぉ......才君気合い入ってるね———」
「どれどれ.......ヨキソバと————シャイ煮?」
「堕天使の泪!?えっと.........料理なんだよね?」
「あ、あぁ.......多分な?」
「後は..........謎肉と冷やしそうめん?謎肉料理がけっこう多いね。」
「謎肉は俺の自信料理だ!ぜひ食べてくれよ!」
「じゃあ私ヨキソバで!」
「私も!」
「まぁこの中からだったら.......冷やしそうめんかな。」
「じゃあ私は——————」



これが俺の自信料理そしてコストカットの秘策 謎肉だ。味はもちろん普通の牛肉と変わらない。むしろ俺の腕でさらに美味しくなっているはずだ。さてこの調子でどんどん売っていくぞ!!!





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





「うぅ.......μ’sはこんな練習を行っていたのですか........」
「だからやって........いや、もういいや。」
「もうここまで来たら...........やめさせるのも酷だしな。」



虎太郎は真実を伝えることを諦めたようだ。俺はそれには賛成だ。俺たちの最終目標は必ずしもμ’sと同じではない。そう彼女たちやスナイプ(覗)が言っていた。むしろ彼女たちが歩んできた道を踏襲しなければならないというのは........命取りになる。

そして俺に課せられた目の前にある使命。それはこのことにAqoursが気がつくように導くことだ。


心身共にクタクタなAqoursだが、日が沈んだ以上はグズグズもしていられない。早速体に付着した砂や塩水を筆頭とする汚れどもを真水で洗い流す。

日が沈んだ後に浴びる冷水は夏とはいえ寒気を感じざるを得ない。あまりの冷たさにダイヤが千歌にぼやくほどだ。この後夏であるものの、ぬくぬくの温泉に浸かりたいものだ。



「よし......じゃあ着替えに行ってくるか。虎太郎、魁。」
「「おう。」」
「着替えるついでにお風呂に入ってきなよ。あ、その前にバスタオルを........って、うわぁっ!!!!」



十千万のバスタオルを取りに行こうとした千歌だったが、急ぐ彼女を阻むように段差はバランスを奪っていった。

仰向けに倒れそうになる千歌————俺は皆の目に止まらぬスピードの脊髄反射で彼女の腰を支え、半分お姫様抱っこのような状態に陥る。



「ん?え?あれ?あ、ありがと才くん........」
「ほら、早く行けよ。」
「う、うん。」


千歌は水着のままドタバタと旅館の奥へと入っていく。俺が思わず目元に手を当て、ため息をついたところ、曜が首を傾げる。



「どうしたの才君?」
「————————見えた。」
「へ?」
「超光速で動いたせいで千歌の〜〜〜〜が見え」
「っっっっっ!!!!」



すると俺たちのそばで聞いていた梨子が顔を真っ赤にしたと同時に、パチンと音を立てて俺の頬をビンタする。目を覆っていて、しかもダイヤのグーパンをかなりの頻度で喰らっているのでそこまで痛がるほどのものでも......いや痛てぇわ。


「地味に痛いからやめてくれ........」
「全く.......レディ9人の前で下ネタとか頭おかしいでしょ!?」

興奮する梨子に曜は「宥め」に入る。

「まぁまぁ、梨子ちゃん。こういう発言は規制されるから安心して?」
「そうだけど..........」
「やめろやめろ、話がメタい。」


まぁ〜〜まで見えたわけじゃないからセーフセーフ。


———————————※————————————



「「「「「えー!!!!」」」」」」
「美渡ねぇが余った料理は自分たちで処理しなさいって。」



お風呂に入り、スッキリした俺たちに待ち受けていたのは残飯処理だった。まぁ予想できた結末ではあるが..............後ろに積み上げられた得体の知れない玉と高級食材の山が見え隠れしている。

その山を見て梨子が呆れながら続ける。



「そんなに余ったの?」
「ヨキソバはほぼ完食で謎肉系も好調だったんだけど、シャイ煮と堕天使の泪全く売れてなくて................」
「申し訳ないデース!!」


プチ土下座をする善子と鞠莉。よくよく見てみるとこの量ではせっかく出した利益がパーになってしまう可能性がある。全くこれは戦犯だぞ.........


だがここまで売れないと逆に興味が湧いてきたのか、ルビィや果南は若干ながら興味を持っている。



「それってどんな味がするんですか!?」
「ちょっと興味あるね。」
「そうですね...........!」
「マルも食べてみたいずら!」
「「イイデスワッ!!」」



Aqoursの数人が興味を持ったがあまりに机に置かれたゲテモノ——————いや、それに見える料理。皆改めてその姿を見て思っただろう。


これは食うべきものじゃない————


しかし食べると言ってしまった以上、撤回するのは鞠莉と善子を傷つけてしまうがためにそれは却下だ。故に食べるしかない。

せめて見た目通りの味でないように—————そう祈りながら俺たちはシャイ煮を口に運ぶ。



するとAqours一同に電流走る!



皆の頬が緩み、次々と口へ運び始めたのだ。花丸はガツガツという擬音語を奏でるが如くにシャイ煮を口へと掻き込む。そして堂々とおかわり宣言をする。

しかし入っている品物がアワビやマンボウ、伊勢エビ、サザエ、松茸、カニ、高級肉、ナマコ............料亭でも類を見ない高級品のオンパレードである。だからいいダシが出るのは当然か。

その高級さに千歌は笑顔だが、梨子は困惑する。


「シャイ煮美味しい!!」
「でも中に何が入ってるの.........?」

鮑を掴んで怪訝な梨子に鞠莉は種明かしする。


「ふっふっふっ.......シャイ煮はワターシが世界中から集めたスペーシャルな食材で作った究極の料理デース!!」

「それで.......一杯いくらするんですの————?」
「さぁ?十万円くらいかな?」



「「「「「「ぷぅー!!!」」」」」」」


皆があまりに高すぎる金額に、一斉に吹き出す。



「高すぎるよ!!」
「そう?チカっち?」
「俺初めて食った..........十万円の煮物。」
「いや誰も食ったことねぇよ。」


虎太郎はなんならここに置かれた高級品全てに触れたことすらないのだろう。矢澤家は家計が苦しい典型的大家族。かき氷とは別ベクトルで、珍しく、彼の頬が緩んでいる。


一方で魁は平然として食べている——というか懐かしの味かのようにそれを味わう。


「そうなのか........みんなこれくらい食ってるかと思ったぜ。」
「私とブラザーにとっては普通の料理だと思って作ってあげてたんだけど............」
「思い出の品なのは結構だが原価が高すぎんだよ!!これを格安で売ったなら大損だぞ!?」
「え————そうなの?」
「全くこれだから金持ちは—————」


果南の持ちネタ炸裂。

これがあのオハラエンタープライズ社長の娘息子か?父親とは正反対すぎる........金ってものに無頓着すぎるって—————だがアイツみたいに利益第一のクソ人間よりはマシかも。

しかしこんなの売られたら買う人も困惑するし、俺たち側としては大損害もいいところだ。

待て待て。まだ堕天使の泪が残っている—————いや、これこそジョーカー食材。何が起こるか全くわからねぇ...........


「じゃあ次は堕天使の泪を———————」
「堕天使の涙に溺れなさい.......:!」


ルビィは試食感覚でその堕天使の泪を頬張る。するとみるみる顔がリンゴのように赤くなり————————



「——————!ピギャァァァァァ!!!!!!辛い辛い辛い!!!!」



奇声をあげて砂浜をぐるぐると回っていた。まさかあの得体の知れない液体って.................



「ちょ、何を入れたんですの!?」
「タコの代わりに大量のタバスコで味付けしたこれぞ堕天使の泪っ!!」
「お前平気なのか.......?」


イカ墨とタバスコか..........こっちはガチで人を殺しにかかってるな—————

ある意味2人とも殺人料理を作ったのかも知れない...................





ここで皆が騒ぐ中で俺のスマホの振動が脊髄へと伝わる。相手は————『黒地 祝』

一応今日は内浦にいるらしい。アイツは本当に神出鬼没だからなぁ............冗談はさておいて、皆がいる海の家から出て夜の砂浜でその電話に応答する。



「もしもし、祝どうした?」
『やぁ我が主人。ちょっと連絡しておかなければならない話があってね。』
「話?」
『もちろん義務というわけじゃないんだが————』






再び物語は動き出す...............崇高なる運命に則って。







 
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