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X ーthe another storyー

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第四十七話 慕情その九

「幼犬になったな」
「はい」
 護刃はそうなったと答えた。
「今は」
「クゥン」
「鳴き声聞こえたよ、命はあるんだな」
「そうです、犬鬼は犬鬼です」
「そのことはいいさ、けれどな」
「それでもでもですね」
「それで嬢ちゃんも戦えなくなったな」
「そうなりました」
 護刃は正直に答えた。
「ほんの子供になったので」
「そうだよな」
「後は残った人達にお任せします」
「そのことはいいさ、ただな」
「ただ?」
「今言った通りさ、俺達は闘うことは出来なくなった」
 お互いにというのだ。
「そのことは本当にな」
「よかったですね」
「ああ、だからな」 
 それでというのだ。
「そのことはよしとして今はお互い帰ろうな」
「そうですね」
 草薙のその言葉に頷いた。
「今の私達は」
「そして手当ても受けてな」
「残った人達にですね」
「任せような、俺は哪吒のところに行く」
 仲間のところにというのだ。
「心配だからな」
「じゃあ私も」
「ああ、行きたいよな」
「征一狼さんのところに」
「行けばいいさ、命に別状はなくてもな」
 それでもというのだ。
「結構な怪我だしな」
「だからですね」
「行ってやるといいさ」
「仲間、お友達なので」
「友達は気遣うものだよ」
 草薙は静かな口調で述べた。
「だからな」
「今からですね」
「お互いな」
「お友達のところにですね」
「行こうな」
「はい、今から」
「じゃあな、また会う時が来れば」
 草薙は空、夜空を見た。そこには無数の星が瞬いている、その星達の輝きを見つつ護刃に対して話した。
「友達同士でな」
「お会いしましょう」
「そうしような」
 こう言ってだった。
 草薙は哪吒のところに跳んで行った、そして護刃もだった。
 戦場を離脱していた征一狼のところに来た、彼は護刃を見て言った。
「ご無事でしたか」
「犬鬼は子供になりましたけれど」
「それでもですね」
「私も犬鬼も無事です」
「それは何よりですね」
 その犬鬼も見て応えた。
「僕も何とかです」
「かなりの怪我ですが」
「命に別状はありません」
 微笑んでの返事だった。
「ですからご安心下さい」
「そうですか」
「ただ。暫く入院が必要ですね」
 申し訳なさそうに苦笑いをして答えた。 
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