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新オズの臆病ライオン

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第四幕その六

「それで皆がなんだ」
「慕ってくれて」
「それでなんだ」
「声をかけてくれて」
「挨拶もしてくれるのね」
「それも礼儀正しく」
「嬉しいことにね、そしてね」 
 臆病ライオンはさらに言いました。
「その礼儀に応えてね」
「臆病ライオン自身もだね」
「ちゃんと礼儀を守ってるね」
「そして挨拶を返しているね」
「紳士的に」
「そうしているね」
「礼儀には礼儀で返さないと」
 そうしないと、というのです。
「駄目だよね、まして僕はライオンの王様だから」
「それじゃあね」
「ちゃんとしないと駄目だね」
「王様なんて偉い立場になったら」
「尚更」
「礼儀も守らないと駄目だね」
「さもないとね」
 それこそというのです。
「王様に相応しくなくなるよ」
「そうだよね、僕はオズの国の虎の王様だけれど」
 腹ペコタイガーも言ってきました。
「ちゃんとね」
「君も礼儀を守っているね」
「そうしないとね」
 こう臆病ライオンに応えるのでした。
「王様としてね」
「相応しくないね」
「王様だったら」
「王様の義務があるしね」
「その義務も果たさないと」
 そうしないと、というのです。
「駄目だね」
「そうだよね」
「本当にね」
「そういえばね」
 トトも言ってきました。
「ビリーナだけれど」
「ビリーナは女王様だね」
 臆病ライオンはすぐに応えました。
「あの娘は」
「鶏の国のね」
「ご主人が王様でね」
「それでビリーナもね」
 彼女もというのです。
「女王様として」
「礼儀を守っているね」
「そうなんだよね」
「誰でも礼儀を守らないといけないけれど」
 臆病ライオンはトトに応えて言いました。
「王様とかね」
「責任ある立場になるとね」
「他の人や生きもの以上にだよ」
「そうしたものを守らないといけないね」
「そうだよ、挨拶をされてもね」
「礼儀正しく返すだね」
「そうしないとね」
 さもないと、というのです。
「駄目だよ」
「そうだね」
「その通りよ、私だってね」
 ドロシーも言ってきました。
「そこはね」
「ちゃんと守ってるよね」
「ええ、ただ最初はね」 
 臆病ライオンに少し苦笑いをして答えました。
「凄くね」
「大変だったね」
「ええ、だって私元々はね」
「カンサスの農家の娘さんだったね」
「王女じゃなかったから」
「オズの国の首相さんでもね」
「なかったから」
 それでというのです。 
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