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虎も歯を

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第一章

                虎も歯を
 タイのお話です、ジャングルに多くの生きものが暮らしていました。
 その中に虎もいました、虎はいつも強くて逞しくてジャングルの生きもの皆から憧れられていました。
 ですが最近です、虎は。
「体調がよくないんだ」
「えっ、そうなんだ」
「元気じゃないんだ」
「どうもね」
 ジャングルの皆に困った顔で言うのでした。
「最近ね」
「それは大変だね」
「困ったことだね」
「元気が第一だからね」
「誰でもね」
「よく寝てよく食べてね」
 そうしてというのです。
「水浴びも欠かさないのに」
「それでもなんだ」
「最近体調がよくないんだ」
「そうなんだね」
「うん、どうしたものかな」
 困ったお顔で言うのでした、兎に角です。
 最近虎は元気がありません、それで困っていたところ。
 ジャングルに一匹の猿が来て棲み付きました、猿は甘いものが大好きで。
 いつも果物を食べていました、そして食べた後はいつもです。
「君は何をしているのかな」
「歯磨きだよ」
 孔雀に歯ブラシで歯を磨きながら答えました。
「歯磨き粉も使ってね」
「そうしてなんだ」
「そう、僕は食べたらね」
 その後はというのだ。
「ちゃんとね」
「歯磨きをしているんだ」
「こうしたらお口の中が奇麗になって」
 そうなってというのだ。
「虫歯にもならないんだ」
「ああ、虫歯だね」 
 孔雀もお話を聞いて頷きました。
「歯があるとね」
「なるね」
「僕は鳥だからならないけれどね」
「けれどお口の中はね」
 そこはというのです。
「いつもね」
「奇麗にした方がいいんだね」
「歯がなくてもね」
 それでもというのです。
「そうしたらいいんだよ」
「そうなんだね」
「皆ね、そうしたら健康にもね」
「なるんだ」
「そうだよ」
 こう言うのでした。
「それで僕いつもね」
「健康なんだね」
「そうだよ」
 歯を磨きながら言うのでした、そのお話を聞いてです。
 虎もです、こんなことを言いました。
「じゃあ僕もね」
「歯磨きするんだ」
「そうしてみるんだ」
「それで健康になるなら」
 こう言ってでした。 
 虎は歯を磨いてみました、歯ブラシに歯磨き粉を付けてやってみますと。
 虎は驚く位に元気になりました、それは誰が見てもわかるもので。
「いや、凄いね」
「凄く元気になったね」
「見違える位だよ」
「本当にそうなったね」
「うん、歯を磨く様になったら」 
 虎自身も言います。 
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