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黄金の三つの林檎と銀の枝

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第一章

                黄金の三つの林檎と銀の枝
 ケルトに伝わる古い話である。
 ミースの王コルマクは非常に誠実で真面目な人物だった、穏やかな顔で茶色い立派な髪と髭を持ち大柄で堂々たる外見であった。
 目は青くその目には深いものが感じられた、その彼が五月のある日にタラという場所にある白の城壁の前にいるとだった。
 そこに見事な体格と精悍な顔立ちの黒髪と黒い目の戦士が来た、王はその彼の右肩を見て供の者達に言った。
「あの旅の戦士は只者ではないな」
「はい、堂々たる体格であり」
「風格もあります」
「まだ若い様ですが」
「かなりの人物ですね」
「しかもだ」
 戦士の右肩を見ても話した。
「見るのだ、右肩にあるものを」
「はい、黄金の林檎が三つあります」
「銀の枝の先に」
「あれは見事ですね」
「かなりの宝です」
「何者だ」
 こう言うのだった。
「あの戦士は」
「わからないですね」
「どれだけの人物か」
「一体」
「そうだな、だがかなりの人物なのは間違いない」
 王は確かな声で言った。
「なら声をかけてだ」
「お話をされますか」
「王ご自身から」
「そうされますか」
「そうしよう」
 こう言って王自ら戦士のところに行って彼に声をかけた、戦士の傍に行くと林檎達が揺れていた、するとだった。
「優しい音ですな」
「この林檎の音は」
「自然と癒されます」
「そうなります」
「そうだな、よいだろうか」
 王はその音と周りの者達の声を聴きつつ戦士に声をかけた。
「貴殿と話をしたいが」
「そうなのですか」
「貴殿は何者だ」
「私は真実だけを話す国から来ました」
 戦士は王にまずはこう答えた、髭はなく引き締まった四角い顎が印章的だ。
「何物も老いて朽ち果てず憂いも妬みも憎しみも苦しみのない国からです」
「来たのか」
「左様です」
 戦士は毅然とした声で答えた。
「私は」
「そうか、不思議な木だな」
「そしてこの林檎達と枝はです」
 戦士は王に自身の右肩にあるそれの話もした。
「その国のものです」
「そうか、実はだ」
 王はその林檎達と枝を見つつ戦士に申し出た。
「よかったら余にくれるだろうか」
「王にですか」
「そうしてくれないか」
「わかりました、ですがそれには条件があります」  
 戦士は王の申し出を受けつつこう返した。
「私の願を三つ聞いて頂けるでしょうか」
「林檎の数だけだな」
「そしてその願いを聞いて頂けたなら」
 それならというのだ。
「その時にです」
「林檎達に加えてか」
「枝もです」
 林檎達だけでなくというのだ。 
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