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その時流れが変わった

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第二章

「阪神が日本シリーズ出るなんて」
「ははは、そやな」
「確かに滅多にないわ」
「この前出たんは二〇一四年やった」
「ホークスに負けたわ」
「最後守備妨害で終わりやったわ」
「あれは無念やった」
 老人はまさにそうした顔で述べた。
「和田さんの抗議の横でや」
「ホークス胴上げやったら」
「それもペイペイドームで」
「一勝したと思ったら四連敗」
「止めにそやったな」
「その前は三十三対四でや」
 老人は悪夢の話もした。
「ロッテにくそみそやったな」
「あれは酷かったな」
「今も語り継がれてるわ」
「惨敗言うたらあれや」
「三十三対四や」
「それになるわ」
「そしてその前は甲子園でホークスに負けたし」
 この時はソフトバンクでなくダイエーであった。
「昭和もな」
「東映に負けて南海に負けて」
「というかホークスよお出るな」
「あのチームとは因縁あるな」
「というかシリーズ一回も勝ってへんな」
「まあホークスは置いておいて滅多にな」
 老人はあらためて話した。
「阪神はシリーズに出んからな」
「それでやな」
「応援も殊更凄くなるな」
「普段と比べて」
「シリーズやと」
「この応援が後押しになれば」
 阪神ファンの熱狂的なそれがというのだ。
「若しかすれば」
「若しかするな」
「阪神日本一やな」
「そうなるな」
「甲子園の応援は別格や」
 熱狂的な阪神ファンで埋め尽くされるそれはというのだ。
「ほんま球場が揺れる」
「そこまで凄いからな」
「只でさえわし等熱狂的って言われてるのに」
「そのファンが大きい甲子園埋め尽くすんや」
「その応援は壮絶なもんになる」
「それで阪神を応援するさかいな」
「後押しにもなる、球場の雰囲気もな」
 これもというのだ。
「チームをや」
「後押しして」
「優勝させるな」
「日本一に」
「その時が来ればな」
 こう周りに話した、だが。
 三戦目はオリックスが勝った、これでオリックス優勢となった。甲子園でオリックスが勝ったことは大きいと思われた。
 だが四戦目も甲子園は阪神ファン達で埋め尽くされていた、そしていつもよりもさらに熱い応援をしていたが。
 試合は五分と五分だった、そんな中で阪神側にエラーも出て試合の流れはわからなくなっていたが。
 ここで岡田が動いた、監督の彼は審判に告げた。
「ピッチャー交代か」
「一体誰や」
「誰を出すんや」
「一体」
「ここで打たれたらやばいが」
「誰や」
「わからんな」
 老人も展開がわからなかった、それで首を傾げさせていた。 
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