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X ーthe another storyー

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第四十二話 虚無その十七

「起きれば実際に」
「ご覧になられますね」
「そうしていくよ」
「楽しみにしておいて下さい、どうやら」
 星史郎はさらに話した。
「牙暁さんが目覚められない理由は」
「まさか」
「そのこともです」
「もう一人のあの人かな」
「あの人は悪意に満ちているので」
 それが為にというのだ。
「牙暁さんが地の龍の夢見であるので」
「目覚めない様にだね」
「力を使われているのでしょう」
「自分でも。そして誰もが」
「何故目覚められないのか」
「ずっとわからなかったけれど」
「何事も根拠があります」
 星史郎はこのことも話した。
「そしてです」
「僕が目覚めない根拠は」
「そうなのでしょう」
「あの人がそうさせているんだ」
「おそらく」
「ここでもあの人が出て来るなんて」
 牙暁は星史郎が言うその仮定に戦慄を覚えた、仮定ではあってもそれはおそらく真実であると感じてのことだ。
「やはり僕達が本当に倒すべきは」
「あの人ですね」
「もう一人のね」
「やはりそうですね」
「あの人を倒して」
 そしてというのだ。
「世界も人間も救って」
「牙暁さんもです」
「そうなる様にするよ」
「頑張って下さい、皆さんなら出来ます」
 星史郎は優しく笑って言った。
「必ず」
「期待しているかな」
「確信ですね」 
 そちらだというのだ。
「地の龍の皆さんにです」
「天の龍の彼等もいるから」
「昴流君もいますし」
 他ならぬ彼もというのだ。
「大丈夫です」
「彼は今は」
「今だけですよ」
 こう返したのだった。
「戦えないのは」
「星史郎さん、北都ちゃんとのことが終わったから」
「ですから今は放心した様になって」
「動けないだけで」
「またです」
 時が来ればというのだ。
「必ずですよ」
「彼は動けるんだね」
「そうなります、そして」
「この戦いを終わらせることに貢献してくれる」
「そうしてくれます、きっとです」
「世界も人間も救われて」
「貴方も幸せになりますよ」
 牙暁に告げた。
「必ず」
「希望を持ったよ、希望を持ったら」
 それならとだ、星史郎に話した。
「凄く前向きになれるね」
「そうです、希望はです」 
 星史郎はそれの話もした。
「常にです」
「人と共にあって」
「前向きにしてくれて導きもして」
「幸せにしてくれるね」
「僕もわかりました、希望はです」
「そうしたものだと」
「今になって」
 彼にとっての全てが終わったこの時になってというのだ。 
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