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博士の挑戦状

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第八十九話

                第八十九話  殺す相手は
 タロとライゾウは二匹で博士に尋ねた。
「しかしね、博士ってね」
「これまで二億人殺してるよな」
「ビッグバンから数えて」
「そうだよな」
「うむ、それだけになるな」
 博士もその通りだと答えた。
「正確な数はもっと多いがのう」
「一の桁まで入れるとね」
「そうだよな」
「おおよそ二億でじゃ」
 博士はさらに言った。
「正確に言うと二億七千万八千九百十二人じゃ」
「それだけ殺したね」
「これまでな」
「それでそれだけ殺してるけれど」
「今そんなこと言うんだな」
「わしが殺すのは小悪党のみじゃ」
 博士はその殺す対象の話もした。
「あくまでな」
「ああ、普通の人は殺さないね」
「絶対にな」
 タロもライゾウもそれはと答えた。
「言われてみればな」
「そうだね」
「小悪党は幾ら殺してもよいが」
 それでもというのだ。
「軍人さんや民間人で一般の人はな」
「絶対に殺さないね」
「戦ってもな」
「うむ、それで小悪党以外は死ぬ時はな」
 その時の話もした。
「やはりな」
「穏やかにだね」
「平和に死んで欲しいんだな」
「死ぬ時は苦しまずじゃ」
 その様にというのだ。
「死んで欲しい」
「そうなんだね、博士って」
「そうした考えなんだな」
「左様、ただ小悪党には容赦せん」 
 その殺す対象にはというのだ。
「それこそ徹底的にじゃ」
「苦しめてだね」
「殺すな」
「それも趣味じゃ」
 博士のというのだ。
「これからも楽しむぞ」
「これってポリシーかな」
「そう言うのか?」
 タロとライゾウは博士の言葉を聞いて首を傾げさせた、何はともあれ二匹は博士の死に顔についての考えを聞いて頭に入れたのだった。


第八十九話   完


                  2023・8・18 
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