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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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挑発

 
前書き
最近ジェニーの良さがわかってきた気がする|ョω・`)ナンカイイ 

 
シリルside

『大変長らくお待たせしました!!これより三日目競技パート・奪取(スィージャ)を始めます!!』

俺の鼻血が収まるまでの数分間、競技の開始が遅れようやく始まることになったのだが、観客たちは・・・主に男性陣は残念そうな声を発している。その理由は繋ぎのために先程の俺が鼻血を出すまでの一連の経緯をビジョンで流していたため。あまりにも眼福なそれに彼らは時間が流れるのを感じていなかったのかもしれない。

「大丈夫?シリル」
「だ・・・大丈夫です」

隣にいるジュビアさんの顔を見ることができない。先の一件のせいで彼女の姿を視認しただけで鼻血が出てきそうで、俺はそっぽを向いているような状況だ。

「あまり無理しないでね」
「は~い」

彼女もそれを理解してくれているようであまり突っ込まないでくれている。グレイさんのことになるとヤバイ人だけど、意外とこういう時は周りが見えてるんだよなぁ。

『それではこれよりフィールドの生成を行います!!参加者の皆さんは酸素魔水晶(ラクリマ)を装着してください!!』

今は全員が闘技場の壁沿い・・・各チームの待機場所の前にいるので距離が離れているが、勝負が始まるとそうも言っていられない。とにかく30分間はさっきのことを思い出さないように行動しないと。そう思いながら口に魔水晶(ラクリマ)を咥えると、その直後、地面から吹き出すように水が溢れ出してくる。

「なんだ!?」
「これは・・・」

あまりにも勢いよく出てきたので驚いたが、地面には闘技場いっぱいに魔法陣が描かれている。しかも水位はどんどん上がっていったかと思うと、観客席よりもはるか高くまで水がいっぱいになる。

『今回のフィールドは闘技場いっぱいになっているカボ!!観客の皆さんもより臨場感を味わってほしいカボ!!』

水位に押し上げられたこともあり俺たちの身体は壁よりも高い位置にある。後ろを振り向くと観客たちやウェンディの姿が---

「ボフッ!!」

思わず変な声が出た。だって視界に入ったウェンディが明らかにこちらを睨んでるんだもん。絶対さっきのこと怒ってるよ、俺悪くないのに!!

『それではこれより奪取(スィージャ)!!スタートです!!」

銅鑼の音と共にタイマーが動き出しのが見える。ウェンディすっごい怒ってるけど、ここはとにかく気にせずゲームをやるしかない!!

「まず最初は・・・」

俺とジュビアさんは視線を交わすと最初に決めていたターゲット目掛けて泳ぎ出す。他の人たちは慣れない水中だけど、俺たちからすればここは得意なステージ。そのため、簡単に敵の姿を捉えることができた。


























レオンside

ゲームが始まった。その中でまず俺たちが注目したのは全員の口から出てくる気泡の量だ。

「あの気泡が酸素の消費量か」
「あれが少なければより長持ちするってことだよね」

参加者全員の口から気泡が出ているが、予想通りその量はかなりマチマチ。泳ぎ始めたこともあってかなりそれが出ているものもいれば、様子見しているのかほとんど動いていないため、空気もそこまで使っていないものもいる。

『やはりそれぞれ考え方が違うようですね」
『うむ。全員の動きを確認するために動いていない人が多いね』
『みんなCOOLに動いてくれよぉ!!』

酸素の量が鍵を握るとなれば、そう簡単には動けない。ただ、この状況も長くは持たないだろう。なぜならこの二人が動いているからだ。

『その中で真っ先に動いたのはシリルたんとジュビア!!水の魔導士なだけあってその泳ぎも実に速い!!』

速い泳ぎ・・・それにももちろん目を見張るものがあるが、もっとも注目すべきは二人の口から出てくる気泡の量。他の面々が動いていないため時とほぼ変わらない程度の量しかこちらからは視認できないのだ。それがどれだけこのゲームで有利になるかは言うまでもない。そして・・・

妖精の尻尾B(フェアリーガールズ)が最初に捉えたのは四つ首の番犬(クワトロケルベロス)だぁ!

「なっ!?」
「こいつらかよ!!」

最強ペアのいきなりの襲撃に慌てたのか、一気に大量の気泡が口から漏れ出るロッカーさんのノバーリさん。だがこれは仕方がない、二人に驚くと言う意味でも、シリルたちの狙いになってしまうという意味でも。

「よっぽどさっきのが効いてるんだな、シリルの奴」
「仕方ねぇだろ!!」
「キレんなよ」

ターゲットの決定理由に心当たりのある俺たちは苦笑いを浮かべてしまう。恐らく・・・いや、間違いなくシリルはさっきまでの色仕掛けで女性陣に対して攻撃するのに抵抗が生まれているはず。となれば唯一の男性コンビであるあの二人を襲撃するのは必然。あとはどうやって魔水晶(ラクリマ)を奪うかが焦点となるか。

『あっと!!シリルたん、ロッカーとノバーリを見つけるやすぐさま加速!!あっという間に距離を詰める!!』

さすがに先ほどまでよりかは酸素を使っているようだが、それでもかなり消費量を抑えているように見える水竜。彼は瞬く間に距離を縮めると、そのまま一気に飛びかかる。

「ヤベッ!!」
「くっ!!」

それに呼応するように後ろへと逃げようとする二人。だが、いかんせん水の中では動きが遅い。これはシリルの方が優勢か?そう思っていた時だった。

「ん?」

飛びかかったシリルに違和感を覚えた。そしてその理由もすぐに理解する。彼は性別的には男性なため好んでサーフパンツを履いているのだが、その容姿のため上の露出をギルドの面々から禁じられている。そのためラッシュガードを着ているのだが、今回はそれは仇となった。なぜなら彼が身に付けているそれは泳ぐことには適していない・・・水の抵抗を受けやすい設計になっている。その為なのだろう、二人の口元にある酸素魔水晶(ラクリマ)へと向かっていたはずの軌道が届いていないように見える。

(これはカウンターが狙える・・・え?)

二人にわずかに届かないと思われた少年だったが、彼の泳力は予想よりも高かったようで二人へと手が届いたことは届いた。なぜこんな言い方をしているのかと言うと彼が掴んだものが問題なのである。そもそも今四つ首の番犬(クワトロケルベロス)の二人の格好は掴めるものがほとんどない。その状況で彼が掴んだものは・・・言うまでもないだろう。

ズルッ

「「「「「あ」」」」」
『『『あ』』』

シリルが掴んだもの・・・それは二人のものを守っていたパンツ。よりにもよって二人はかなり小さなパンツを履いていたためシリルがそれを掴み、慌てて起き上がろうとしたことで完全にそれを脱がしてしまった。これによりドムス・フラウは悲鳴が巻き起こり、二人も慌てて股間を隠す。

「「ブフッ」」

そしてやった本人たちはというと、これは予想していなかったのかシリルもジュビア姉も動揺しているようでこれまで温存していた酸素が一気に出るぐらい気泡が溢れ出ていた。

「なんてもの見せてるんですか!!」

そして近場にいた唯一の女性であるジュビア姉は仲間が引き起こしたことではあるのだが、彼に突っ込むわけにも行かず被害者である二人を水の渦潮で吹っ飛ばしていた。

「うわあああ!!」
「俺らのせいじゃねぇだろう!!」

散々な結果になった四つ首の番犬(クワトロケルベロス)。しかも二人は今の衝撃により魔水晶(ラクリマ)を落としてしまい、それをシリルがキャッチしていた。

四つ首の番犬(クワトロケルベロス)ロッカー選手!!ノバーリ選手失格!!』
「あんまりだ・・・」
「ワイルド・・・」

踏んだり蹴ったりの二人だったが、会場は先程のアクシデントを忘れようとしているかのように歓声に包まれる。その理由は彼らが退場したことが関係していた。

『ちょっとしたアクシデントもありましたが!!残るは女の子のみになったことで観客たちは大歓声!!』
『最っ高な写真が撮れそうだYO!!」

約一名男が混ざっているのだが、そう思っている奴はこの会場にほとんどいないのだろう。なんな本人も気まずそうな顔してるし、ヤジマさんも頷いてないで否定してあげてくれと思ってしまう。口には出さないけど。

「しかしあの二人が最初に魔水晶(ラクリマ)を手にしてしまうとは・・・」
「しかもほとんど空気を使ってない奴だせ?」
「うん。ますますあの二人優勢になったよね」

ただでさえ強いのにさらには酸素の残量のアドバンテージを手に入れたシリルたち。これはさすがにまずいかと思っていたところ、ここで仕掛けてきたギルドが二つ。一つは・・・

「シリル」
「シリルくん」
「!!」

敵意を相手に悟られないようにと慎重に近づきつつ、競技の説明中の出来事を思い出させるように色っぽい仕草を見せながら、たった今魔水晶(ラクリマ)を手に入れた二人に近づく天馬。もう一つは・・・

「よーし!!じゃあリズリーさん、援護お願いね」
「あぁ。任せなさいって」

何やらすでに攻め手を考えている様子のソフィアがシリルたちとは逆方向へと向かってゆっくりと動き出す。

「ソフィアは何をするつもりだ?」
「さぁ・・・でも、あいつの動いている方向・・・」

ソフィアの視線の先にいるのは間違いなくシェリアとサクラ。その近くにエルザさんとリサーナさんもいるが、誰を狙っているのかわからない以上二人には警戒してもらうしかない。

「頼むから変なことはしないでくれよ」

ソフィアの行動は時折俺たちの思考を上回る。ましてやそれが女性相手に・・・さらには水着となればあいつの能力は天井知らずだ。俺は一抹の不安を抱きつつも、何も起きないことを祈りながら手を合わせていた。



























シリルside

「う・・・」

胸元を寄せながら近づいてきたジェニーさんと女性らしさを見せるような動きをしながら彼女についてきたシェリーさん。二人を見た瞬間先程の出来事が脳裏を過り、気泡の数が多くなるのがわかる。

「シリル」
「大丈夫です」

口ではそう言うものの心の中は色々とヤバイ。さっきまではコントロールできていた呼吸が制御できず、酸素を無駄遣いしていることが嫌でもわかる。

「さっきは邪魔が入っちゃったもんね」
「シリルには"愛"のある私たちとお似合いだと思いますわ」

そう言った直後、二人はただでさえ隠れている面積が少ない胸元をさらに見せるように水着を下げる。それにより見えた面積がわずかに増えただけなのに、俺は体温が上昇し、どんどん気泡が増えているのが視界に入ってくる。

「シリル!!落ち着きなさい!!」
「わっ!!ジュビアさんやめて!!」

そんな俺を見て冷静さを取り戻させようとしてくれたのだろう、ジュビアさんが腕を掴んできた。だが、それは今回は余計なお世話だと言いたい。なぜなら彼女の胸がまたしても当たってしまっていて、ますます思考が奪われているからだ。

「シリル」
「シリルくん」
「シリル!!」

三方向からの声のせいでもはや思考がそれ以外考えられない。このままだとまずいと思っていると、思わぬところから助けが入った。

「きゃあ!!」
「「「「!?」」」」

突然聞こえてきた悲鳴。それにより全員の意識がそっちに向いたことで俺はジュビアさんから離れることに成功した。

「これでなんとか・・・」
「わっ!!」
「きゃっ!!」
「え!?何!?」

ようやく心を落ち着けられると思っていたがそううまくはいかない。先程悲鳴が聞こえた方向からさらに新たな声が聞こえたためそちらを見ると、その理由がようやくわかった。

「キャッチ!!」
「くっ!!」

この悲鳴の正体はソフィア。彼女は今ミネルバさんの胸を鷲掴みにしており、彼女は顔が赤くなりながらも懸命に彼女を捉えようと腕を振る。

「おのれ!!」

水中とは思えないほどの速度で腕を振り抜いたミネルバさん。しかしそれは当たらない。ソフィアがこれまた水の中とは思えないほどの速度で移動したからだ。そのまま彼女は・・・

「ダーイブ!!」
「きゃあっ!!」

ユキノさんの胸へと顔からダイブしていた。

「だ・・・大丈夫ですか」
「ユキノさんのおかげで大丈夫!!」
「それならよかったです」

この状況でも相手を気遣うユキノさんだが、今はそんな状況じゃないことに気付いてほしいとも思う。そしてそれは俺だけではなかったようで・・・

「ユキノ!!何をしておるか!!」
「あ!!そうでした!!」

ミネルバさんの声で正気を取り戻した彼女はすぐさまソフィアを振り払うと、王道十二門の鍵を取り出す。

「開け・双魚宮の扉・ピスケス!!」

彼女の呼び出しで出てきたのはこの場面でもっとも力を発揮しそうな見た目の魚二人。しかし、実際にはピスケスはあまり水を得意としないと言っていたが、この場面ではなんとか動くことはできるようだ。

「わわっ!!遅いよぉ!!」

しかしソフィアはその二匹をあっという間に交わしたかと思うと、そのままカウンターの応用で一匹をはね飛ばし双方を衝突させ、門を閉門させていた。

「じゃあ次次!!」

よく見るとエルザさんやシェリアたちも胸元を抑えており、彼女からすでに被害を受けていたことがわかる。そのまま彼女は次の標的を狙うためか、猛スピードで泳ぎ始めた。

「え!?速ッ!?」

その泳ぎに俺は目を疑った。ソフィアは特に水を得意とする魔法は持っていなかったはずなのに、そのスピードは俺とジュビアさんが全開で泳いでいる時と遜色ない・・・いや、むしろ速いとすら言えるほどのものだったのだ。

「それそれ」
「きゃっ!!」
「あう!!」

驚いている俺を横目にソフィアはジェニーさんとシェリーさんへとボディタッチを噛ますとそのまま蹴る場所もない水中にも関わらず華麗に切り返すと、俺たちの方へと迫ってきた。

「シリルちゃ~ん!!」
「んにゃ!?」

一直線にこちらへと向かってきたソフィアを身体を一回転させて受け流す。ギリギリで回避したことに安堵していると、後ろから大きな悲鳴が聞こえた。

「わぁっ!!やっぱジュビアさんめっちゃいい!!」
「ちょっと!!変なところ触らないで!!」

俺が避けたことで真後ろにいたジュビアさんが避けきることができずに捕まってしまったらしい。しかも真っ正面から抱き付かれた形になっており、なんだか申し訳ない気持ちになる。

水流(ウォーター)---」
「退避!!」

ジュビアさんはそんな彼女を吹き飛ばそうとしたがそれよりも早くソフィアがこちらへと戻ってくる。完全に俺にターゲットを絞っているのが見てわかったので俺も速度を上げて逃げようとするが・・・

ゴツッ

「いっ!!」

何かにぶつかり動きが止まる。どうやら俺はフィールドのギリギリにいたようで、闘技場と客席を仕切る魔法の壁にぶつかってしまっていたらしい。その眼下に見えるのは、顔を赤らめながらこちらを見上げている観客たち。

「んな!?見るな!!」

そしてその理由もすぐにわかった。さっきの回転の際にパンツの裾が上がっていて脚が大きく露出していたこと、そしてそれが目の前に来ていたことで観客たちはこちらをガン見していたらしい。それに気付いたことですぐさま直すが・・・

「隙だらけだよぉ!!」
「うわあああああ!!」

ソフィアがお尻に顔面からぶつかってくる。その衝撃に驚いたものの、すぐに身体を反転させて蹴りに出るが彼女はまたしてもありえないほどの速度で逃げていた。

『なんとソフィア!!あっという間に全員に攻撃を仕掛けた!?これは勝敗が決まったかぁ!?』

実力者たちが大勢揃っていたはずなのにその全員に攻撃を仕掛けてきたソフィア。あまりにも眼福なその行為に会場中が沸き上がりそれに彼女は両手を広げて答えているが、肝心要のアナウンスが鳴らない。

「あれ?」

それに気がついたソフィアは首をかしげるが、すぐに納得したように手を叩く。彼女は確かに全員へと攻撃を仕掛けたが、セクハラに集中していたからか誰の魔水晶(ラクリマ)も手にしていなかったのだ。そのため全員が無事であり、リタイアのアナウンスがならなかった。

「何やってんだいソフィア!!」
「ごめんなさ~い!!」

これには仲間であるリズリーさんも激おこ。彼女の間抜けさに助けられた俺たちは安堵していたが、彼女はすぐに攻撃を再開しようとして来た。

「次こそちゃんとやるからもう一回!!」
「頼むよ!!」

このやり取りで全てを理解したソフィアのあの泳ぎはリズリーさんの重力魔法で身体を引っ張ってもらっていたのだと。となると最初に狙うべきは彼女か?

「やらせません!!」
「!!」

俺が動き出すよりも早く彼女の背後に回っているものがいた。その小さな少女は仲間に魔法をかけるために無防備になっている女性へ向けて魔法陣を描く。

「ファイアー!!」
「きゃあああああ!!」

水の中にも関わらず放たれたのは高火力の炎。それはあっという間に女性を飲み込んだかと思うと、サクラはすかさず彼女の魔水晶(ラクリマ)を奪って見せる。

「あいつのせいでせっかくの作戦が・・・」
「大丈夫ですわ、ジェニーさん。まだ---」

一方こちらは俺へと視線を向け直している天馬の二人。彼女たちの狙いに気が付いたその時だった。

「ほぅ、結構あるな」
「きゃっ!!」

これまで息を潜めていた金髪のショートヘアの女性がジェニーさんの後ろから現れたかと思うと、ソフィアも顔負けのセクハラ行為で彼女の胸を鷲掴みにしていた。

「ジェニーさん!?」
「おっと、お前はこっちだ」
「え?」

仲間のピンチに視線をそちらへ向けたシェリーさんだったがここでもう一人の狩猟豹の頭(チーターヘッド)の参加者であるロングヘアの女性が現れると、気を抜いていた彼女の腹部へ拳を突き立てる。

「きゃっ!!」
「これで・・・」
「終了だ」

その一撃に崩れたシェリーさんと身体を拘束していることで動けなくなっているジェニーさんの魔水晶(ラクリマ)をあっさりと奪い取る二人。それはまるで計算されていたかのようにスムーズで、見ていたこちらも目を見開いてしまうものだった。

「ソフィア?」
をあ」

そして先程まで仲間の手助けもあり無双していた少女にもピンチが訪れる。それは真っ先に彼女の欲望の捌け口にされたであろうビッグテールの少女からの復讐だった。

「ちょ・・・タンマタンマ」
「そんなの聞かない!!」
「きゃあああああ!!」

よほど先の行為に腹が立っていたのだろう、シェリアはソフィアを天神の舞で打ち上げると、その風の強さにソフィアは咥えていたそれを離してしまい、水中を漂っていた魔水晶(ラクリマ)を少女がガッチリと掴み取った。

『なんということだぁ!!ものの数秒で青い天馬(ブルーペガサス)人魚の踵(マーメイドヒール)がリタイアになってしまったぁ!!』

一気にゲームが動き出した。これにより多くの人物が新たな酸素を手に入れたことになり、優位性も一気に変わってくる。

「それじゃあ、さっきの通りに」
「あぁ。任せた」

今俺の一番近くにいるのは狩猟豹の頭(チーターヘッド)の二人。彼女たちに注意しようと視線を向けると、なぜかショートヘアの女性はこの場から泳ぎ去ってしまう。

「さて、勝負といこうか、水竜」

そう言った彼女は先程の行動でわずかにズレていたビキニを直している。その行為のせいで忘れかけていた記憶が思い出され呼吸が乱れてしまう。

「なんだ?まさかまだあのフェイクに引っ掛かっているのか?」
「フェイク?」

そんな俺を見て薄ら笑いを浮かべている女性。仮面と酸素魔水晶(ラクリマ)によって表情は全くわからないが、その態度は明らかに俺をバカにしているのが見て取れる。

「お前なんかを男扱いするわけないだろ?」
「は!?」

その言葉に怒りのあまり血が上っていくのを感じる。その反応がほしかったのか、彼女はさらに続けた。

「お前にあいつらが言い寄ってきたのは男らしくなったからでも強いからでもない」
「じゃあ何なんだよ」

俺の心理はすでに彼女の手のひらで転がされている・・・しかし、そのことに俺は気付くことができていなかった。

「女子に寄り添ってからかうのが、楽しかっただけだ」
「!!」

この挑発に俺はこれまでの恥ずかしさが消え失せ、怒りに身体を震わせる。それを待っていたのか、仮面の女性は嬉しそうに口元を緩ませていた。




 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
前回のシリルハーレムタイムから今回はソフィアのセクハラタイムでした。
次からは真面目にバトルです。しかも相手めちゃ強です|ョω・`) 
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