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X ーthe another storyー

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第四十一話 好意その十四

「今から」
「そうさせてもらいますわ」
「留守は玳透さんが護られるとのことです」
 護刃は場にすっと出て来た彼を見て話した。
「ですから私達全員で行かせてもらいます」
「地の龍も全員出ると思いますが」
 その玳透も言って来た。
「ですが僕は丁様をお護りするのがお役目ですから」
「そのこともあってだね」
「ここに残らせて頂きます」
「小鳥さんは洋館に戻りました」
 嵐は彼女のことを話した。
「そこで私達が孵った時の準備をしてくれています」
「じゃあ終わったら」
「洋館に戻りまして」
 ここにいる全員でというのだ。
「美味しいものを食べてです」
「そうしてだね」
「それから休みましょう」
「それじゃあね」
「勝ちて帰れよ」
 火煉が送る言葉はこれだった。
「いいわね」
「そうしてですね」
「洋館でね」 
 小鳥が待っているそちらでというのだ。
「お祝いもしましょう」
「それでは」
「では行こう」
 また神威が言ってきた、今度は微笑んでいる。
「今からな」
「うん、そうしよう」
 昴流はまた頷いた、そうしてだった。
 彼は仲間達と共に戦場に向かった、その姿をだった。
 丁は自分の力で見送っていた、そして。
「ご武運を、そのうえで」
「・・・・・・・・・」
 ここでだ、不意にだった。
 それまで悲し気だった口元が動いた、邪な笑みに一変してその口で言うのだった。
「運命に従って下さい」
「いえ、運命はです」 
 だが丁は同じ口で否定した、悲し気なそれに戻って。
「どうもです」
「変わるというのですね」
「ですから貴女も」
 口がその都度変わった、悲しい者から邪なものに。見れば目もその都度一変と言っていいまでに変わっていた。
「失敗しましたね」
「彼のことですか」
「はい」
 まさにというのだ。
「そうでしたね」
「あそこで彼の心を変えられれば」
「人の痛みがわからない魔人に」
「それが出来れば」
 邪な顔で言うのだった。
「わらわの思う通りだったというのに」
「それはなりません」
 今度は悲しむ顔で言った。
「決して」
「しかしそなたは防げませんでした」
「運命だったので」
「わらわもそう思ってのこと」
「彼に仕掛けたのですね」
「ですが」 
 それがというのだ。
「彼は童の干渉を退け」
「そうしてでしたね」
「あの様に」
「よかったです」
「忌々しい」
「貴女がそう思うことこそが」  
 丁は言うのだった。 
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