八条学園騒動記
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第七百二十二話 哺乳類その一
哺乳類
大尉は上等兵をまずはアシカのコーナーに連れて行った、そしてそこで泳いだり遊んだりしている彼等を観て言った。
「英語ではシーライオンだな」
「海のライオンですね」
「そう呼ばれているがな」
「ライオンとは似ていないですね」
「全くな」
こう言うのだった。
「威厳があるというよりかな」
「愛嬌のある感じですね」
「歯も鋭くない」
アシカのそれはというのだ。
「ライオンと違ってな」
「左様ですね」
「アシカは魚をほぼ丸呑みする」
そうして食べるというのだ。
「別にだ」
「噛みはしないですね」
「食い千切ることもな」
これもというのだ。
「しない」
「左様ですね」
「そうだ、だからな」
「ライオンとはですね」
「海のそれと言っていてもな」
英語でというのだ。
「全く違う」
「左様ですね」
「言語は時折そうしたことがあるな」
「生きもののそれは」
「そう呼ばれていてもな」
「実は違うということが」
「タスマニアデビルもだ」
この生きものもというのだ。
「悪魔というが」
「悪魔ではないです」
「間違ってもな」
「そうですね」
「他にもな」
アシカやタスマニアデビル以外の生きものでもというのだ。
「そうしたことはどの言語でもな」
「ままにしてありますね」
「そうだ、ただしだ」
ここで、大尉は。
アシカの隣のコーナーに厳重にプールの中で隔離されている大型の濃い灰色の毛に黒い斑点のあるアザラシを観てだ、上等兵に話した。
「このアザラシは違う」
「ヒョウアザラシですね」
「豹とあるが」
「豹の様にですか」
「獰猛だ」
「そうした生きものですか」
「肉食でペンギンや他のアザラシを襲って食べる」
そうするというのだ。
「星によってはオオウミガラスもイルカもだ」
「襲って食べますか」
「カイギュウもな」
この生きものもというのだ。
「襲う」
「アザラシは大人しいですが」
「このアザラシは別だ」
ヒョウアザラシはというのだ。
「動物園でも他の生きものを入れるとな」
「襲いますか」
「ガードが厳重でないとだ」
そうでないと、というのだ。
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