IS 転生白書 オリ主が奏でる新しいインフィニット・ストラトス
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
たまには男だけの休日も!
前書き
相川拓夢
16歳、黒髪に青い瞳。
切れるとヤバイ。手が付けられなくなるお人No.1。
今回の一件の犯人を許す気はないらしい。それについて、某天災さんは涙目だとか・・・。
最近、ある女性の事に関して考えている。答えは出るのか、それとも・・・。
六月の頭の日曜日。
非常にいい天気な本日。こんな日は外で走るに限るってんで、早朝にロードワークをやった。
ちなみに千冬さんとの個人レッスンはお休み中。
千冬さん自身が忙しいってのもあるんだが、俺の実力の方も補習Lvではなくなって来ている様で。
嬉しいことだが、レッスンがなくなるのは少し寂しい気もするな。
なんだかんだで、千冬さんは気遣いの出来るいい人だから、多少なりとも心の中で甘えていた部分もあったんだろう。
いかんいかん!このままじゃ一夏になっちまうな・・・。俺にとっても、千冬さんは姉みたいな立ち位置だからなぁ。ていうか、一夏もしょうがないよな。あの人が姉ならシスコンにもなるわ。
「ま、一夏が女に興味がないのはそう言う訳か・・・」
「ん?なんか言ったか、拓夢?」
「おいおい、余所見してる暇あんのかよっと」
「ぬあっ!弾てめっ、ずるいぞ!」
「ははーん。よそ見したお前が悪い」
「そりゃそうだ」
「二人してかよ・・・」
俺の言葉に一夏が反応して振り返る。俺はちょうど一夏達の後ろにあるベッドの上でごろごろしてたからな。
んで、一夏が画面から目を離した一瞬をついて、弾がイタリアのテンペスタを使って一夏のメイルシュトロームを削り殺した。
画面にはPlayer1 Win!という表記が出ている。ま、要するに弾の勝ちって訳だ。
もうすぐ昼だ。弾の部屋は日光が斜め上から入ってくるから明るいんだよな。これが羨ましくて、俺も自分の部屋を改造しようかと考えて怒られた経験がある。
まあお気づきかもしれないが、俺はいま中学の親友である五反田弾の家にいる。正確には弾の部屋にいる。
ロードワークを終えた俺のところに、一夏が私服で来てな、今日暇だろ?じゃあ弾ん家行こうぜ!って言ったもんだから。断る理由もなし、予定もなし、だから来ました五反田家。
一夏と弾はISのゲームをやってる。IS/VS。インフィニット・ストラトス/バーサス・スカイっつうタイトルだ。
各国様に調整された同作品が出回るほどの人気物。しらない奴はいないってな具合に有名なゲームなんだが、俺は実は苦手である。
「つうかよぉ、お前らしれっと女の園に居るわけだが。・・・どうなんだよ?」
「なにが?」
「そりゃこの方向でいけば、彼女とかそう言うのだろ?」
「そうそう、分かってねーな一夏はよぉ」
「悪かったな!・・・つっても、俺は別に何もないぞ?」
「はい、うそでーす」
「なんだよ拓夢、それだと俺に彼女が居るみたいじゃないか?」
「なにっ!お前一夏、彼女できたのかよ!!」
「いや、できてねーぞ」
「・・・おいおい、拓夢。お前思わせぶりすぎだろ」
思わせぶりってなぁ、心外・・・まぁそうか。
「いやいや、彼女はいねーがハーレムは居るからな」
「なんだとぉう!!?」
「はぁっ!?」
と、同時に叫ぶ男二人。もちろん俺以外のな。
「先ずは箒だろ?」
「ああ、ファースト幼馴染なんだっけか?」
「そうそう、それだ」
篠ノ之箒。ISを産み出した篠ノ之束の妹にして、俺が睨む一夏の彼女ランキングトップの実力者だ。
「ちなみに、一夏と一ヶ月くらい同室だった」
「あー、それは聞いてたわ。てか拓夢、お前ウチの妹とメールしてないか?」
「あれ、それ本当なのか拓夢?・・・いいな」
「「はぁっ!?」」
「いや、だってさ。なんか俺って蘭とかれこれ三年くらいの付き合いになるけどさ、いまだに心を開かれてない気がするんだよなぁ・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「「・・・・はぁ」」
一度目の沈黙で俺と弾は目を見合わせる。
二度目の沈黙で、一夏が本心で言っていると把握する。
んで、ため息どん!
こればっかりは、蘭に同情せざるを得ない。毎日って訳でもないが、一週間に三日くらいはメールしてるからな。その内容は殆どが一夏のものだ。
基本蘭からメールが着て、それに俺が返信ってパターンなんだが・・・。一言目を過ぎるとあとは全部一夏に関する話題のオンパレード。なんでも、お兄だけじゃ情報不足なんだと。
弾、あんま信頼されてねーのな。無念なリ・・・。
「ん?なんでため息なんか───」
ついてんだ?と聞こうとしたんだろ。だが、一夏のその言葉は突然の来訪者によって遮られる。
「お兄!さっきからご飯出来てるって言ってんじゃん!さっさと食べに──」
ドアを足で蹴り開けて、妹の五反田蘭ちゃんが登場した。格好はかなりラフなものだ。ショーパンにタンクトップ。ま、実家だし。兄の部屋に突撃するていどだから大丈夫だと思ってたんだろうが、残念。
「おいっす蘭ちゃん。なに、飯できたの?」
「え、拓夢さん!?なんで・・・」
「まぁ何でかは置いといて。そんな格好してていいの?一夏居るけど」
「いっ、一夏・・・さん!?」
「あ、久しぶり。お邪魔してる」
面白い具合に蘭が固まった。口をあんぐり開けてないのは、名門女子中学へ通っている成果か否か。
一夏は微妙な顔をしてる。なんつーか、何かを思い出して悟ってる顔だ。
これはアレだな、蘭の格好を見て学園の寮の事を思い出してんだろ。確かに蘭の格好なんか目じゃねーからな。てかみんな、服装軽すぎだからな。男で例えるなら、パンツにTシャツってのと同じレベルだ。前その格好で廊下に出たんだが、すっげー悲鳴を上げられた。ついでに写真を撮られまくった。トラウマになった。
「い、いやっ、あのっ、き、来てたんですか・・・?全寮制の学園に通ってるって、聞いてたんですけど」
「ああ、うん。今日はちょっと外出。家の様子見たついでに寄ってみた」
「そ、そうですか・・・」
ちなみに、家の様子を見る=掃除だった。俺も手伝わされたからな。まさか、弾の家行くのを餌に俺に家の掃除を手伝わせるとは・・・、意外とあくどい面があるじゃねーか。
続いて蘭は俺のほうを見る。その視線を訳すなら“どーして一言くれないんですかっ”だ。
ならば俺はこう返そう。“メールはしたはずだが?”と。
ちなみに一夏に誘われて、部屋に着替えを取りに行った時にメールはしている。後で家に遊びに行くからなって。まぁ蘭の事だ、雑に見えて努力してるもんだから勉強でもしてんだろ。
基本、蘭からメールが来るのが夜。つまり蘭は昼間にあまりケータイを見てない。どうだ俺のこの推理?
「蘭、お前なぁ、ノックぐらいしろよ。恥知らずな女だと思われ──」
るぞ。って続けたかったんだろうが、蘭の絶対零度の視線で凍らされた。瞬間凍結だ。中身までカチコチに違いないが、綺麗に解凍できる。知ってたか?豚カツを瞬間冷凍して、解凍してもサクサク感が残ってるんだぞ?不思議だよなぁ・・・。
「・・・なんで、言わないのよ・・・・・・」
「い、いや、言ってなかったか?そうか、そりゃ悪かった。ハハハ・・・」
分かりやすい弾は、茶色茸に当たった赤帽子の配管工よろしく縮んだ。
相変わらず五反田兄妹の勢力図は分かりやすいな。
「あ、あの、よかったら一夏さんも、あと拓夢さんもお昼どうぞ。まだ、ですよね?」
「あー、うん。いただくよ。ありがとう」
「蘭ちゃんゴチになりまっす!」
「い、いえ・・・」
ぱたん。静かにドアが閉じられ、同時に部屋の中にも一時の静寂が。
入ってきた時と出て行くときの温度差はんぱねーな。これが弾と一夏に対する態度の差ってやつか・・・。にしても、蘭は一夏がいると大人しくなるよなぁ。メールの時はもっとテンション高いんだが。とくに、一夏のシャメを乗っけた時とか。
「よかったな弾、この調子じゃ弟はできねーぞ?」
「ああ、全くだ。俺も同い年の弟は欲しくないからな」
「ん?なんで行き成り弟の話になるんだ?」
「分かんなきゃ、それでいーんだ。一夏、お前はそのままでいとけ」
「ま、飯食べにいこーぜ?」
そだな、と。俺と一夏は同時に頷いた。若干シンクロ率が上がってるんじゃないかと思うこの頃。蘭に言ったらどういう反応をするのだろうか?楽しみだ。
「てか、拓夢はすげーよな」
いきなりなんだ?
「女の子にちゃんづけって、普通できなくないか?」
「あー、それか。まぁ俺もつけてるの蘭ちゃんだけだし」
「それって何か意味あるのか?」
「弾の妹だろ?割と遊びに来てたし、その時蘭ちゃんちっさかったからなぁ・・・。その名残だ」
「あー、なるほど」
とまぁそんな事言いながら部屋を出て、食堂に向かう。
一階へ降りて、裏口から外へ。んで食堂の前まで来ると。面倒くさい造りだなって思うけど、これのお陰で私生活に商売が入らないらしい。弾は気に入っているんだと。
「うげ」
「ん?」
「あらら」
上から順番に、弾、一夏、俺だ俺だ俺だ~ってな。
つっこみが居ない心内ボケは、なんか寂しい。
暖簾をくぐると、中には私服に着替えた蘭がいた。座ってるのは俺らの昼食が用意されたテーブル。四人掛けだからな、ちょうどいいか。
「なに?何か問題があるの?あるならお兄ひとり外で食べてきていいよ」
「聞いたか二人とも。今の優しさに溢れた言葉。泣けてきちまうぜ」
「アホか。んなことで泣いてたら、兄貴は務まらんぞ?」
「うっせ。お前んちの七海ちゃんと比べるな!あんな妹、普通はありえんだろ」
さらりとウチの妹が希少だといわれた。ここは兄として誇るところか?
「えっへん」
「や、なんでお前が誇ってんだよ」
「二人とも早く来いよ。他のお客さんもいるんだし」
ちゃっかりテーブルに座ってる一夏。しかも蘭の目の前だ。なかなかやるじゃねーか。
てか、無意識での気配りの上手さは、一夏の右に出るものは居ないと思うんだが。どうよ?
IS 転生白書 オリ主が奏でる新しいインフィニット・ストラトス
第34話 たまには男だけの休日も!
「蘭さあ」
「は、はひっ?」
「着替えたの?どっか出る予定?」
「あっ、いえ、これは、その、ですねっ」
用意された定食を食べながら、一夏が蘭に話をふった。って、“はひっ?”はねーだろ。もう疑問系なのか何なのか分からないぞ?
でまぁ、はぐらかすもんだから、一夏が何かを考え始めた。やばい。こいつは無意識だと気配りの出来るいいやつだが、考えると逆の結果になるからな。地雷踏み抜くのは必須だ。
「ああ!」
ひらめいたようだ。だがまぁ、触らぬ神に祟り無しってな。
「デート?」
「ちがいますっ」
ダァン!今日一番の机バンだった。いつもより威力三割り増しってか?なかなか手にフィードバックが優しく無さそうだ。
「それが違わないんだなぁ~」
「拓夢さんっ!?」
ここで一つフォローでも入れてやろう。ちなみに俺は誰の味方でもない。一夏への恋心を抱く女子は沢山いたからな。一々フォローはしてやらん。というか出来ない。
俺が今フォローすんのは、蘭が友達だからだな。
「まぁまぁ聞きなさい。俺ら、飯食べたら街行くんだわ。だからそん時一緒に来いよ?そしたらまぁ・・・・デートだろ?」
「はっ!」
最後の一言は、耳元で。座ってるのが蘭の隣だから出来る芸当だ。本来この場所は弾のはずだが、やっこさん、怒られたばっかだしな。
「おいおい拓夢、なにを言って───」
瞬間。弾に炸裂するアイアンクロー。口を塞がれただけでなく、言葉すら遮られた。
「なあ一夏、別に蘭ちゃんが居てもいいだろ?」
「ああいいぞ。大勢の方が楽しいからな。でも、蘭が行きたいならだけど・・・」
「あ、あの。お邪魔でない、なら」
「なら決定」
良かったな、と目配せ。蘭も嬉しそうだ。口には出さないがな。そして聞いてねーぞとい表情の弾。残念だったな、俺は妹をもつ身として蘭の側だ。ここにお前の味方はいないっ!
軽いジョーク。
「食わねえんなら下げるぞガキども」
「く、食います食います」
「すんません厳さん」
ぬっと現われたのは五反田厳さん。たしか八十歳超えてたはずだが、その肉体は衰え知らずだ。
まるで丸太みたいな両腕は、日々の料理によって鍛えられている。火力が強い厨房を一手に引き受けているだけあって、その肌は浅黒く日焼けしてみたいだ。
この人とスパーリングしたら、正直勝てるかどうか分からないってのが恐ろしい。一発貰えば失神しそうだもんなぁ・・・。まだ拳骨はくらった事無いが、一夏は“千冬姉より痛いだと”と戦慄してたから注意すべきだ。
「いただきます」
「いただきます」
「いただきます・・・」
「いただいてます」
上から一夏、蘭、弾、俺の順番。
「おう。食え」
厳さんは満足そうにそう言うと、厨房へ戻っていった。
てかあれだ、俺は食べてたから怒られる心配はなかったな。
さあて飯だ。じゃんじゃん食べるぞ~。
後書き
はーい後書きです。
今回は学園の皆さまはお休みで、一夏と拓夢と弾の三人の行動を書こうと思っていたんですが。
蘭ちゃん介入!
ISの二次創作書いてて思ったのは、この作品じゃ男だけの回は存在できねーなってことです。
最初は清香も一緒に連れてこようかと思ったんですが、それだとくどいかなぁって。
彼女にも休みは必要でしょう。次回は動いてもらいますが・・・ふふふ。
さて、また五日間ほど休ませていただきます。次の更新は土曜日となっていますので、それまで暫しの別れってやつです。
それでは皆さま、ここらへんで・・・。
ページ上へ戻る