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わんねー あいつに責任とってもらう だけど好きになっただけヤ

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第4章
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 夏休みになって、私は たっ君の携帯に電話をしてみた。期末テストが近づいた時に、しばらく会えないって伝えたら、たっ君が番号を教えてくれていたのだ。

 私は持ってないので、公衆電話からと思っても、私 公衆電話も掛けたこと無くて、泉希ちゃんも来てもらっていた。震える指先で番号を押したけど・・・呼び出し音はするけど出てくれなかったのだ。

「出ない・・・」

「多分 練習中とかちゃうんかなー また 後でしてみよー」と、泉希ちゃんは慰めてくれていたけど、私は、余計な考えが頭の中をめぐっていたのだ。

 泉希ちゃんチからの帰り道 今度は一人で掛けてみた。でた! たっ君の声だ!

「もしもし たっ君? みゅうみゅんだよ」

「あぁ わかるよ さっきも みゅうみゅんだろ? 練習中だった 午前中は練習なんだ」

「そう 良かったー みゅうみゅんね わざと 出てくれないんかと、余計なこと考えちゃったー」

「バカ 出ないわけないじゃぁ無いかー ずーっと 会ってないんだし」

「うん 会いたい」

「土曜日曜は練習ないんだ 今度の土曜日 みゅうみゅんチの奥の方に歩いていくと 泉公園があるんだ そこなら 幾らか涼しいと思うんだ そこで9時に」

「わかった 泉公園に9時ネ 約束したよっ 楽しみにしてる」

 私は、前もってそれとなくばっちゃんから場所を聞いていて、その場所に向かった。女の子らしい恰好をと思ったけど、私はスカートを持っていないのだ。だから、せめてピンクの百合の花の絵柄のフレンチ袖のTシャツに麦藁のピンクリボンのカンカン帽で出掛けてきていた。髪の毛は少し伸びてきていて、両サイドは刈り上げにしていたのだ。約束より30分も早かった。

 ちょうど、木陰があるベンチが空いていたので、そこで待っていると、小さな子供を連れた母親が何組か現れて、子供達を泉から湧き出ている水辺で遊ばし始めていた。ベルトサンダルで来ていたので、たっ君が来たら私も入ろうと羨ましがって見ていた。でも、島の海が恋しかった。今頃はきっと、島の友達は潜ったりして魚とか貝を捕っているんだろうなーと。

「待った? みたいだな いい場所 見つけたな」

「うん 風も吹いて来るし ちょっと 生暖かいけどネ」

「でも 汗かいていると ここち良いよ」

「たっ君も 日焼けしたまんまダネ サッカー 面白い?」

「あぁ まだ レギュラーに慣れないけど 頑張るよ あのさー テスト終わって みゅうみゅんのこと お母さんに話した 好きなんだ ちゃんと 付き合いたいんだって」

「・・・ お母さん なんて?」

「責任もって 付き合うんだったら 良いでしょって だけど、トラブルになるんだったらゴメンよっ て 僕が 不登校になったこと お母さんは気にしてるんだ その時のこと まだ みゅうみゅんには話してなかったよなー」

「うん たっ君から話してくれるまで と 思ってた」

「5年生の夏 プールの授業でな 比較的仲が良いと思っていた3人で いたずらするつもりで女の子のパンツを黒板に貼りつけておいたんだ。当然 先生からはこっぴどく叱られたよー そこまでは、いたずらで済んだんだけど、一人の女の子のパンツが無いってなって、持ち物検査があって 僕のカバンから出てきたんだ。僕は、そんなことしてないんだけど・・・誰かが忍び込ませたに決まっている。それに、そんな見え見えのことするわけないじゃぁ無いかー。だけど、みんなは僕のことを変態扱いして・・・それと、一緒にいたずらをした友達と思っていた仲間も、一緒になって変態呼ばわりしてきたんだ。・・・それから、僕は、誰も信じられなくなって・・・学校にも行かないで 閉じこもってしまったんだ」

「そうなの そんなことがあったんだ 卑怯だね その友達だったって奴」

「お母さんも、ひょっとしたらって思ったこともあったんじゃぁーないかなー 僕は、一人っ子で女の兄弟も居ないから、女の子の下着は慣れて無くて興味というかー 珍しいと思ってたから それをお母さんも気付いているんだ それで、みゅうみゅんとのことには、過敏になっているんだ 僕は、変態なのかなー」

「? ? ? まぁ どっちだろー? 男の子だからネ 当然なのかなー 見たいんだったら そのうち みゅうみゅんの 見せてあげるよー 今度はパンツだけネッ」

「ふふっ その時はなっ それで、お母さんが、昔の同級生のことを想い出して 島で 伸び伸びとして来なさいと送り出してくれたんだ そしたら、みゅうみゅんが居て 親しくしてくれて、嫌なことなんかも忘れさせてくれたんだ あそこでは、本当に楽しかったよー」

「それは たっ君が 進んでみんなと仲良くなっていったから 勉強も出来るし優しいし人気者だものねー」

「あのまま 島で暮らせたらなぁーなんて 思ったりもしたけど 僕は、一人っ子だろー だから、帯屋を継がなきゃーなんないし 古くからあるお店だし だけど、伝統以上のこともしていかなきゃー続いていけないし その為には、色んな勉強もしなければと・・・今度は、お母さんを助ける番なんだ だから、帰ってきたんだ もちろん 中学に行っても昔のことを知っている奴もいるよ だけど、サッカーをやることで払拭していくんだ」

「わかった やっぱり たっ君は 私の たっ君だよ 負けるな! お母さん想いだし」

「そーいえば 一度 家に連れといでって お母さんが 会ってみたいんだって 昔の友達の娘だし」

「えぇー えー それだけは・・・ 怖い ・・・ 息子を誘惑するふしだらな女の子って・・・ 責められるかも」

「そんなことはしないよー ただ 活発な女の子だってことは 認識してる」

「まぁ まぁ そのうちにネ お会いしない訳にもいかないだろうしー なぁ あそこの水辺に入ろー 靴 脱いで 楽しそーヤン」

 と、私はたっ君の腕をひいて、サンダルを脱いで浸かっていったのだ。足首にも来ないぐらい浅いんだけど、思ったより、冷たい水が気持ち良かった。私達は周りの小さい子供達とも仲良く遊びながら、はしゃいでいたのだ。
 
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