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英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~

作者:sorano
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第158話

~幻想機動要塞・最奥~



「果てるがいい――――――業滅刃!!」

戦闘が始まるとオズボーンは自分に向かって来た敵達に対して跳躍からの叩きつけて真空の刃と衝撃波を発生させるクラフトによる先制攻撃を放ち、オズボーンが放った先制攻撃でダメージを受ける者達もいれば、防御でダメージを最小限に抑える者達、そして回避してすぐに反撃に転じる者達がいた。

「二の型―――――疾風!!」

「零の型―――――双影!!」

「二の型・改――――――雷鳴剣!!」

「轟裂斬!!」

「行きますわよ――――――斬!!」

「唸れ、雷!!」

「貫く!!」

「飛天翔駆!!」

「竜凰天駆!!」

「舞え、紅蓮の翼!」

「瞬迅槍!!」

「奔れ、雷!!」

回避後すぐに反撃に転じた者達――――――リィン、シズナ、エリゼ、クロガネ、デュバリィ、ディミトリ、イングリット、フランツ、フォルデ、フェルディナント、ローレンツ、プリネはそれぞれの一撃離脱技――――――疾風、双影、雷鳴剣、轟裂斬、神速ノ太刀、雷刃轟閃、スピニングエッジ、飛天翔駆、竜凰天駆、鳳凰天駆、瞬迅槍、瞬雷を叩き込んでダメージを与えた後すぐにオズボーンから離れたが

「むん!逃さん――――――滅びよ!!」

オズボーンが反撃に闘気の鎖で対象を拘束し、自分の元へと引き寄せた後強烈な斬撃を叩き込むクラフト―――――魔皇の暴虐を放ち、リィン達はそれぞれ咄嗟に自分達の武器で防御してダメージを抑えたが、オズボーンが放つ威力は凄まじく、防御態勢のまま吹き飛ばされた。



「咬み尽くしなさい―――――洸牙絶咬!!」

「巻き起これ――――――暴旋風!!」

「オオオオォォォ………爆ぜよ!爆炎断!!」

「貫く!狼牙衝!!」

リィン達が吹き飛ばされると重装備の為回避ではなく防御でオズボーンが放ったクラフトを最小限のダメージに抑えた4人――――――エーデルガルト、ドゥドゥー、アイネス、カイルがそれぞれオズボーン目掛けてクラフトを放ち

「砕け散るがいい!魔皇地顎陣!!」

対するオズボーンは得物を地面に叩きつけて広範囲に大地の力を噴き上げると共に衝撃波を発生させるクラフトで自分に向かって来た4種類の攻撃を防ぐと共に4人を吹き飛ばした。

「蒼珀の雨よ、我等に癒しを――――サフィールレイン!!

「暖かき風よ、彼の者達を癒せ―――――― 癒しの風!!」

一方ミュゼとアルフィンはそれぞれの回復のクラフトや魔術でオズボーンの先制攻撃を受けてしまった仲間達のダメージを回復し

「ハァァァァァァ…………そこだっ!!」

「ブリューナク、照射。」

「―――――!」

「そこですっ!!」

「甘いわっ!」

ダメージを回復してもらった仲間達――――――クルト、アルティナ、エリスはそれぞれの遠距離攻撃クラフト―――――双剋刃、ブリューナク、スワローテイルをオズボーンに放ったがオズボーンは剣の一振りで自分に向かって来た遠距離攻撃クラフトを全て吹き飛ばした。

「甘いのはそっちだぜ!疾風!!」

「紅時雨!!」

「フフ、これは見切れるかしら!?」

「ターゲットロックオン――――――ファイア―!!」

「ぐっ!?」

その時オズボーンの左右から遠距離武器を得物とするクロード、アメリア、エンネア、ステラに怒涛の遠距離連射攻撃――――――疾風、紅時雨、ラッシュアロー、アサルトラッシュが一斉に放たれ、クルト達の遠距離攻撃を無効化した事によって僅かにできた隙を狙われた事で左右から襲い掛かる怒涛の連射攻撃に対応できなかったオズボーンはダメージを受けた事で思わず呻き

「これは………フッ、小癪な真似を………オオオオォォォォ………フンッ!!」

オズボーンは自分の身体の様々な所に受けた矢や弾丸は不死者である自分の身体に効果的な銀の矢や弾丸である事に気づくと莫大な闘気を解放して自分の身体に残っている矢や弾丸を吹き飛ばした。



「秋雨の如く!!」

「ハァァァァァァ…………ッ!!」

「ぬっ!?」

オズボーンが闘気を解放したすぐ後にシグルーンとオリエがそれぞれ目にも止まらぬ連続攻撃――――――秋沙雨、ハリケーンスラッシュを左右から繰り出し、闘気を解放した後にすぐ放たれた左右から繰り出された連続攻撃への対応が遅れたオズボーンはダメージを受け、それぞれ連続攻撃のクラフトを放った二人は背後の仲間達の追撃に気づいていた為クラフトを放ち終えるとすぐに跳躍してその場から離れ

「十六夜――――――”燐”!!」

「そこだっ!!」

二人が離れると同時にツーヤとレーヴェがそれぞれ広範囲の遠距離攻撃クラフト―――――十六夜”燐”、零ストームを放ってオズボーンへと追撃した。

「ぬううううんっ!!」

対するオズボーンは左右から襲い掛かってくる遠距離攻撃クラフトに対して自身の得物である黒き魔剣に闘気を溜め込んでその場で回転斬りを放って相殺し

「断臥昇天――――――喰らうがいい!」

「四耀剣!!」

「!!」

それぞれ跳躍からの強烈な一撃を叩き込んできたゼルギウスとオーレリア将軍のクラフトは咄嗟に魔剣で受け流した。

「むん!逃さん――――――」

二人の攻撃を受け流したオズボーンはゼルギウスに反撃する為に再びクラフト―――――魔皇の暴虐でゼルギウスを自分の元へと引き寄せて反撃を叩き込もうとしたが

「滅びよ!!」

「獅子戦吼!!」

「裂震虎砲!!」

オズボーンが反撃を叩き込もうとした瞬間、ゼルギウスとオーレリア将軍はそれぞれ獅子の闘気を放った事で至近距離で技と技がぶつかり合った事によって発生した爆発でお互い後ろに後退させられた。



「全てを塵と化せ――――――電磁砲(レールガン)――――――ッ!!」

「エニグマ駆動―――――ルシフェンウィング!!」

「死んで後悔しなさい――――――アウエラの導き!!」

「情熱の炎に呑まれなさい――――轟焔爆炎閃!!」

「消えなさい――――ケルト=ルーン!!」

「死んじゃえばぁっ!二つ回廊の轟雷!!」

「エニグマ駆動―――――ロードインフェルノ!!」

「エニグマ駆動―――――エンドオブワールド!!」

ゼルギウスとオズボーンとの間に距離ができると詠唱や駆動を終えたセレーネ、レン、リシテア、ドロテア、ベルフェゴール、エヴリーヌ、アルフィン、ミュゼが高位や最高位の魔術、アーツをオズボーン目掛けて一斉に放った。

「跪くがいい――――――」

全方向から一斉に襲い掛かった逃げ場のない怒涛の魔法攻撃に対してオズボーンはクラフト―――覇者の威光によるオーラで相殺した。

「余の力、思い知るがよい――――――天界光!!」

「邪を滅ぼすメギドよ、邪を貫きなさい――――――メギドの神槍!!」

「ぬああああああああ――――――ッ!?」

するとそこにリフィアとアイドスが放った究極神聖魔術がオズボーンに命中し、不死者の為弱点である神聖魔術の二種類の”究極”によるダメージはさすがのオズボーンも耐えられず、思わず声を上げながら大ダメージを受けたが

「おおおおおおおお………ッ!!」

オズボーンが咆哮を上げながら全身に凄まじい瘴気を纏うと瘴気はオズボーンが受けたダメージを回復させた。

「んなっ!?傷が……!」

「一体どういう仕組みだ……?黒の工房の本拠地で戦った時はあのような再生能力は無かったが………」

ダメージが回復していくオズボーンの様子を見たデュバリィは驚き、アイネスは真剣な表情でオズボーンの再生力の高さについて考えていた。



「―――――鉄血宰相も先程の要塞と一体化していた”氷の乙女”達鉄道憲兵隊と同じ”力の流れ”を感じるから、恐らくあの再生力の高さのカラクリはそこが関係していると思うかな。」

「……なるほど。鉄血宰相のあの人外じみた再生力は”この要塞そのもの”を利用しているからか。」

「おいおい、マジかよ……という事はこの要塞が存在している限り、鉄血宰相は無限に回復できるって事じゃねぇか!?」

「ったく、ただでさえ化物じみた強さなのに、そこに無限回復能力とかもはや”チート”の域だろ……」

シズナの推測を聞いた後に呟いたレーヴェの分析を聞いたクロードは表情を引き攣らせて声を上げ、フォルデは疲れた表情で溜息を吐いた。

「幸いなのはレン達の”真の勝利条件はギリアス・オズボーンの討伐ではなく、全ての元凶を滅ぼす事”だから、無理な戦いをしてまでギリアス・オズボーンの討伐を狙う必要はないわ。――――――数組にわけて一組が戦っている間に残りのメンバーは回復して、そして戦っている一組と交代……を繰り返した方がこちらの消耗を抑えられるわ、リィンお兄さん!」

「了解しました!でしたら、最初は俺を含めたリィン隊のメンバーとシズナ、クロガネさん、ベルフェゴール、アイドス、オーレリア将軍で抑えますのでその間に他の組の編成、回復をお願いします!」

レンの提案に答えたリィンはレンにある要請をした後リィン隊のメンバー――――――セレーネ、エリゼ、エリス、フォルデ、ステラ、アルティナ、アルフィン、クルト、ミュゼとシズナとクロガネ、そしてベルフェゴールとアイドスと共にオズボーンとの戦闘を再開した。

「前衛は俺とエリゼ、フォルデ先輩、クルト、シズナ、クロガネさん、オーレリア将軍!他のメンバーは後衛として前衛への支援や遠距離攻撃だ!」

「おおっ!!」

更なる指示を出したリィンは前衛を担当する仲間達と共にオズボーンへと向かい、戦闘を再開した。その後リィン達は数組に分かれて一組がオズボーンの相手をしている間に残りのメンバーは回復するというサイクルを繰り返し続けていると、要塞と一体化している事で人外じみた再生力があるオズボーンもさすがに消耗している様子を見せ始め、更にそこに魔物や魔煌兵達の掃討を終わらせたルシエル達が加勢し始めると戦況に大きな変化が現れた。



「魔物並びに魔煌兵の掃討、完了した、リィン様!」

「これよりわたくし達も加勢しますわ!――――――現在、敵総大将の相手をしているメンバーは一端敵総大将から距離を取って下さい!」

掃討が完了したベアトリースはリィンに報告し、自分達も加勢する事を宣言したルシエルは現在オズボーンの相手をしているメンバーにオズボーンから距離を取るように指示をして、ルシエルの指示を聞いたメンバーはオズボーンとの戦闘を中断してオズボーンから距離を取った。

「フッ、この私相手に雑兵共を加わらせるとは、愚策だな。」

その様子を見ていたオズボーンは不敵な笑みを浮かべて指摘し

「”これ”を見ても、果たして我が策を”愚策”と呼べますか!?――――――弓隊、構え!」

オズボーンの言葉に対して答えたルシエルが指示を出すとオズボーンを包囲するように展開しているメンフィル軍の弓やボウガンを得物とする軍人達がそれぞれ弓やボウガンに銀の矢を構え

「銃隊、構え!」

更にベアトリースも続くように指示を出すと銃を得物とする軍人達がそれぞれの銃口をオズボーンに向けていつでも引き金を引けるようにしていた。

「これは……!」

「……なるほど。接近戦では兵達の被害が大きくなる事を危惧し、遠距離攻撃による一斉掃射で一気に勝負を決めようと考えたのか。」

「しかも弓隊は不死者や悪魔に対して”特効”となる”銀の矢”で攻撃しようとしている事から察するに、銃隊の弾丸は”銀の弾丸”なのじゃろうな。」

「―――――そこに加えて接近戦の装備の兵達はアーツや魔術の準備をしているようですが……彼らが放つアーツや魔術は恐らく不死者に対して”特効”となる、光の魔術やアーツなのでしょう。」

ルシエルの策によって展開されたメンフィル軍の様子を目にしたリィンは驚き、ルシエルの策を分析したレーヴェやローゼリア、リアンヌはそれぞれ静かな表情で呟いた。



「リィン様の”賢将”たる我が策、そして”雑兵”と侮ったメンフィルの誇り高き(つわもの)達の”力”、思い知りなさい――――――目標は敵総大将ギリアス・オズボーン!弓隊、撃て!!」

「銃隊、撃て!!」

「イエス・マム!!」

そしてルシエルとベアトリースの指示によってメンフィル軍はオズボーン目掛けて遠距離攻撃による一斉掃射を開始し

「小賢しい。跪くがいい――――――」

全方位から自分目掛けて襲い掛かる逃げ場のない無数の弾丸や矢を目にしたオズボーンが不敵な笑みを浮かべてクラフト―――――覇者の威光を発動しようとしたその時

「「”正義の大女神アストライア”の名の元に今こそ顕れよ!全ての罪を裁く聖なる焔よ!全ての罪を!呪いを!裁き、浄化せよ!聖なる裁きの炎!!」」

「七耀の根源、具現せよ!灼熱の紅耀!清廉たる蒼耀!母なる琥耀!荒れ狂う翠耀!深淵の黒耀!常世の銀耀!至高の金耀!今こそ七耀の焔となれ!今ここに創生の輝きを――――――イリスの焔!!」

「ク、クルナ……クルナクルナ、イヤダイヤダイヤダ、キエタクナイキエタクナイ!グギャアアアアアアアアアァァァァァァァァ――――――ッ!!」

「!しまっ――――――」

それぞれイシュメルガを浄化する為の神術の準備を終えたセリカ、サティア、エイドスが神術を発動し、3人の”イシュメルガを必ず滅ぼす事ができる神術”をその身に受けて悲鳴を上げたイシュメルガに一瞬気を取られた事でクラフトの発動が中断し、そこに無数の銀の矢と弾丸が襲い掛かり、次々とオズボーンに命中し始めた!

「続けて放ちなさい、魔法部隊!」

「イエス・マム!!」

そこにルシエルの更なる指示によってアーツや魔術の準備を終えた残りのメンフィル軍がオズボーン目掛けて不死者にとって弱点である空属性のアーツや神聖魔術を一斉に放った!そして一斉掃射や怒涛の魔法攻撃が終わると、全身の様々な場所に銀の矢が刺さり、更に全身の様々な場所が銀の弾丸で撃ち抜かれ、更に不死者にとって弱点である光の魔法攻撃を怒涛に受けた事で全身のあちこちから焼け焦げて煙を上げた無惨な姿のオズボーンがいた。

「フフ、私とした事が……幾ら憎きイシュメルガが追い詰められたとはいえ……戦闘中に気を取られるとはまだまだ精進が足りんな……だが……獅子心帝として……鉄血宰相として、”最後の意地”を張らせてもらうぞ……!オオオオオォォォォォ………ッ!!」

瀕死のダメージを負った様子のオズボーンは苦笑した後残る力全てを自身の得物である漆黒の大剣に注ぎ込み始め

「どうやら”本当の意味での最後の一撃”を放つようですね。」

「ならば、我ら”猛者”達が正面から受けてたつのみ!」

「僭越ではありますが、私も現ヴァンダール当主マテウスの代わりに手伝わせて頂きましょう。」

「”ハーメル”の意趣返しの意味でも、結社とメンフィルで育んだ俺の”修羅”と”理”を思い知らせてやろう。」

朋友(とも)への(はなむけ)の為にも、妾も手を貸そう!」

「先程はリィンの”双翼”が鉄血宰相にその”勇”と”智”を示した……ならば、リィンの主たるリフィア殿下の”双翼”たる我らも遅れを取るわけにはいかないな、シグルーン!」

「ええ!鉄血宰相の大技は私達が対処します。リィン、決着は貴方に任せます。」

「わかりました!――――――シズナ、俺に合わせられるか!?」

「フフ、当然かな!」

オズボーンの様子を見てオズボーンが大技を放つ事を察したリアンヌは静かな表情で呟いた後大技を受け止める為に仲間の前に出て自身の得物を構え、リアンヌに続くようにオーレリア将軍、オリエ、レーヴェが前に出てそれぞれの武装を構え、ローゼリアは魔術の詠唱を開始し、リアンヌ達同様オズボーンの大技を受け止める為にゼルギウスと共に仲間達の前に出たシグルーンはリィンに決着を委ね、決着を委ねられたリィンはシズナに声をかけ、声をかけられたシズナは不敵な笑みを浮かべて返事をした。



「焔の祝福を!」

「オオオオオォォォォォォ――――――ッ!黒啼!獅子王斬――――――ッ!!」

詠唱を終えたローゼリアがリアンヌ達猛者達に付与魔術(エンチャント)を終えると同時に自身の得物への力をの注ぎ込みを終えたオズボーンは巨大な漆黒の獅子の姿をした斬撃波をリィン達目掛けて放つと、最初にリアンヌが襲い掛かる巨大な漆黒の獅子を受け止め、更にリアンヌに続くように他の猛者達も次々と自身の得物を漆黒の獅子にぶつけてリアンヌと共に受け止め始め

「おおおおおおおおおおおっ!!」

そして猛者達は咆哮を上げながら受け止めていた巨大な漆黒の獅子を弾いた!

「今だ!行くぞ、シズナ!」

「了解!」

それを目にしたリィンはシズナと共に一気にオズボーンとの距離を詰めて協力技(コンビクラフト)を放ち始めた。

「「一つ!」」

オズボーンを挟み撃ちにしたリィンとシズナはそれぞれ初撃に神速の速さで放つクラフト―――――リィンは”疾風”、シズナは”九十九颯”で攻撃を叩き込み

「「二つ!」」

二撃目に二人は”螺旋”技を放つクラフト―――――リィンは”螺旋撃”、シズナは”嵐雪”を叩き込み

「「三つ!」」

三撃目に二人は一撃離脱の抜刀技を放つクラフト―――――リィンは”紅葉切り・(ふたえ)”、シズナは”双影”を放った後それぞれオズボーンとの距離を取り

「「相ノ太刀・黒葉十文字斬!!」」

止めに二人はオズボーンを中心にクロスする形でそれぞれのSクラフト――――――リィンは”無想覇斬”、シズナは”零月一閃”を叩き込んだ。するとオズボーンを中心に無数の斬撃波が発生した後最後に強烈な斬撃がオズボーンに叩き込まれ、それによってオズボーンは強烈な斬撃を刻み込まれた部分から大量の血を出血させると共にオズボーンの得物は真っ二つに折れた!

「フフ……見事……だ………」

二人の協力技(コンビクラフト)によってついにダメージが限界に来たオズボーンは満足げな笑みを浮かべながら真っ二つに折れた得物を手放し、よろけながら後退った。

「何故ダ………神タル(ワレ)ガ何故滅ボサレナケレバナラナイノダ……!吾ハ力ヲ与エタダケダ……!闘争トイウ概念ヲ、成長ノ契機ヲ……!キサマガ去ッタ後ノキサマガ愛シタ人間ガココマデ栄エ、力ヲ持テタノハ、吾ノオ陰ナノダゾ……!?」

一方全身を自分自身を滅ぼす二種類の焔に包まれたイシュメルガはエイドスに対して自分が滅ぼされる事に対しての反論の指摘をした。

「知った事か。俺と俺の大切な者達の未来を阻む者は、”誰であろうと滅ぼすのみ”だ――――――例えそれが神であろうとな。」

「―――――人が神に縋る時代は私が人々に七の至宝(セプト=テリオン)を与えた時点で終わりました。イシュメルガ(あなた)という存在がこの世に目覚めた時点で、ゼムリアは”神の時代”ではなく”人の時代”なのです!さようなら、イシュメルガ。魂があるかどうかはわかりませんが、多くの人々の運命を歪めたその罪、煉獄で裁かれなさい!」

「ヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲ――――――ッ!!」

そしてセリカとエイドスの宣言が終わるとイシュメルガは断末魔を上げながら2種類の聖なる炎によって完全に焼き尽くされ、消滅した!するとその場にアリサ達Ⅶ組やエステル達、ロイド達、ジェダル達が駆け付けた!



~同時刻・帝都ヘイムダル・ドライケルス広場~



一方その頃、エリオット達はクレイグ将軍達と激闘を繰り広げていたが”巨イナル黄昏”の影響で薄暗くなっていた空が青空に戻った事に気づくと戦闘を中断した。

「空の色が戻った………という事は……!」

「セリカさん達が”全ての元凶”を滅ぼしてくれたって事ですよね……!」

「ああ……!」

空の色が戻った事で”全ての元凶”が滅んだ事を察したシェラザードは真剣な表情で声を上げ、明るい表情で声を上げたアネラスの言葉にアガットは安堵の表情で頷いた。するとその時クレイグ将軍達を覆っていた黒い瘴気が霧散し、クレイグ将軍達も戦いの手を止めた。

「うっ……」

「俺達はどうしてこんな事を……?」

「将軍達を覆っていた”悪しき風”が……!」

「”全ての元凶”が滅ぼされた事で将軍達も”呪い”から解放されたようだね。」

クレイグ将軍達の様子を見たガイウスは真剣な表情で呟き、アンゼリカは静かな笑みを浮かべて推測を口にした。

「クレイグ将軍、正気に戻ったのなら部下達に直ちに戦闘中止の指示を――――――」

「!いかん、すぐに将軍を取り押さえろ!」

「へ――――――」

ユーシスがクレイグ将軍にある要請をしたその時何かに気づいたヴァンダール子爵がエリオット達に警告し、ヴァンダール子爵の警告の意味が理解できなかったマキアスが呆けた声を出したその時何とクレイグ将軍は懐から銃を取り出して銃口を自分の眉間へと向けた。



「部下達への降伏指示は任せたぞ、ナイトハルト。エリオット、それにⅦ組の者達も後の事は任せた。」

「父さん――――――ッ!」

「閣下――――――ッ!」

ナイトハルトへの指示とエリオット達への遺言を終えたクレイグ将軍は拳銃自殺をしようとし、それを見たエリオットとナイトハルトが声を上げたその時何とヴァンが一瞬の動作で10ミラコインをクレイグ将軍の手にある拳銃目掛けて凄まじい勢いで打ち出した!するとクレイグ将軍が引き金を引くギリギリのタイミングでヴァンによって打ち出されたコインは銃に命中し、クレイグ将軍の手から弾き飛ばされた!

「な………」

「やれやれ、”呪い”が消えても”匂い”が消えていなかったから警戒していて正解だったぜ。――――――これで”ハーケン平原”でのお互いの貸し借りはチャラでいいだろう、エレイン。」

「ヴァン………」

「”崑崙流”の”指弾”の要領でコインを打ち出す(クラフト)か………ハハ、さすがあの”吼天獅子”殿の”裏弟子”だな。」

銃を弾き飛ばされたクレイグ将軍が絶句している中ヴァンは溜息を吐いた後口元に笑みを浮かべてエレインに視線を向け、ヴァンに視線を向けられたエレインは微笑みを浮かべ、ジンはヴァンのクラフトを分析した後感心した様子でヴァンを見つめた。

「本当にありがとうございます、ヴァンさん!――――――父さん……正気に戻ったにも関わらず、どうしてそんな早まった事をしようとしたのさ!?」

ヴァンに感謝の言葉を述べたエリオットは辛そうな表情を浮かべてクレイグ将軍に問いかけた。

「幾ら政府の指示とはいえ、私は本来正規軍が守るべき民達の生活を破壊し、人攫い紛いのような事までしてしまった………そこまでしてでも祖国であるエレボニアが敗戦した以上、せめて”焦土作戦”の指揮を執った私が死ななければ、”焦土作戦”に参加した”第四”の兵達全員が”焦土作戦”の責任を取る事を追及され、戦後再建される事になる正規軍の兵達や陛下達皇家の方達もそうだが、何よりも”焦土作戦”によって家を焼かれ、財を奪われたクロイツェン州の民達への”示し”もつかんのだ……!」

「閣下………」

辛そうな表情で語ったクレイグ将軍の話を聞いたナイトハルトは辛そうな表情を浮かべた。

「―――――将軍がクロイツェン州で行った”焦土作戦”を心から後悔している事は理解した。――――――だからこそ、かつてのクロイツェン州の”統括領主”としてクロイツェン州で行った”焦土作戦”に対する”償い”として安易な”死”に逃げる事は許さん!この判断は俺だけでなく、他の”四大”や新政府、そして陛下達アルノール皇家の判断でもある!」

「父さん――――――新政府代表のレーグニッツ知事も将軍達”第四”による焦土作戦を止められなかった事を後悔しています。焦土作戦を後悔しているのは将軍達だけではありません。敗戦後のエレボニアを立て直す事もそうですが、国民達の信頼を取り戻す為にも生きて下さい。」

「幾ら政府の指示だからといって、父さんが焦土作戦の指揮を執った事は僕や姉さんにとってもショックだったけど……だからといって、その責任を取る為にも父さんが死ぬ事は僕や姉さんも望んでいないよ!僕や姉さんも僕達のやり方で協力するから、早まった考えをしないでよ、父さん!」

「我ら”第四”もエリオット坊ちゃん達と同じ意見です………祖国の為に、そして何よりもこの戦争で傷つけてしまった国民達の為にも、我らは生き恥を晒してでも生きて償わなければなりません、閣下。」

するとその時ユーシスが前に出て真剣な表情でクレイグ将軍に指摘し、マキアス、エリオット、ナイトハルトもユーシスに続くようにそれぞれクレイグ将軍に指摘した。

「お前達………………うっ……くっ………」

ユーシス達の指摘を受けたクレイグ将軍は呆けた後その場で声を押し殺して号泣した。



その後帝都防衛の為に抵抗を続けた”第四機甲師団”は”黄昏”が消滅した事による”呪い”の影響が無くなった事、クレイグ将軍からの降伏指示を受けた事で抵抗を止めて降伏した事で”表の最終決戦”は終結した。





~幻想機動要塞・最奥~



「あたし達を置いて先に最終決戦を始めるなんて、この期に及んで水臭い事をしているんじゃないわよ、リィン!――――――は?」

仲間達と共に広間に現れたサラは真剣な表情でリィンに対しての文句を口にしたが無残な姿のオズボーンを目にすると呆けた声を出し

「オ、オズボーン宰相!?」

「どうやら既に決着はついていたみたいですね。」

「ああ………だけど、肝心の”全ての元凶”がどこにもいないようだが………」

無惨な姿になったオズボーンを目にしたエリィは驚き、オズボーンの無惨な姿を目にして既に決着がついた事を察したティオは静かな表情で呟き、ある事が気になっていたロイドが真剣な表情で周囲を見回したその時

「”全ての元凶”――――――イシュメルガの討伐は先程終わったばかりですよ。」

セリカ達と共に階段を下りて来たエイドスがその場にいる全員にイシュメルガの討伐が終わった事を宣言した。するとエイドスの宣言が真実である事を示すかのように白髪だったセドリックの髪は元の金髪に戻った。

「あ…………」

「皇太子殿下の髪が………!」

「”黄昏の影響”で常時白髪だった髪の色が戻ったという事は”贄としての呪いが消えた”――――――つまりは”全ての元凶”が滅ぼされた証拠ね。」

髪の色が戻った事に気づいたセドリックは呆けた声を出し、ミュラーは驚きの表情で呟き、セリーヌは静かな表情で分析した。

「――――――数百年にも渡って蝕み続けたエレボニアの”呪い”を滅ぼして頂いた事、エレボニアの全国民を代表して感謝申し上げます、エイドス様、セリカさん、サティアさん。そして宰相殿。一応聞いておくが……まだ、続けるつもりなのかい?」

エイドス達に視線を向けて頭を深く下げて感謝の言葉を告げたオリヴァルト皇子は頭を上げると静かな表情でオズボーンに視線を向けて問いかけた。



「フフ………愚問ですな。イシュメルガが滅んだ以上、イシュメルガに”全て”を捧げたこの身が滅ぶのも時間の問題なのですから、これ以上の”諍い”をする等と言った無駄な抵抗は考えておりません。――――――我が望みが叶えられた以上、心残りはありません。」

「ドライケルス…………」

「……………………」

オリヴァルト皇子の問いかけに対して満足げな笑みを浮かべて答えたオズボーンの様子を見たローゼリアは辛そうな表情を浮かべ、リアンヌは目を伏せて黙り込んだ。

「”心残りはない”って…………”全ての元凶”が滅んだ事でやっと貴方も”呪い”から解放されたのに、実の息子のリィン君と親子としての碌な会話もできずすぐ消えることになる事に本当に心残りはないの!?」

「エステル………」

真剣な表情で声を上げて指摘したエステルの様子をヨシュアは辛そうな表情で見つめ

「ふっ、この期に及んで世界を滅ぼそうとした私に、”絆”を説くとはさすがは”剣聖”の娘――――――いや、多くの”絆”と共に混迷に陥ったリベールを2度も救った”遊撃士の中の遊撃士(ブレイサーオブブレイサー)”と言うべきか。――――――其方の気遣いには感謝するが、テオ達に息子(リィン)を託した時点で、リィンの父親としての資格も捨てている。」

「……………………」

「お兄様………」

「「兄様………」」

エステルの指摘に対して静かな笑みを浮かべて答えたオズボーンの答えを聞いたリィンは目を伏せて黙り込み、リィンの様子をセレーネ、エリゼ、エリスが心配そうな表情で見つめていた。



「だが………自らに課せられた”運命”に諍い、そこまで成長した事――――――よくやり遂げた、リィン。」

「あ…………―――――ああ………俺がこうして今この場にいるのは今の俺の家族であるエリゼ達シュバルツァー家もそうだけど、Ⅶ組や灰獅子隊――――――多くの仲間達のお陰だ。でも流石に親子かな……?改めて考えてみると、ちょっと行動パターンが似すぎている気がするよ。」

オズボーンに賞賛の言葉をかけられたリィンは一瞬呆けた後静かな表情で答え、そして苦笑しながらオズボーンを見つめた。

「フフ……自らを犠牲にしがちな在り方か。反論はできぬが……お前は、まだまだ先が長い。己を捨てて他を活かすのではなく、己も他を活かすのを最後まで諦めるな。――――――お前の師の教えも結局はそこに繋がるのではないか?」

「あ………」

オズボーンの言葉を聞いたリィンはカシウスを通しての”剣仙”ユン・カーファイから”八葉一刀流”の”免許皆伝”を認められた時にカシウスが自分に渡した”剣仙”の手紙の内容の一部を思い出した。



――――――激動の時代において刹那であっても闇を照らす一刀たれ。おぬしと魂を共有する同志たち、魂を継ぎし者たちならばできるはずじゃ。



「そうか……そういう事か。……うん、やっと腑に落ちた気分だよ。」

”剣仙”の言葉を思い出したリィンは納得した様子で呟いた。するとオズボーンの肉体は透け始めた。

「……行くんだな?」

「ああ、時間のようだ。親子としての短い邂逅ではあったが………それでも、嬉しかったぞ。」

「ああ……俺もだよ。」

オズボーンの言葉にリィンは静かな表情で頷き

「ミリアム、クレアとレクターにもよろしく伝えておいてくれ。それとユーシス君には、ルーファスが”子供達”の一人になった理由は、己の生まれに”空虚”を感じていた彼は私を”父”と呼ぶ事で、自らの存在意義を証明する為の乗り越えるべき課題と定めた事であった事を伝えておいてくれ。」

「オジさん………うん、絶対に伝えておくね!」

オズボーンのミリアムへ頼んだルーファスが”鉄血の子供達(アイアンブリード)”の一人になった真の意図を含めた伝言内容を聞いたリィンやセレーネ、アリサ達Ⅶ組の面々がそれぞれ血相を変えて驚いている中、ミリアムは一瞬呆けた後力強く頷いた。

「お前には随分と迷惑をかけた、ロゼ。だが其方という友人に出会えてよかった。感謝する――――――優しき魔女よ。」

「……この阿呆……それはこちらの台詞であろうが………」

静かな笑みを浮かべて呟いたオズボーンの言葉に一瞬辛そうな表情を浮かべたローゼリアは苦笑しながらオズボーンを見つめて答え

「オリヴァルト殿下、セドリック皇太子殿下、アルフィン皇女殿下………貴方達も覚悟しているでしょうが、世界を敵に回し、その結果敗戦してしまったエレボニアにはかつてない”冬の時代”が訪れる事になるでしょう。私の予想を裏切った稀有な存在たるオリヴァルト殿下にこの戦争を通じて飛躍的に成長なされた双殿下……手前勝手ではありますが、貴方達ならば”冬の時代”が訪れたエレボニアに”新たなる春”をもたらしてくれる事、期待させて頂きます。それとユーゲント皇帝陛下にもどうかよろしく伝えておいて下さい。」

「ああ。アルノール皇家の一員として……そして愛する祖国エレボニアの為にも、貴方の期待を裏切らない事をこの場で約束しよう、宰相殿。」

「僕もアルノール皇家の一員として……そして皇位継承者の一人として、祖国エレボニアを立て直す事をこの場で約束します、宰相閣下。それと父上にも宰相閣下の御言葉、必ず伝えておきます。」

「お兄様やセドリックと違い、公的には既にアルノール皇家の一員ではなくなったわたくしにできることは少ないでしょうが………それでも、わたくしは可能な限りエレボニアの為にできる事をさせて頂く事をこの場で約束致しますわ。」

オズボーンの言葉に対してオリヴァルト皇子、セドリック、アルフィンはそれぞれ決意の表情を浮かべて答えた。

「それではさらばだ――――――息子よ。」

「さよなら――――――ギリアス父さん。」

そして互いに親子としての別れの言葉を告げたギリアスは満足げな笑みを浮かべながら消滅した。



その後その場にいる全員はそれぞれの転位術によってレボリューションや戦艦が停泊している外郭まで転位した。すると通信の音が聞こえ、音が聞こえてきたのは自分のARCUS(アークス)である事に気づいたトワは通信を開始した。



~外郭~



「――――――はい、ハーシェルです。アンちゃん……!そっちはどうなったの……?………そう……!よかった……!うん、こっちも無事に終わったよ……うん、また後でね。――――――アンちゃん達B班の作戦は成功したって……!降伏を受け入れたクレイグ将軍が帝都防衛の為に抵抗を続けていた第四機甲師団に降伏指示を出したから、”表の最終決戦”もこれで終結するって……!」

「そうですか………ようやくこれで”全て”終わったんですね。」

「ああ。そしてエレボニアにとってはこれからが――――――」

通信を終えた後通信内容を答えたトワの答えを聞いた紅き翼の面々がそれぞれ明るい表情を浮かべている中セドリックは安堵の表情で呟き、セドリックの言葉に頷いたオリヴァルト皇子がある事を言いかけたその時



ヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲ(オオオオオオオオオオオオオ)――――――ッ!!



全身を瘴気に包まれた異形のヴァリマールが二つの咆哮を上げながら突如転位によってその場に姿を現した――――――!



 
 

 
後書き
次回でようやく最終幕終結の予定です。なるべく早く更新するようにはしているのですが、ここ最近やりたい新作が次々と発売しちゃってくれているので……イース、マリオ、テイルズ、桃鉄、ソニック、マリオRPG、スターオーシャン,ドラクエモンスターズと何で今年の秋・冬はこんなにも歴代人気作の新作が集中しちゃってくれているんでしょうね(汗)

 
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